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【②家具やインテリアを計画してみよう】01:2/3エントランスを作る @アンダイの家具


3.工場に発注する

いよいよ造作工事を登米町森林組合さんに発注します。

さて、アンダイはインテリアショップですが家具・インテリアの設計や特注家具の製作、内装工事も請け負っております。
ただし、実際に家具を作ったり工事をしたりはしません。
基本的にはデザインと設計・施工管理を行うことがお仕事です。
家具の製造や施工はパートナーにお願いすることになります。

設計は意匠設計レベルのものから実際に製作することを想定した図面を描くこともあります。
製作する工場によっては、「できるだけ自分たちの技術や機械に合わせて考えるので、外観だけ指示してほしい」というところもあれば、「作ることに徹するのでできるだけ細かく指示してほしい」というところもあります。
概ね前者のほうが仕事がこなれていてコストも高いイメージです。

今回このエントランスを作るにあたっては、かなり細かいところまで図面を起こしました。
コストを下げるという意味もありますが、自分のデザインの考え方を製作者に伝えたかったからです。
私の意図は図面で描くだけではなく、製作時にも立ち会ってできるだけ指示したいと考えています。

例えば東京でデザインしている人にとって、地方の小さな家具製造業者が自分の意図通りのものを製作できるかということは心配だと思います。
それに対して、自分がデザイン言語を通訳することで全国に通じる業者になっていただきたいと考えています。

4.木材を準備する

アンダイらしく素材は地元登米の木材を使用します。
屋外部分もあるので耐候性のある広葉樹のクリ材を使用します。
ただし、予算の関係もあるので屋内はスギ材にしました。
どちらの材も格安で分けていただいたので、節や虫食いがありますがこれもご愛敬です。
登米町森林組合で木材の乾燥をしてもらいます。
特に広葉樹の場合、この工程が重要になります。

登米町森林組合の乾燥機です。 低中温50~60℃で乾燥します。
クリ材を乾燥してもらいました。 含水率10%程度に落とします。
こちらはクリ材です。 屋外でも腐りづらい木材です。
屋内は予算の関係でスギ材にしました。

5.工場で加工する

今回の造作は造作家具屋さんではなく建具屋さんに作って頂くことになりました。
おそらく形としてはどちらでも作れると思いますが、今回は木材をしゃくったりするところが建具屋さん向きかも知れませんね。

まずは、今回加工に使ったものを中心に工作機械をご紹介します。

5-1工場の機械

ラジアルソーという機械です。 家具屋さんになくて建具屋さんにある機械とのこと。
今回の造作では縦残をシャクリ加工し溝を作っています。ここに横桟をはめ込みます。
ホゾ取り機です。 文字通りホゾを作る機械ですが今回は使っていません。
油圧角ノミ盤です。 ホゾ取り機に対してホゾ穴を開ける機械です。
今回は看板をはめ込む部分の彫り込みに使っています。
完全に彫り込みを通す場合はラジアルソーを、半分残す場合はこの角ノミ盤を使用します。
昇降盤ですね。真っすぐに木材をカットします。
これは家具屋さんにも必ずあります。 今回の製作にも使っています。
留切機です。 これも文字通り留加工するための機械で建具屋さんらしいものです。
大工さんならスライドソーで、家具屋さんなら昇降盤に45度の治具を
付けて切るのに対して留専用です。 ただし今回は使っていません。

5-2加工過程のパーツを確認する

検品当日は全てのパーツが出来上がっていたわけではありませんが、寸法等をチェックし、ほぼ問題がないことを確認しました。
この建具屋さんでは格子部分の加工をしていただき、塗装とレーザー刻印する看板は森林組合で作って頂きます。

検品時はクリ材の格子を組立中でした。 下穴を開けてビス固定し、木栓で埋めます。
木栓は市販のものでしたが素材が分かりませんでした。
こちらは入口の頭上に横に渡すクリ材の格子です。 木栓はまだ仕上がっていません。
こちらは外部の格子ですが、アンダイのサインが入る部分が彫り込まれています。
左の彫り込みを拡大したものです。 右側が角ノミで彫ったもので、手前から奥に彫っています。
角ノミの先についたドリルで穴が開いているのが分かります。
左はラジアルソーでカットしたものです。
横方向にノコ刃で切るのでノコ目は出ますがきれいです。
こちらはスギの格子です。 クリと比較すると柔らかそうですね。
これもラジアルソーでカットしたのでしょうか?それとも昇降盤?
クリの格子のアップです。 2か所ずつビス固定します。
こちらもクリの格子です。 虫食いの穴が目立ちますがご愛敬です。
人口乾燥機にかけているので虫は死んでいるはずです!?
こちらはスギの格子ですが、木栓で埋めて仕上げた状態です。
赤身と白太がハッキリ分かれていますね。
窓に立てかけた格子を逆光で撮影しました。 実際に納品するとこのように見えるのでしょう。

3/3につづく


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