見出し画像

日本の祀り・・・

秋祭りです。
笛や太鼓が聞こえます・・・といいたいところですが
メッキリ「地域の祀り」が廃れてしまいましたね。

屋台の引き回しも、大人たちのものになり、お稚児さんもなりて不足とか。
神さまを祀るより、商業的なお祭りの色彩が強くなり
そうしないと、祭り自体も成立しないという声が聞こえます・・・。

田舎の秋祭りの屋台

「五穀豊穣の神様」を祀る日本の祭りです。
日本は、温暖湿潤気候だから、列島全体に、植物・木の実等が繁茂し、
古くから豊かな「採集生活」ができました。
だから、農耕を発達させるまでもなく、自然を畏敬し、自然の恵みに感謝する「祀り」が基本になったと思います。
「ヤマ」「カワ」「カゼ」「カミナリ」「ウミ」など全ての自然に「人間を超えた力」と認め、「神様」「精霊」として崇め、祈りの対象にしたのです。

風神・雷神

だから、日本の祀りは、「自然の恵み」・「豊穣」を願い、感謝することが基本です。
例えば、『古事記』 に記されている「宇迦之御霊神(ウカノミタマノカミ」は、穀物・豊穣の神様で「稲の神様」です。伏見稲荷の主祭神です。

宇迦の御霊の神

キツネは神様の伝令ですが、いつの間にか神様になっているようですね。
どんな地域でも、豊かな実りを与えてくれる女神様への信仰が祀りの基礎になったのです。特に、稲作が普及するとともに、全国の神社は、実りを感謝する行事を行ったのですね。

伏見稲荷神社

風土と宗教のつながり


砂漠の民が求めた「一神教」。
私は、宗教は「風土」と深くかかわっていると考えています。
日本の「八百万の神様」は、砂漠の中でひたすら「唯一の神」を求めた砂漠の民の宗教とは、出発点が異なります。

シリア砂漠

若い頃、私はシリアやヨルダンの砂漠を数日間かけて歩いたことがあります。旧約聖書に出てくるモーセの足跡をたどる旅です。
「十戒」を授かった後で、なお40年間も荒野をさまよって「神を求め続けた」と記されていますから、私は少しだけその追体験をしてみたのです。

熱い砂漠の中は何もないのですから、エジプトの神々のように「偶像を造る」必要もなかったのだと思いました。

エジプトの神殿

風土は偶像崇拝以前の問題です。
この旅で、ユダヤ教もキリスト教も、「砂漠の宗教」であることを実感しました。
私はその後、10年間ほど、暇を見つけて中東各地を旅しましたが、その中で、イスラム教は中東の砂漠と切り離して理解することはできないと痛感したのです。いまは戦争で危険な地域ですね。

収穫を感謝する新嘗祭(にいなめさい)

新嘗祭は、1年の収穫を神様に感謝する祭りです。
11月23日に行われます。現在は「勤労感謝の日」になっていますね。
最近、祝日を動かしていますが、この日だけは動かないでしょう。

新嘗祭とは、その年の収穫に感謝して新穀を神様にお供えし、来年の豊穣を願う行事です。 「にいなめのまつり」「しんじょうさい」と呼ぶこともあります。 日本書紀にも登場するほど古くから行われてきた行事で、現在では全国各地の神社で11月23日に行われています。 本来は宮中の祭祀です。

新嘗祭

天照大神をはじめ神々に、新穀とご馳走を捧げて感謝する「祀りの日」だからです。
『古事記』では、天照大神が孫のニギニギの尊(瓊瓊杵尊)に「稲」を与えて、国土を豊かな「瑞穂(ミズホ)の国」にするように命じたとあります。

鹿児島新田神社

ニギニギの尊は、天上から下り、地域の神様(大山津見の神)の娘を差し出されます。夜伽です。
この話は、私は、すでに「令和という元号と日本神話の裏話」で書きましたのでご確認ください。
一人の娘は美人のコノハナサクヤヒメですが、もう一人はイワナガヒメです。ブスなので、ニニギの好みに合わず返されますね。
コノハナサクヤ姫は、初夜一回だけの契りで妊娠したので「怪しまれて」しまいますね。実に人間らしいです。

富士山と浅間神社

姫は『産屋』に入るなり、もし生まれてくる子がニニギの子供でなかったら母子ともに死ぬだろう。しかし、実子だったら、無事出産できるでしょう・・・といって産屋に火を放ったそうです。

そして、三つ子「海彦」「山彦」「火須賀理命」を生んで、富士山の火口に飛び込んで死んでいった・・・きれいで、悲しい物語ですね。
この話は「中空構造日本の深層」で書きましたから確認してください。

桜の花

この可憐なコノハナサクヤ姫は「桜の精」として、私たちを和ませてくれますね。「山彦の子孫」が神武天皇に繋がるので、「天皇家が神格化」されるのです。天皇陛下は、神様の血をひいているということになります。
ここが他国の国王との根本的に異なる点です。

だから、天皇陛下は宮中の田んぼで「田植え」を行い、秋に収穫し、新嘗祭で神々に捧げるという行事を行っているのです。まさに農業神です。
今年は災害も多い年でしたから「新嘗祭」も大変ですね。

田舎では、相変わらず「神社の祭り」が準備されています。地域で収穫した作物を持ち寄って、感謝祭を挙行するのです。

秋の収穫を祝う

収穫を感謝する「庶民の祭り」ですが、
どういうわけか「バナナ」「パイナップル」「ワイン」が奉納されているところがありました。バナナは、どう考えても地域で収穫されたものとは思えませんが・・・。(笑い)
日本の祭りは、「自然の恵みに感謝する祈り」の祀りです。
さて、貴方の地域では、どのような祭礼が執り行われていますか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?