中共軍は習近平を駆除すべし
中共軍は習近平を駆除すべし
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」334/通算765 2024(令和6)年9/10/火】産経2024/8/30 エドワード・ルトワック氏の「世界を解く 中国『近隣窮乏化政策』阻止を」はとても勉強になった。
WIKIによると近隣窮乏化政策(Beggar thy neighbour)とは、貿易相手国に失業などの負担を押しつけることによって自国の経済回復と安定を図ろうとする政策。経済学者の野口旭氏は「近隣窮乏化政策の問題点は、他国の報復を誘発する可能性が高く、結局は自国の状況も悪化させるケースが多い。(1930年前後の)世界恐慌時、近隣窮乏化政策を多くの国が先を争って実行したため、貿易の縮小を通じ恐慌がさらに悪化した」と指摘している。以下、ルトワック氏の「世界を解く」を転載する。
《欧州連合(EU)の欧州委員会は8月20日、中国から輸入される電気自動車(EV)に課す追加関税の税率について、現行の10%に上乗せし、最大36・3%にすると発表した。10月末までに本格導入される見通しだ。カナダも26日、全ての中国製EVに100%の追加関税を課すと発表した。米国は5月に100%の追加関税を表明済みで、9月中旬にも実施が見込まれている。
中国は欧米など先進諸国から日に日に疎外されている。中国が、1930年代のナチス・ドイツ以来の忌まわしい経済・貿易政策を積極的に進めているからだ。ヒトラー率いるナチス体制は再軍備政策を進める上で鉄鋼や銅などの原材料を輸入するための外貨獲得に迫られ、政府の補助を受けて靴や道具、日常用品などをフランスなどの近隣諸国に安価で輸出した。
折からの世界恐慌で経済が疲弊していたフランスなどは、ドイツから安い製品が滝のように流入したせいで自国の製造業が打撃を受け、失業者が増大するなどの重大な悪影響が生じた。貿易相手国に負担を押しつけて自国の経済回復を図る、典型的な「近隣窮乏化政策」だ。そして中国もまた、生産過剰と需要の低迷、企業倒産の増大など、後退局面にある国内経済を同様の政策で再建しようと試みている。
◎国民党敗北の歴史が教訓: 本来であれば中国は人民元紙幣を増刷して通貨供給量を増やし、消費者の購買意欲をかき立てるなどの景気刺激策を実行すべきだ。ところが中国共産党体制は「紙幣の増刷はインフレを引き起こす恐れがある」として決して踏み切ろうとしない。かつて蔣介石率いる中国国民党政府が猛烈なインフレに見舞われて民心に離れられ、毛沢東率いる共産党との内戦に敗れて台湾に逃れたのと同様の歴史をたどりたくないとの思いが強いためでもある。
そこで中国はかつてのナチスと同じように政府が補助金を出し、EV(Electric Vehicle、電気自動車)などの輸出攻勢で苦境を乗り切ろうとしている。
だが、例えば欧州にとって自動車は基幹産業の一つだ。中国製EVに席巻されるなど到底容認できず、欧米は関税引き上げに踏み切ることにした。欧米が中国の周囲に築こうとしているのは、障壁と呼ぶにはあまりにも高い壁だ。そして壁はEVにとどまらず、ハイテク技術の移転や学術交流の分野でも着々と築き上げられている。米国の大学では、IT(Information Technology、情報技術)技術関連の学部から中国人の研究者や留学生を締め出す動きが強まっている。
◎中国の巧妙な対抗措置: 気になるのは、中国がハイテク分野で巧妙な対抗措置を取り始めていることだ。米国は、米画像処理半導体(GPU)大手エヌビディアが開発した人工知能(AI)向けチップの中国向け輸出規制を強化した。このため、同社のチップを直接輸入できなくなった中国企業は、オーストラリアにあるエヌビディア社製チップ搭載の高性能サーバーを運用するデータセンターに秘密裏にアクセスしてAI開発をするようになったという。
グーグルやマイクロソフト、アマゾンなどの米巨大IT企業も、豪州のデータセンターと似たような計算能力サービスをクラウド環境などで提供している。ただ、これらの米企業は顧客の身元確認規定が厳格だ。
米輸出規制の対象は最先端チップや機器、技術の輸出だ。米クラウドサービスに中国企業がアクセスするのは規制の対象外とする主張もあるが、中国企業が実際にアクセスするのは困難だ。一方、豪州のデータセンターは匿名での決済が可能なため、中国からのアクセスが急増しているとの指摘もある。
問題は、欧米先進国による中国の疎外化に向けた一連の措置が、中国の習近平体制による近隣窮乏化政策に歯止めをかけられるかどうかだ。あるいは逆に中国が諸外国に対する敵対的態度を強めてくるのかどうか。そして日米の安全保障上の重要懸案である台湾情勢にどのような影響を及ぼすのか。これらの疑問については、機会を改めて詳しく考察していきたい》(聞き手 黒瀬悦成)
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「諸悪の根源“中露北” つぶすべし!」と小生はここ2年ほど唱えているが、その手の人、特に学者の方々は急速に増えているのではないか。理路整然と説くから説得力がある。世界経済評論IMPACT 2024/9/2 安室憲一・兵庫県立大学・大阪商業大学 名誉教授の「中国の『戦略的過剰生産』がもたらす破壊力」から要旨を引用する。
《(1)「戦略的過剰生産」の理論的背景: 中国が「戦略的過剰生産」を重要な国家政策に定め,価格破壊ともいえる輸出攻勢を仕掛けるのはなぜなのか。本稿では,その構造的原因と帰結について考察したい。
中国の特徴として,GDPに占める個人消費が少なく,投資の比率が大きいといえる。この条件下で,経済成長率を引き上げようとすると,(1)外国から直接投資を誘致し(不足する投資の補充),(2)雇用を創造し(個人消費の拡大),(3)純輸出額を増加させる必要がある。
