おっさん50sふたり旅(仮)#3
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dey1-③
9月6日金曜日PM14:00、ダナン行きのフライトまで5時間のトランジットがある為、我々はタンソンニャット空港近くのバインミー屋で軽く汗をかきながらバインミーとビールを頬張り、店員の眼鏡をかけた若い女の子にWi-Fiパスワードを入れて貰って次に行く呑み屋を検索していた。
私はGoogleで良さそうな店を見つけてはシミケンに見せると言う奇妙なカップル的な行動を幾度も繰り返しているとお互いが好きそうな店を発見し、またもやシミケンに見せた。
「おっええやんええやん、この雰囲気!ザ ローカルって感じやな!軽くつまんで軽く呑もうや!外の風景観たいしな、ここ行こ!」
「ええよな、まだまだ呑み足りんしな!
ベトナム観光初日目、ほなここ目指して行こうぜ!オーライ!」
「オーライ!オーライ!行くべ!行くべ!」
「oi ! oi ! oi !」
バインミーのパンのカスをズボンに溢しながら、はしゃいでるおっさんを見て店員の眼鏡をかけた女の子も笑っている。
スマホに写ってる店の佇まいは汚い感じで、正に東南アジア感溢れているローカル食堂と言ったところだ、ふたりとも綺麗な店よりもこじんまりしたちょっと汚く見える店が好きなのだ。
距離として1キロぐらいで散策がてら丁度良い。
我々は店員の女の子を呼んでチェックしてもらった、バインミー2つとビール4本で17万ドン日本円にして約1030円だ、空港近くの店だからもしかしたら高いのかも知れないが、ひとり500円ぐらいだから安いと感じてしまう、まあバインミーの具はしょぼくお世辞でも美味いと言うほどでも無かったのだが…。
レートが1ドンで0.0061円、10000ドンだったら61円なので簡単に計算するのであればドンの下3桁を省いて残った数字にx6をすれば日本円で幾らかが分かるのだ。
50代一年生のおっさんでも解りやすいのだ。
私はふたりの財布(このふたりの財布とは、ひとり50万ドンずつ入れた財布である、通貨を割り勘にするのが面倒なのでふたりで使ったお金はふたりの財布から使う事になっている。益々おっさんカップルの誕生だ!)から紙幣を出すが、0も多いし肖像も全てホーチミン氏なのでどれが10000ドンでどれが100000ドンでどれが20000ドンかパッと見分からないのである、色だけは別々になっているのだが…。
もじもじしていると、スタッフの女の子がふたりの財布を取り上げ、勝手にお札を2枚取り出した!私は何をするんだと思い空港の両替屋でボラれた事あったので一瞬身構えてしまったのだが、ちゃんと会計通りのお金を取り出していて我々にベトナム紙幣を教えてくたりもした。
親切な眼鏡かけた女の子であった。
店を出てGoogleマップを確認しながら目的の店に歩きだした、どんよりとした曇り空、いつ雨が降って来てもおかしく無い天候だ、そして凄い暑い、とにかく暑い。
ウェザーニュースのアプリを確認すると34度と表記されてるが、増し増しで36度といった感じか。
空港施設の外に出てタクシー乗り場をやり過ごし大きな公道に出た。
ビルが建ち並び都会と言った感じだ。
やはりバイクの数が多い、巨大なバッタの大群の様に行き交いしていて、意味があるのか無いのか分からない信号で待っていても一向にバイクは止まってくれない、ここは強行突破だ。
我々は信号無視は得意なバリバリな50代だ。
バイク川の向こう岸に渡り右に曲がると急にローカル感ある光景に変わった、舗装はガタガタだし歩道と言う歩道がある様で無い、南国ならでの訳のわからん木々、私はワクワクと嬉しさを感じた。
来たな!この感じ!
