「色気と私」と「マルジェラと私」
はじめに
2024年5月18日、自問自答ファッションあきやあさみさんの講演会をオンラインで視聴しました。楽しかった!!その感想と言う名の自分語りを今やらねば、という気持ちになり居ても立っても居られずパソコンに向かっています。テーマは「色気と私」と「マルジェラと私」。これらは今のところ私の中ではそれぞれ独立しているのだけど、なんとなくの予感でまとめてしまおうと思います。
「色気と私」
前書き
事件は2023年8月に起きた。人にとっては何でもない事だけど、私の中では大事件だった。多分40年後(希望)の走馬灯に出てくる。
実はこの事件と「マルジェラと私」で書く出来事を含めたnoteを書き始めたものの、8カ月を超えても完成できずにいた。今回のあきやさんの言葉をきっかけにようやくまとまった。
2023年8月に起きたこと
私は自問自答ファッション教室参加のために東京に行き、別日に自問自答ガールズさん達とお会いした。旅行全体のnoteも書いているので、後日出そうと思う。
その日はasさん・ぽたまるさんと表参道に試着の旅に出た。ギャルソン、ヨウジ、ケイタマルヤマ、ドリス…と様々に美しいお洋服に触れた最後に訪れたsacai(サカイ)。
有名なブランドなので、サイトで商品を見てはいた。正直「変な服…」と思っていた。素材の切り替えや形の独特さにファッション初心者の私はビビッてしまい、自分が着れそうな服はないなと思っていた。
でもまぁせっかく来ましたし、今後一人でsacaiに来る可能性は無いかもだし、思い出に一着着させてもらいますかね~ときょろきょろしていたら、トルソーが着ているブラウスとスカートのセットアップが目に留まった。おや?これは謎の切り替えもないし謎の装飾もないぞ?私も着れるかも?と思い、恐る恐る試着したい旨を告げると、めっちゃ広い試着室に案内された。
そして着てみる。
・・・・・・なんだこれ?
生まれて初めて、試着して「?????」が浮かんだ。
似合っていない?いや、サイズはちゃんと合っているし、おかしい部分はない。マイナスポイントとなる事もない。
じゃあ似合ってる?いや、似合ってはいないような…?
と頭の上に「?」をたっぷり浮かべた状態で試着室を出ると、
asさんとぽたまるさんの息をのむ音が聞こえた。
予想外のリアクションに戸惑う私。
しばし絶句していたお二人は、我に返ったようにその後今までにない勢いで、sacaiを着た私を褒めてくださる。
いわく、
「似合っている」「びっくりした」「色っぽい」「今までと違う魅力が…」等々。(自分で書くと大層恥ずかしいけど、大事な言葉たちなので記しておく。)
全力で褒めてくださるお2人。しかし私はあまりに予想外なリアクションに、
「お二人は…何を言っているんだろう??」と半ば思考が停止していた。
お世辞ではない。それはお二人の人柄と、突然上がったボルテージで理解はしていた。ただ、自分の印象と相手から言われた印象が違いすぎて、私は私で驚いていた。
なんか全力で褒めてくださるお二人は、「品番控えて貰いましょう」「自分へのプレゼントにどうですか?」と盛り上がっておられる。
そんな中私は「・・・そんなにか??」とずっと?を頭上に浮かべていた。
ともかく品番を控えて貰って、sacaiを出た。
そしてその後のペニンシュラ東京でのアフタヌーンティー。
とっても楽しかった!その中で先ほどの私のsacaiでの試着について、改めてお二人がめちゃくちゃ褒めてくださる。相変わらず「そんなにか?」状態の私はようやく、「せっかく褒めてくださるけど私自身、全くピンときていないんですよね」と伝えた。そんな私に対してasさんがひとこと。
「かいりさん。自分の中に『色っぽい』要素が全く無いと思ってませんか?だから違和感しか感じないんじゃないんでしょうか。」
・・・・・何だって?!?!
