ミント警察とミントテロ
ミント警察
ミント植えると言ったら必ず袋叩きに遭うやつです。
僕はミント警察と恐れています。
断言していいですが、こういう脅し文句言うやつの半分以上はミント植えたこと無いです。
そして庭をミント腐海に沈めてしまったやつはその中の十人に一人もいないはずです。
その証拠に参考に写真見せて、とお願いしてみてください。
腐海の写真見せてくれる人はまずいないはずです。
いや聞いた話でよう知らんけど、とか何とかしたから写真撮れないとか言ってくると思います。
いや何とかなっとるやないかい。制御不能言うたんちゃうんかい。
写真は筆者実家の地植えミントです。
地植えして10年ですが、1m四方くらいに納まり続けています。
手入れは時々収穫するのと、たまに地下茎やランナーではみ出してくるやつを抜く位です。
日当たりも良くミントには最適の環境で、ドクダミとスギナは毎日むしっても庭中蔓延っています。
しかも日本唯一の地中海性気候(と言われる)地域で、ミントには合っているはずです。
河川敷などでたまに野生化したミント群落を見ることがありますが、他の雑草を押しのけて生えていることはまずありません。
他の草と共存しながら生息していて、何年か経つと河川敷じゅうが埋め尽くされることもありません。
圧倒的に頑健で侵略的であるというのは誤りです。もっと言えば都市伝説です。
日本の侵略的外来種100にも生態系被害防止外来種(要注意外来生物)にも選ばれていません。
それらに選ばれている植物にはハルジオン・園芸スイレン・クレソン・キショウブ・からし菜・花ニラ・ワイルドパッションフルーツなどがあります。
ミントはこれらに比べると危険性が低いと言うことです。
だいたい、そんなにヤバい植物なら注意書きの一つもなしにホムセンに並んだりしません笑
ミントの種類
ペパーミントとスペアミントが主な品種ですが、園芸品種含め数百種類に及ぶと言われています。
清涼感が強いペパーミント、ソフトでフルーティな香りのスペアミントなど、種類ごとに香りや風味が違います。
好みの種類を選ぶと良いと思いますが、アップルミントだけはやばいです。
侵略力が群を抜いて高いです。
他のミントがロ○ア軍とすれば、我らが精強精鋭無比、陸自第1空挺団なみの突破力なのでアップルミントだけは気をつけた方がいいです。
おそらく腐海に沈んだ庭もアップルミントの仕業だと思います。
アップルミントにはアレロパシー効果も確認されており、ミントを混植してもいつの間にかアップルミントだけになっています。
アップルミントの園芸品種であるパイナップルミント、グレープフルーツミント等も避けた方が無難です。
いろいろなミントの中には栽培が難しいものもあるので、ビギナーは万能スペアミント一択でいいと思います。
お酒好きでどうしてもパパ・ヘミングウェイが飲んだモヒートが飲みたい!という人は是非「イエルバ・ブエナ」を。
キューバンミントとも呼ばれる青臭い香りが特徴のミントで、最近は苗も手に入りやすくなっています。
大事なことなのでもう一度言います。アップルミント要注意。
交雑してただの臭い雑草になる
「交雑」というのは一緒に植えておけば混じり合うという意味ではありません。そんなんキメラです。勘のいいガキは嫌いだよです。
花が咲いて自然交配して種が出来て、それが落ちて発芽して初めて雑種ミントになります。
だから花穂が出たら詰んでおけば大丈夫です。
交雑もしないし、種子による拡散もありません。
あと花穂を摘むと葉が固くなりにくいので長く利用出来ます。
ミントテロリズム
これも都市伝説的にささやかれるのですが「嫌いな人の庭にミントの枝を投げ込む」「むかつく上司の庭にミントの種をばら撒いた」「隣人が鬱陶しいので庭にこっそりミント植えてやったらうちの庭まで侵略してきて大変なことに」等々悪事の限りを自慢するミントテロリスト。
種はともかく(覆土や水分など条件が揃わないと発芽しにくいそうです)、枝が地面に落ちただけで活着することは珍しいです。
ミントは乾燥に弱いので、発根する前に干からびて枯れます。
こういう写真もありますが、自然に発根したのなら奇跡的です。
ミントは枝の節からしか発根しないので、慎重に節を残して枝をカットし、脱脂綿などで発根させないとこうならないと思います。
つまり、こういう写真を撮るために作られた可能性が高いです。
実際「ミントテロでひどい目にあった」という話は聞いたことないです。
脱獄させないミント栽培
鉢・プランター植えの場合、恐れるべきは脱獄より枯らすことです。
ミント苗植えた人の半分以上は枯らしてると思います。
ミントはハーブ類の中でも乾燥に弱く、水切れさせるとあっけなく枯死します。夏は朝晩灌水してもいいぐらいだし、冬場地上部が枯れても水をやり忘れると根まで枯れます。