(一党独裁の)社会主義体制では本来は無理な話のはずだが,これを断行したのがトウ小平氏の「改革開放」政策である。有り余る労働力(未利用資源)を活用して,外資の直接投資と技術移転を呼び込み,外資のサプライチェーンに依存する形で中国製の組み立て加工品を輸出するのである。中国が強国になるまでは臥薪嘗胆というわけである。
21世紀にはいると,この外交方針を転換した。2010年には,中国のGDP規模が日本を凌駕した。中国は胡錦涛政権の末期,習近平政権の時代から外交方針が変った。「もう本音を隠さなくてもいい」と考えたのだろう。(恫喝的な)「戦狼外交」の反動は大きかった。
コロナ禍の2019-2022年頃には,外資の対中投資は完全に停滞し,2023年には85%減と壊滅的な減少となった。これは中国の不動産バブル崩壊と軌を一にしており,地政学的なリスクの増大とともに外資は撤退を開始した。このような状況にもかかわらず習近平国家主席は5%以上の経済成長を宣言した。内需と投資に期待できない中国政府に残された道は外需(輸出)である。戦略的に過剰生産を作り出し,ダンピング輸出で海外市場をこじ開ける以外にない。
(2)中国政府の論理: 習近平は,2024年5月6日の欧州連合(EU)のフォン・デア・ライエン欧州委員長らとの会談で「中国の過剰生産問題というものは存在しない」と言い切った(日経)。6月6日には呉江浩駐日大使がEVを念頭に同様の発言を繰り返した。25日には李強首相が大連で始まった経済フォーラムで「過剰生産や補助金によって競争をゆがめるなどの欧米の指摘は当たらない」と主張した。
しかし,米戦略国際問題研究所(CSIS)の試算では,中国政府は09〜22年に総額1700億ドル程度の補助金を支出したとされる(日経)。つまり,中国がもたらす「過剰生産」は計画的な「国家戦略」であることがわかる。
なぜ「過剰生産は存在しない」と主張するのか。それは,習近平の唱える「新質生産力」(EV,電池,半導体,太陽光パネル,風力発電装置,人工知能など)は,世界的に見ればまだ需要は満たされておらず,低価格・高品質で製品やサービスを提供できれば,市場は無限にあると考えられるからである。つまり,「戦略的過剰生産」は内需よりもグローバル市場を標的にしている。「戦略的過剰生産」は中国版「グローバル戦略」である。
しかし,この論理は自己中心である。他の国でもイノベーション開発(新質生産)は経済成長に欠かせない。中国同様,政府は育成に努力している。ということは,中国は国を挙げて競合国の経済成長の源泉を潰しにかかっている,ことになる。誰よりも早く市場を席巻し,寡占的地位を築き利益を独占する。それが狙いである。それが「戦略的」という意味である。
中国の経済は国有企業が中心であり,民間企業にも共産党による支配が貫徹している。どのようなやり方で政府(中央と地方)の補助金や税制優遇,各種公共料金の補助など,がなされているかは不明である。調べようにも国家安全法や反スパイ法が立ちはだかる。アンフェアーな「竹のカーテン」である。
(3)行き詰る「グローバル経済秩序」: 中国の問題性は,グローバル経済(戦後のブレトンウッズ体制,WTOなどの自由な貿易)から最大の恩恵を被っているのに,その形成にも維持にもなにも貢献していないことである(むしろ邪魔している)。グローバル経済体制の形成には第二次大戦の戦禍が,その維持には米国を中心とした同盟国の安全保障体制という莫大な費用が掛かっている。グローバル経済体制は「天から降ってきた」幸運ではない。中国の「ただ乗り」が続けば米国は「グローバル経済体制」から手を引き,北米(米国,カナダ,メキシコ)と南米の主要国だけの世界に閉じこもるだろう。つまり,ブレトンウッズ体制以前の状態,戦間期の「関税障壁」競争の状態に逆戻りすることになる。トランプ前大統領が再選されれば,こうなる確率は高くなるだろう。
戦略は自己中心に考えてはならない。競争相手の次の反撃を予想しなければならない。下手な戦略はカウンター戦略をくらい,想定してきた目標を自ら破壊することになる。中国の「戦略的過剰生産」はグローバルな経済秩序をもっとも効果的に破壊するだろう。
それでは,先進国の多国籍企業は次にどんなカウンター戦略を取るのだろうか。その輪郭はすでに見え始めている。カギを握るのは「サプライチェーン」である。それについては次回の稿で論じよう》以上
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「近隣窮乏化政策」「戦略的過剰生産」・・・無理が通れば道理が引っ込むと言うが、習近平の目標は「建国の父」毛沢東と並ぶ「発展の父」として歴史に名を刻むことだろう。しかし、毛沢東でさえ1957年にこう案じている。
<わが国ではイデオロギーの面で社会主義と資本主義との間のどちらが勝ち、どちらが負けるかの闘争は、なおかなりかなり長い期間を経なければ解決されない。ブルジョアジーや旧社会から来た知識人の影響がなお長期にわたって存在するからである。こうした情勢について認識していなかったり認識が足りなかったりするなら、非常に大きな誤りを犯すことになる>(毛主席語録)
結果的に毛沢東の「文化大革命」で劉少奇やトウ小平ら「改革開放派」は殺されたり追放されて中共は10年間もの「暗黒時代」に入ってしまった。凄まじい後退! 毛沢東信者の習近平はそれを再現して再び中共を「暗黒時代」にしようとしているのだ。中共軍が決起し習近平を駆除する時である。
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