でもそうかもしれない!!!!!!
確かに、私は自分で自分を色っぽいと思ったことが人生において一度もない。その考察は今後に回すとして、ぽたまるさんが続く。
「・・・Sedaだ。」
FUEGUIAで私が選び、その後ぽたまるさんも選んだ香水、Seda。ジャスミン主体の香りで、ぽたまるさんのnoteの中の店員さんは「ジャスミンは女性性の表れでもある。」と仰っている。そして創業者であり調香師でもあるジュリアン・ベデル氏のお母様もつけているらしい。ぽたまるさんの中で、sacaiを着た私とSedaが結びついたようである。光栄だ。お2人の言葉にびっくりしたまま、その後もいろいろな話をした。
8月の事件その後
しかし、ぽたまるさんの言葉に対して、光栄だとは思ったけれど私はしっくりは来ていなかった。なぜなら、Sedaの香りを女性らしいとは全く思っていなかったから。というか、男性らしさ女性らしさという事をそもそも考えていなかった。そして気づく。
「私、人生の中で自分や人の男性らしさ/女性らしさ/色気について考えたことないのでは…?」
これは、今世間に認められつつある「生まれた性別じゃなくてその人自身の個性が大事なんだよ」という多様性を私が身に着けているというわけでは全くなく。
私は色気とその周辺の様々についてなーんも考えてない!という事である。
それに気づいた後「色気」について考えてみたけれど、
「壇蜜…篠崎愛…いやいやお二人は好きだけどそれだけじゃない。なんか…こう…あるだろう!」
で考えが止まってしまった。
そして今日(2024年5月)
答えの出ぬままはや8ヶ月超。あきやさんの講演会のテーマが「“なりたい自分”ってどんな自分?服を選ぶ前に表現できる言葉を探そう」だった。質問したいことはたーくさんあったけど、ひとまず抱えたまま止まっている「色気と私」問題について質問を送ったところ、読んでもらえた。わーい!
あきやさんの考える「色気」についてはアーカイブでまた見返したい。質問者の私に対する答えは「官能小説を読んでみましょう」だった。
そこー!?!?!?笑
とりあえず読んでみるね。でも実は私の中の何かが既に、
「ちゃう、私の中の色気という言葉は官能小説的なものとは違い…なんか…こう…あるだろう!」
と言っている。またしても答えが出てないけど。
しかし結果的に違うという結論が変わらなかったとしても、読むことで「どう違うか」がわかって、そこから私の考える色気の答えが出てくるかもしれないと思っている。以前ガールズさんのおひとりが「官能小説読んでみようかな☆」というツイートをされていて、それに対するアドバイスがあったから見てみよう。(ちなみに私は彼女に対して、官能小説ではないけどと言いつつ谷崎潤一郎を勧めた気がする。)
「マルジェラと私」
2023年5月
事件は2023年5月から始まった(更に遡るんかい)。自問自答ファッションに出会って初めての東京旅。あきやさんの書くものや動画でのインプット、noteとtwitterでのアウトプットはしていたけれど、実質初の店舗での実践をした旅だった。
その時訪れた…えーと…多分バーニーズニューヨーク…ドーバーだったかもしれない…で見たタビブーツ。モノとして美しいし、「ファッション初心者!特にラグジュアリーブランドはほぼ触れたことなし!」な私はまず有名どころを押さえたかったので試着してみたかった。しかし、周りに店員さんがいない。しばしうろうろしたものの、店員さんを呼ぶ勇気もなく、またその時は鞄をメインに見たかったのでその場を退散した。
2023年6月
京都伊勢丹にて、初めてマルジェラのコーナーに立ち寄った。緊張しつつも鞄を持たせて欲しい旨を告げると、白衣を着た素敵な女性店員さんがコーナーに案内してくれた。定番の5AC(サイズ失念)を持たせてもらい、鏡の前に立つ。
うーん・・・?
