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ノーウェア(1997🇺🇸)デジタルリマスター版
原題: Nowhere(1997、アメリカ=フランス、81分)
●監督:グレッグ・アラキ
●出演:ジェームズ・デュバル、レイチェル・トゥルー、ネイザン・ベクストン、キアラ・マストロヤンニ、デビ・メイザー、キャスリーン・ロバートソン、ジョーダン・ラッド、ヘザー・グラハム
シューゲイザーやオルタナティヴロック等の名曲が作品を彩る
■スロウダイヴ “Avalyn II” ■マッシヴ・アタック “Daydreaming (Blacksmith Remix)” ■ ケミカル・ブラザーズ “Life Is Sweet (Daft Punk Remix)” ■ソニック・ユース “Hendrix Necro” ■ブラー “She's So High” ■モハーヴィ3 “Trying To Reach You” ■ポーティスヘッド “Mourning Air” ■マリリン・マンソン “Kiddie Grinder (Remix)” ■レディオヘッド “How Can You Be Sure?” ■スウェード “Trash” ...and more!!
『ドゥーム・ジェネレーション』の頃の1995年~この『ノーウェア』の1997年頃というのは、ロック界は一連の流れの勢いが弱まり、若干閉塞感のあった時期と言える。
上記のラインナップを見てもマッシヴ・アタック、ケミカル・ブラザーズ、ポーティスヘッドといったテクノというか非ギターロック系のアーティストが入ってきている。
リアルタイムの当時の空気感は正直わからないけど、この1997年以降のロックの世界では何とも言えない衰退感とかダウナーな雰囲気があったように感じる。
そんな時代背景で生み出されたのがこの『ノーウェア』。
前作では使われていたライドがここに来て使われてないあたりの"ハズシ感"もいい(ノーウェアなのに)。他にもジザメリ、ナイン・インチ・ネイルズ、アドラブル、ラッシュ、ホール、カーヴ、ヴァーヴ、ザ・ザ、エラスティカ…とかとにかくセンス良すぎ。
映画はロサンゼルスの若者たちのある一日を描くといった構成で、3人に焦点を当てた『ドゥーム・ジェネレーション』とは異なり様々な登場人物たちが続々と出てくる。
ミーナ・スヴァーリだとかライアン・フィリップだとか、まるで90年代ティーンアイドル映画のようなキャスト陣。
リチャード・リンクレイター監督の『バッド・チューニング』のようなテイストで、ストーリーはあって無いようなもの。
とにかく登場人物全員が悪い高熱に浮かされているような異様なテンションで、普通の男女関係や普通のセックスは描かれない。
どう解釈していいかわからない、あまりに不条理な展開と不条理な終わり方で観終わったあと、「何だったんだろう」という不思議な感覚に襲われた。
頭が疲れる類の映画ではないが、体温が上がった気がした。
治りかけの風邪が悪化したかもしれない。
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