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スプリンターズS③ 最終結論編


スプリンターズS① 初手分析編

スプリンターズS② 展開予想編


・はじめに

本記事で利用するラップタイム数値はMahmoud氏のサイトによるデータを参考にさせていただいております。
大変重宝しております。いつもありがとうございます。

2022スプリンターズステークスの予想記事となります。
①分析編では各馬の前半ラップタイムから特徴やポジションを推測
②展開予想編では後半の3Fの展開予測と各馬の短評を含めた比較
③最終結論編では予想印からの購入価値を見定め、馬券にどう反映させるかの意思決定基準を提示。

以上の三部構成となっております。


・最終結論

前半のポジション争い
4F目突入時点でのポジション
ゴール地点での逃げ馬との相対的なタイム差


◎12ヴェントヴォーチェ

○13メイケイエール

▲9ナムラクレア
☆1テイエムスパーダ or 8ファストフォース

◎12ヴェントヴォーチェ……推測値から最後に一番前に居たのはこの馬。課題はハイペース過ぎた場合の対応力のみ。経験値というか、キツイ流れをこなしたデータがあれば盤石だったと思われます。
判断基準としては

予測データ2位(最大ポテンシャルで1位)
ポジション分類Aグループ
残り3F地点での余力あり
春雷Sの評価


の4点。
負けるときは思うように位置が取れずBグループのポジションまで下がった時、及び未体験のペースを無理に追走してしまった時が考えられます。
ですが逃げ想定の2頭のタイムは想定内に収まる予測値ですから問題ないと今回は判断しました。正直に言えばもう少し内側の枠が欲しかった所。ただその分スタートですんなり気分よく出せることをプラスと考えても。
またベストパフォーマンスの比較をしたときに22/04/10春雷Sは高く評価出来ます。
夏に輸送を繰り返した部分で少なからず疲労がたまっている可能性は否めませんが。
ん?前の爪……どうした?w
騎手……西村……シフルマンの件説明してくれませんか?

○13メイケイエール……4コーナーからゴール前の坂に差し掛かるまでに抜け出せるギアチェンジの良さがこのレースにおける最大の武器。基礎スピードが高い為ハイペースをものともせず、5F付近でさらに一脚使えるのがこの馬のセールスポイント。

予測データ1位
ポジション分類Aグループ
追走次第でやや減速度が高くなる危険性もあり、その分やや下げ評価


久々の右回り、レース間隔を考えると掛かってしまうリスクは払拭されていません。逃げ2頭との間に馬を置かず自ら追いかけてしまう可能性があり、その場合後半は鈍る可能性も。
ジャンダルムとウインマーベルを前に置ければ折り合い面のアシストになる。

▲9ナムラクレア……坂への対応力があり、早めに追い出しても多少の無理がきく負荷への耐性がラップから判断できる。
過去データから3-4Fの失速率に特徴があり、コーナリングが上手くないことを露呈している
前走の出遅れを変に意識して前を取ろうとしなければ良いのだが、渋滞必死のメンバーだけに騎手も悩ましい選択を強いられそう。どうもコメントから判断すると前をかなり意識してそうなので、追走やポジション取りにリソースを割いてしまう予感。三歳の斤量、5-6Fにかけてのスピードと評価ポイントはあるが……

予測データ3位~6位(出遅れた場合のBグループ扱い)
ポジション分類AグループまたはBグループ
ただしBグループの場合間に合わない。

☆どちらか1頭
1テイエムスパーダ……ジャンダルムが色気を出さない限り単騎に近い逃げが可能。内有利のトラックバイアスが最後の1Fをギリギリしのぐ助けになれば。
もうひとつ、阪神1200で見せたように3Fでの微加速という形でさらに引き離して行く戦法も考慮したい。
これが戦法として確立されていればむしろ▲以上の評価にしていた。鞍上から再現性は低いと見て☆で我慢。