「ミントすら枯らす女」は水やり忘れ、「サボテンを枯らす女」は水のやり過ぎです。
元肥入れてもいいですが、花の土に植えてたまに液肥やる位で十分です。
脱獄対策は「地下茎」「ランナー」「種子」に分かれます。
地下茎はあまり深く潜るタイプでは無いので、地植えなら20〜30センチの深さまでブロックやプラ板で仕切りを入れれば大丈夫です。
鉢底の穴から逃げ出すことはそう心配しなくてもいいですが、心配ならコンクリ等の上に置くか、地面から鉢底を離しておきます。
ミントは地下茎含め、根が伸びるのが早いのですぐ根詰まりします。
鉢の大きさにもよりますが、少なくとも1〜2年に一度は植え替えましょう。植え替え時期は花が終わる夏の終わり〜秋が良いです。
ランナーは地面に着くと発根するので切り戻します。
種子は厄介です。
粒が小さいので飛散しやすく、交雑種も出来てしまいます。
対策は花穂が出たら摘む。これで大丈夫です。
あまミント
6月1日にクラファン開始したプロジェクト「あまミント」は順調にサポートを集めながらも炎上しました。
シマ出身で東京でバーを経営されている傳(ツタエ)義久さんがシマを深く想って立ち上げられました。
自然豊かなシマ、奄美大島でミントを栽培し「あまミント」としてブランド化しようという夢のあるチャレンジです。
「何故(よりによって)ミント?」という疑問が多く出ましたが、前述の「モヒート」がキモになっています。
モヒートの基本構成はラム酒+ライム+ミント+ブラウンシュガー(+ソーダ)ですが、奄美には群島(喜界島〜与論島の奄美群島を「群島」と呼びます)でしか製造が許されない黒糖焼酎があります。
そして島ごとに様々な柑橘があります。
柚子を代表とする「酢みかん」は沖縄シークワシャー、徳島すだち、和歌山じゃばらのようにメジャーなものから地元でしか知られていないものまで数え切れない種類があります。
例えば喜界島特産の花良治(ケラジ)は毎年高知で開催される「土佐の酢みかん&土佐寿司祭り」でも毎回好評を博しています。
香りがピーキーで、僕も大好きな酢みかんです。
さらにブラウンシュガー。
奄美のさとうきびは高品質で知られ、素晴らしい香りと深い甘味がある「奄美きびざら」も製造されています。
※奄美きびざらは本当に旨いので是非お試しいただきたい
そこに満を持してあまミント。
もちろん品種はイエルバブエナです!
全てシマ育ちの素材、もう、酒好きとしては涙ちょちょ切れますよ。
これ飲むためだけにシマ行っても言いレベル。
あまミントに対する批判には、カクテルで島興しなんか出来ないという意見もありましたが、自分が興味ないから他人も興味ないだろうと決めつけて批判するのはおかしいと思います。
もちろん、あまミントプロジェクトは行政や専門家も協力して慎重に進められています。
それに対して何千人ものミント警察が攻撃を仕掛けました。
誹謗中傷はもちろんのこと、行政に確認という名の嫌がらせ電話、奄美でハーブ関連の業務をしている法人にまで嫌がらせを繰り返す。
そして10日もすれば興味を失って忘れるだけ。
そっちの方がテロリズムじゃないですか。
だいたいシマでもミント栽培はしてるしビッグIIにもミント苗売ってます。
人喰いサメとミント神話
恐ろしいイメージがあるサメですが、人を襲う可能性があるのは3〜4種と言われており、日本でサメの襲撃事故(シャークアタック)は軽傷のものを含めて年に一件程度です。
人喰い鮫と呼ばれるホオジロザメと一緒に泳ぐ動画もあるように、危険な種類も人を襲うことは稀と言えます。
それでも「サメは怖い」というイメージを持っていない人はまずいないと思います。
それと同様、ミントも発信源は分かりませんが「手に負えない悪魔のハーブ」というイメージだけが流布しています。きちんとした園芸研究家の方は冷静な情報を発信しているのですが、コピペ切り貼りのサイトの方が検索に強いのと、センセーショナルな方が人目を引きやすいのでミント神話が拡大再生産されていきます。
ミントは他の園芸植物に比べて突出して制御出来ないものではありません。
以前から育てたことも無いのに大げさに都市伝説を吹聴するミント警察に物申したく思っておりました。
ミント、育てていいのよ。ただし水やり忘れないで。
フォロワ様少なくて出来ないけどミント警察の皆様にアンケート取りたい。
・育てたことがない
・(育てたが)枯らした
・適切に育っている
・腐海に沈んだ/沈んだのを実際に見た
鰺なバナーは@OBOtto_様からいただきました。ありがとうございます。
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