なんか、私のかばんって感じじゃないな。「人のかばんを預かっている人」ほどの違和感はないけど、なんかしっくりこない。
そんな私の表情を見たからか、あるいは店員さんも同じように思ったのか、「このようにして持っていただくこともできますよ」と鞄の巾着部分を中にしまって持たせてくれた。
うん!これなら悪くない!
でも、ずっと巾着部分をしまって使うならマルジェラである必要性が無いよね!!
個人の見解です。でも、そのかばんの最も特徴的な部分を活かせないのはもったいないと思った。お礼を言ってその場を後にした。鞄の特性を活かせなかったことにしゅんとして、靴を履かせてもらうのは忘れた。
2023年8月
自問自答ファッション教室受講翌日。ブーツの試着をしに新宿伊勢丹に向かった。いろいろ履かせてもらって、最後にたどり着いたマルジェラコーナー。またしても店員さんがいない。相変わらずうろうろする。どうしよう、店員さんが来ないかな、来てくれないな、ご縁が無かったものとして帰ろうかな、でも一度は履きたいな、よし、誰か来てくれないか頼んでみよう!と思ったら店員さんが来てくれた。ひょっとしたら、他のブースの店員さんが呼んでくれたのかもしれない。ありがとう伊勢丹の人。
タビブーツのベージュとメリージェーンの黒を履かせてもらいたいと告げる。ちなみにブーツの色をベージュにしたのは「優しい色合いだから黒より私に馴染むかも」という打算からだった。メリージェーンはぱっと見黒以外見当たらなかったのと、形が私に似合いやすいから黒でもいけるかな、マルジェラの黒も体験したいな、と思ったので黒にした。
かいりは まるじぇらの たびぶーつ を はいた。
ひほしょくせいぶつ(被捕食生物) が たんじょうした。
え…よっわ!何この弱い生き物。完全に狩られる側、食べられる側の生き物だ。
私の愛読書に「食べられる生きものたち 世界の民族と食文化48」という本がある。
国立民族学博物館の広報誌『月刊みんぱく』の連載をまとめたもので、
・ゾウの肉に集まる人びと:マルミミゾウ
・知られざるアンデスの雑穀:キヌア
などのタイトルがついている。(余談:今でこそスーパーフードとして認知されているけど、広報誌掲載時はキヌアなんてほとんど知られてなかったんだね。面白いね。)
この本に、
・あらゆるモードを弱体化する:かいり
と載せて貰えそうなレベルだった。(豆知識:かいりはワイズを着ると児童向け人形劇団の人形遣いになるよ!)
私はタビブーツを履く前から、「履いた自分を動物に例えたい」と思っていた。しかし何だろうこの生き物…牛?ヤギ?羊?ロバ?いやいやもっと弱そう。
例えるなら・・・
ピクミンである。
(私はピクミンのことをほぼ知らないので、CMのイメージのみでお送りします。)
引っこ抜かれて~、自意識のないまま集団で誰かについて行って~、戦うけどあえなく食べ~られる~。そんな生き物のようだった。
何とも言えない気持ちになり、メリージェーンのタビを履かせてもらうも更に弱さが増し、品番を控えてもらうこともなくマルジェラコーナーを後にした。完敗である。
8月のその後
以上の出来事から「マルジェラはnot for me」という事実が分かったにも関わらず、私は地元でマルジェラのサイトを度々見ている。ガールズさんのマルジェラ関係の文章も読むことが多い。
なーーんか気になるーーー!
しかし何がどう私に刺さっているかさっぱりわからない。
そして今日(2024年5月)
そんな中、幻冬舎大学第1回で各ブランドのキーワードを挙げられた時に、マルジェラのワードも出てきた。
全然ピンとこない。
いろいろ考えていたから聞き取り切れていないかもしれないけど、聞こえてくるキーワードが全然刺さらない。ちなみにその前に出たミナペルホネンは「わかるー!好きー!」だった。
気になるのにしっくり来ない。アンビバレンツな感情を抱えたまま自分では解決できそうになかったので、その場で打ち込めるQ&Aに質問を入力した。動画の視聴期間が終わると確認できなくなるから、ここに記しておく。
Q:マルジェラのコンセプトは自分とマッチしないし、持ったり履いたりさせて貰っても全然自分のもの感がないのに、つい気になってサイトを見たりお店に足を運んだりしています。
私とマルジェラはどういう関係性なのかわからず戸惑っています。
あきやさんはそのようなご経験はありますか?