8ファストフォース……スピードの基準となる馬。番手追走で結果を残した前走からも、テイエムスパーダを半馬身から1馬身程前に置いてのレースが可能。ラストの失速率比較からテイエムスパーダを競り落とす展開が望める。
課題は坂でどれだけ自身のスピードも落ちるか、という部分。
前有利なトラックバイアスが後ろの猛追を凌ぐ助けになるか、という当日判断も必要。

☆両者のどちらが4コーナーで先頭を回るか、という観点での評価なので、当然両立は無いものと考えてよい。
買うならどちらか1頭。

以上が印をつけた馬の評価内容。

ポジション分類に関しては上に挙げた図と記事②を参照

印の付かなかった注目馬に対する評価

2ジャンダルム……逃げ馬の後ろかつインベタという絶好のポジション。3-4Fの加減速幅が小さいことからもコーナー対応は上手く、課題となるラスト1Fの失速具合をカバー出来る可能性が出てきた。

4ダイアトニック……ハイペース消耗戦でも生き残るタイプだが、決め手も欠けるためインを狙う。こちらもコーナリングが上手いタイプなので要注意。最後の脚はジャンダルムよりは確実。問題は自身のコンディション。ベストはやはり1400か。

6ナランフレグ……4コーナー抜けでタイセイビジョンの位置と同じならかろうじて間に合うのだが、再現性としては低い形。

15シュネルマイスター……スプリント戦に付き合うなら全く見せ場無く距離だけ詰めてレースは終了。唯一の可能性は3Fからどんどん捲り気味に加速していく形のみ。

7ウインマーベル……坂に対する対応を考えた時、この馬の5-6Fの減速度は大きく「最後止まる」形のデータに。完全上位互換のメイケイエールを出し抜ける力は数値的に見いだせない。
食い込むならジャンダルムを押し退けてインベタをやらないといけない。

10タイセイビジョン……それなりの優等生ではあるが、最後の脚を使うために前半で温存区間が必要なことを過去データが指し示している。求められるのは馬場による先行組の過度の消耗。それでも渋滞した中を進路探ししなければいけない。
恵まれてもアタマ無しの有力なヒモという評価。

11トゥラヴェスーラ……陣営コメントからも「高速決着は避けたい」差し脚の持ち主。こちらもインを狙って行くしかない。
個人的には「二度目の鼻出血明け」というだけでマイナス評価。道中能力以外のことまで気にしたくありません。

・意思決定と馬券購入

さあ、印はつきました。
ここから『ギャンブルにおける意思決定基準』の出番です。
詳しくはこちらの記事を。長いので時間のある時に読んで見てください。

この考え方で提示した意思決定基準のうち、今回は『12ヴェントヴォーチェ』の単勝が買うに値するかどうかを考察します。

一番人気と目される13メイケイエールとこの記事での◎12ヴェントヴォーチェとの予測タイム差差は-0.1~+0.2と算出しています。
なので12ヴェントヴォーチェが13メイケイエールに完全に勝つとは言えない数値です。

馬券購入の判断基準は次の4つが基本。
①マキシミン基準
②ミニマックス基準
③マックスマックス基準
④期待値基準
各判断は次の意思によって選択されます。

①は『一番安い所が来てもこのぐらいは儲かるというラインを上げる行動』
②は『負けたとしてもこのぐらいで済む、被害を抑える行動』
③『一番儲かるパターンに全力』
確率×配当のみを行動指針とする

ギャンブルにおける意思決定基準のおはなし②より

印◎○▲をメインに考え、勝負のアヤを多少考慮するのであれば
①②の手法を選択する場合、この3頭をボックスにした馬連で、強弱をつけた分配にするのが良い
③は◎ヴェントヴォーチェからの馬単二点
といった形の馬券購入が選択肢になります。

さて④の期待値です。
確率論における期待値とは確率分布における平均や分散を用いた『変数xの確率分布の平均μ』となります。
問題はこの勝ち馬に対する確率分布が世間一般の予想家たちのなかで作り上げられる『主観確率』に過ぎない、という点です。