するとシミケンが
「あかん、マボっめっちゃ暑いもう堪らん、びしょびしょやわ、あー暑い暑い」
ふとシミケンを見ると長袖のデニムの色が汗で変色して濃いグレーになっている。
汗の染み正しく汗のシミケンだ。
何故南国に行くのに長袖のデニム生地を着て来たのか不思議でたまらない。
ベトナムに行く数ヶ月前にはこう言っていた。
「俺、向こう着いたら短パンにビーサンで過ごすで、絶対暑いやろ」
と言ってたのにも関わらず出発の日は長袖のデニムしかもビーサンでもなくニューバランスだ。
日本も凄い暑い日だったのに、私は思わず聞いてしまった。
「こっち来たら短パンビーサン言うて無かった?なんで長袖着て来てん?」
「これか?これあれやで、そんなに分厚く無いからそない暑く無いねん」
「ダハハ〜笑なんやねんそれ!長袖には変わりないやんけ笑 短パンビーサンは?」
「ホテル着いてから着替え様思ってるねん、俺には俺なりの考えがあるのよ」
そう人には考えあるのだ…。
前回タイのチェンマイに一緒に行った友人のマーキーと言う奴は待ち合わせの関西空港にショートブーツを履いて来たのである。
私はブーツなんか履いて来て向こう着いたら暑いやろと問いだすと。
「えっ?タイってそんな暑いん?こ、これはやな虫除け対策や!」
ブーツを虫除け対策と答えた。
おまけに出国検索の時に、この旅の為に買ったと思われるまあまあ値段のするガスライターも没収されたりもしたり、
着いたら着いたでワット(寺)と関わってそうな古い建造物の前で立ちしょんべんをしてたら隣の金物屋のおばちゃんがクワみたいな物を振り回し追いかけられたりと他にも色々あったがここでは割愛しておこう。
とにかく面白い奴である。
さて、20分ぐらい歩いて目的の店に着いたのだが、肝心の店が無い、マップがズレているのかと思いその周辺をウロウロしても廃墟しか無いではないか。
どうやらGoogle mapの情報が遅れていて店は潰れた後の様だ。
私は言った。
「うーむ どないしよ?とりあえずこの辺歩いてええ店会ったら入るか、それとも…」
「おうマボっ!それもええし、さっき通った所にええ感じの店あったよな、クーラーも効いてそうだし」
「それそれ!俺も言おうとしててん、そこ行こう!室内ぽかったしクーラーもあるやろ、ちょっと暑過ぎるから涼みながら一杯やろうや!」
ここまで来る道のりでお互い合致した店が会ったのだ、そして我々は旅の疲れと高気温で体力も奪われてたのでクーラーがある店でゆっくりしたかったのである。
その店に辿り着くには来た道を戻れば早く辿り着くのだがそれでは面白く無く、まだ未知の道を楽しみたいので面倒だけど迂回する形でその店に向かって行った。
すると突然スコールが降り出した。
直ぐ様近くのコンビニの屋根の下に入り雨が止むのを待っていると中華鍋を傘にして走ってるおばちゃんが居た。
渋い。
数分歩いて御目当ての店に到着したのだがショックだった、クーラーは無く巨大な扇風機が何台かあるだけで、しかもドアが開けっ放しで外の熱風が店内まで入り込んで来ている。
一瞬出ようかと思ったがもう面倒臭くなりそのまま席に着いた。
店内はまあまあ広々とし長テーブルが8台くらい置かれている、客はドレッドヘアの黒人ひとりとスタッフのオバチャンが2人居た。
メニューなども無い。
私はそれはそれで嬉しくなり、また興奮した。
とりあえずオバチャンを呼んでビールを頼んだのだが、オバチャンは缶ビールが入った冷蔵のショーケースを指差し、ベトナム語で何か言ってきた、おそらく自分で取りな!と言ってるのだろう、私はショーケースからサイゴンビールを2本取り
出した。
サイゴンビールはベトナム最大のビールメーカーでもある、国内シェア率70%誇りベトナムと言えばこの銘柄みたいだ、味はアジア特有のサッパリスッキリ薄いの三拍子どの銘柄呑んでもそんな味だ。