これに対するあきやさんのお答え、「私にとってもマルジェラはそう」という意味のお言葉があって、わーそうなんだ!あきやさんとお揃いなんて嬉しいな♪と思っていたら、
「多分、この方、マルジェラを買います」
的な発言があってあまりの驚きに固まってしまった。驚いて記憶が曖昧なので前後のあきやさんの言葉も正しくないかもしれない。
私が・・・マルジェラを・・・???
現状、全くもってイメージが湧かない。私は地方(言ってしまえばど田舎)在住で人の目を気にするタイプなので、「ブランドバッグを持つ」ことに対して絶賛拗らせ中なんだけど、それを取っ払ってもマルジェラを持つイメージが無い。
と、書いていて気づいた。
私、東京に住み続けて、志した仕事をしていたらマルジェラ持ってた。
これは、「田舎でブランドバッグを持つといろいろめんどくさいけど都会ならその心配がない」という外的要因ではなく。
私自身がかつてなりたかった姿に、マルジェラはとても似合う。
あぁ、結局そこにたどり着くのか。
私はまだ、志を果たせず自分の意志ではない理由で、逃げるように地元に戻ったことに納得できていないんだ。志した姿も諦めきれていないんだ。
安定した穏やかな今の暮らしを手に入れて、納得したつもりだったのにな。
・・・何これつっら!!!
(安心してください。辛いけど楽しんでます。脳細胞が久しぶりに活性化している)
講座直後は、noteの締めは「多分買うって言われてびっくりしたよ☆買うかどうかはわからないけどこれからも都会に行くたびに試着するね、あきやさんありがとう☆」にする予定だったのに、書いていたら怨念が飛び出してきた。アウトプットこわい。(これは本当に怖いのと、まんじゅう怖いの意味合いが半々です。)
これを「欠乏感からのwish」として片づけることもできるけどなんか違う。向き合って、答えを出さないと、本当の意味で先に進めない気がする。
・・・何それつっら!!!
(安心してください。楽しんでます。)
そしてこの問題は自らに決着がついたら、「ところで田舎でブランドバッグ持てるか」「ザロウが気になるけど今の状態でザロウを買うのは逃げではないか」問題と繋がるね。繋がるねー!
というわけで発見はあったけれど今のところ結論は出ません。よって久々にto doでこのnoteを締めようと思います。
to do
□マルジェラのコンセプトについて考える(あきやさん講演会のアーカイブ視聴含む)
□過去に決着をつける
□納得できる未来を考える
うん、下ふたつがふんわりしているね!まだ辛くて具体例が出せないからだね!急がずじっくりやるよ。
あきやさん講演会と、アウトプットのパワーを痛感した1日であった。
おまけ
① 姉のなぐさめ
「タビブーツを履いたらピクミンになった。弱い。」という話をしたら、姉からは、
「でもほら…ピクミンも食べられた後に毒で敵を倒す子もいるから…」
と慰められた。お気持ちはありがたいが、そのピクミン死んでますがな。
② 竹村さんありがとう
質問をするって勇気が要る。こんなこと聞いて変に思われないかな?レベル低いって呆れられないかな?と、どきどきしていた。(JJF関係の方にそんな人はいないと思っているにも関わらず)竹村さんが興味深いと言ってくださってとても勇気が湧きました。ありがとうございます。そして「私とマルジェラの関係性」のところで会場に笑いが起きたのがとても嬉しかったんだけど、竹村さんの読み方が絶妙だったから笑えたんだと思う。感謝です。