例)
予想家A……『メイケイエールの勝率は50%、単勝オッズ2.5倍なら余裕で買える』
予想家B……『メイケイエールの勝率は80%、ほぼ勝つんだから単勝2.5倍なんてボーナス』
予想家C……『メイケイエールの勝率は70%、ならそれを抜いた組み合わせで4倍以上なら期待値あるで』

ですがこれ、そもそもどこから勝率を持ち出してきたのか、という話。
出走頭数が確定しているのですから確率の総和は必ず1になるのですが、全馬の勝率を明示しているものをAIとオッズバイ系以外の予想サイトで自分は見たことがありません。
確率である以上計算式が存在するはず。ですが統計を利用した考え方の人以外、誰もそこに触れないんですよね。
過去オッズからの統計データ、2着率3着率との整合性などアナログでは限界があると思うのですが、その辺をどう扱っているのでしょうか。企業秘密だとは思いますが、知りたいものです。
多分ですが『割りに合いそうな勝負』=期待値というギャンブル用語として使用しているのかも知れません。
ただ同じギャンブルであるパチンコパチスロは理論値から明確に期待値が算出できて、それを指標に行動し結果を出している方もいます。
それと比較して主観確率による勝率を基にしたものを『期待値』とい言い張るのも難しいところだと思います。

競馬の期待値?

さて、④の期待値基準を競馬に当てはめるのなら『ベイズ推定』の出番になることと思われます。

そして勝率を算出するときには
『タイムに依るものではなく、対戦比較の方が優秀である』
という事実にも目を向けなければなりません。

みなさんが利用しているJRA-VANのマイニングデータも対戦型のほうがより回収率は高いとあります。これはVAN の利用法の説明項目に記載がありますのでお暇なときにご確認ください。



そこで対戦型マイニングを適用して『ヴェントヴォーチェがメイケイエールに勝つ割合』を決め、その逆数以上のオッズであれば単勝を購入する、というやり方を今回は考えてみました。

それをクリアしない単勝オッズなら購入を見送ります。
対戦マトリクスを作ってみると分かりますが、12ヴェントヴォーチェの勝率はかなり低い結果になります。
ただ、対戦比較に用いる馬とレース数が少ないこと、枠順や頭数、ペースが全く同一条件として比較することが出来ないので、どうしても曖昧な指針となってしまいます。
そこまで考えればもう確定オッズ付近を使わないのはアウトという答えに辿り着いてしまっている感もありますが……

また、これは個人的な馬券の手法ですので今回はオッズのラインと推定勝率の公開はしません。勿体ぶっている訳ではありません。
勝率の算出といっても試行錯誤な部分がありますので根拠を持って提示することが出来ないからです。

なのでお伝え出来る情報としては◎○▲の3頭を中心視した見解のみ、ということになります。

◎12ヴェントヴォーチェ
○13メイケイエール

▲9ナムラクレア
☆1テイエムスパーダ  or  8フォストフォース

以上が今回の予想、という形です。

そして今回わたしが購入するのは単勝で、ヴェントヴォーチェの単勝オッズが○倍以上の時だけ、となります。
機会損失を考えた場合、悪い方の結果を保証水準として選択するのが「不確実性」に対する最適解です。

今回の12ヴェントヴォーチェの単勝、という選択は意思決定基準を期待値基準とした場合の行動です。
楽しみたい方は①②の意思決定基準を用い、◎○▲、もしくは◎◯☆で強弱をつけて馬連を購入するのが良いでしょう。ただしこちらは人気どころなのでやはりオッズは厳しいものとなるはずです。



①②③と記事が長くなりましたが、ここまで読んで頂き誠にありがとうございました。
このような予測モデルを利用してこれから秋のG1と殴り合いをしていく予定となっております。
興味を持って頂けたのであれば幸いです。

それではまた次のレースでお会いしましょう。

©️ぺぬ