カウンターに料理が並ばれておりそれを頼むシステムだった、私は適当に2品頼んで席に戻った、オバチャンがお皿によそって持ってきてくれるみたいだ、我々は乾杯してビールを呑んだ暑いからまた美味い!でも…本当は二階堂が呑みたい二階堂の炭酸割りが呑みたい…。
私は以前はビール党だったが今ではもっぱら二階堂の炭酸割りが好きな二階党だ、1杯目から二階堂を頼んでしまうぐらい好きだ、嗚呼、二階堂をこっそりベトナムに持ってきたら良かったと思ってしまう…、。
人知れず、彷徨いながら、たゆたいながら、水は、おいしく磨かれていく。大分の、おいしい水と出会って、私は麦だけの焼酎になる。
嗚呼二階堂、大分の味、二階堂…。
しばらくするとオバチャンが大きな皿に山盛りのご飯とその横にある謎の草を持ってきた。
「えっ?米なんか頼んでないぞ!要らんで要らんで」
私はほぼ日本語で説明したが無視するかの様にテーブルに置かれた。
「おい、どーするシミケン俺こんなに食われへんで!軽いおかずをアテにして呑もうと思ってたのに、しかも米の料金も取られんちゃうか?またボラれるんちゃうかー!」
「そーかも知れんなーでも知れてるやろたかが米やし、それにしてもこれは多いな俺もこんな食われへんで」
またしばらくすると指差しで頼んだ豚の角煮みたいのと鶏の煮物みたいなやつとスープも来た。
「これじゃ定食やんけ!わははやってもうたなとりあえず食うしか無いな」
「おう食おう食おう、マボっ残すなよダハハ」
するとシミケンはまず米から行ったのだ
普通おかずからの米だと思うのだか…。
「美味い!うんま〜この米美味い」
シミケンが言ったので私も米と横の草と一緒に食べた。
う、美味い、米は細長く張りがなく、パラパラしてるが、米自体に味が乗っていてシミケンが言う様に米だけでも食べようと思えば食べれる味だ、添えつけの草も空芯菜みたいな味付けでよく米に合う、そのまま鳥の煮物を口に入れた、これも美味い!生姜が効いて後から甘さもあり独特の香りもある、おそらくニョクマムで炊いたであろう、これもご飯がすすむくんだ。
豚の角煮も八角とニョクマムと砂糖の味がしてこちらも美味い!ビールももう一本頼んでしまう!
ふと見ると店内は制服を来たベトナム人で溢れかえっていた、どうやら空港関係の職員が休憩するローカル食堂らしい、
みんなオカズを一品頼んでライスは自動的に付いてくるみたいだ。
私はボラれると思った事を情け無く感じた。
結局我々はあんだけこの量は食べれないと言いながら完食してしまった、しかもビールも追加して…。
しかし関西空港から呑んで食ってでヤングなおっさん50代だ、会計したらひとり65000ドン400円ぐらいだった…
(安過ぎるぜベトナム!)
店を出て時計を見ると15時40分だった。
私は言った。
「フライトまであと2時間ぐらいあるけど暑いし早目にチェックインして空港内で涼もうや」
「おう そーしよなんせあちぃわ、空港やったらクーラーも効いてるやろ」
そーと決めたら我々は早足で空港に向かった、店から大体5分の距離なのですぐ着いた、するとフライトの掲示板に人が群がっている、なんだろうなと思い我々が乗る18:00出発のダナン行きを見たらDelayed と書いてあるじゃないか!その他の便もDelayedと表記されている集団遅刻だ! なんてこった!まだ出発まで2時間以上あると言うのに遅延だなんて!しかも何分遅れも出発時間も表記されて無い!まさか…何日か前からフィリピン沖で発生した台風の影響なのか……。
とにかくここは叫ぶしかない
オーノーーーー!
続く
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