好きな話をするだけ「sasakure.uk」
世の中には言える趣味と言えない趣味があると思う。
正確には「言いにくい」趣味と「言いやすい」趣味
今回は、自分が愛してやまなかったボカロPである、sasakure.ukがなぜ好きだったのか忘れないうちに書き記しておこうと思う。
好きなものは一過性だから。忘れないようにね。
私がsasakure.ukを好きになった理由
sasakure.uk(以下ささくれP)の楽曲に出会ったのは、ニコニコの「深蒸し饅頭」という投稿者がささくれPの曲を考察していたのを見たからだ。
当時ゲームボーイやらレトロゲームが好きだった私に、ピコピコ音、ファミコンの世界観を生かした楽曲は当然のように刺さった。
特に最初に好きだった楽曲は「しゅうまつがやってくる!」で
「きみときみの愛する人を大切にね。」
がコンセプトで作られた、優しさの塊のような楽曲、ポストアポカリプス的設定、音楽の「自分の好きなものを詰め込みましたよ」みたいな感じが、音楽を聴くというよりも、物語やちょっとしたショートショートを読んでる感じがして好きだった。
そして考察チャンネルからささくれPにハマった私は、物語を考察することの面白さにも気が付くことができた。
ささくれPの音楽の特徴的な点は、「100曲以上ある曲の世界線が全て同じもので描かれている」点だと思う。
あくまで自分の解釈なので間違えているかもしれないが、コレを考察するのが楽しかった。
雨とトラウマ
例えば、音楽のキーワード、「雨」という言葉や表現に注目すると
ささくれPの曲がさらに聞いていて面白くなる。
ガラクタの町を覆う天空都市が崩れてしまって、好きな人が死んで、それから雨が降りやまなくなった元ガラクタの町に住む、登場人物がいるのだが、
曲を聴いていく中で、「雨=物語のトラウマ」を克服していく過程が見られる。
ささくれPは「トラウマの発生→受容→乗り越え」の過程を曲で丁寧に描いている。これが本当に丁寧で、トラウマが多い自分には刺さる。
そして、トラウマは物語や空想だけでなく、現実のこともささくれPは表現している。
それは、ささくれPは福島出身であり、東日本大震災により故郷が被災してしまった経験からなのだが、その頃あたりから、ささくれPの曲は
「どんなにつらいことが合っても、前向きになれる曲」
が多くなったと思う。
例えば、「深海のリトルクライ」は、本来はもっと暗い曲で作ろうと思っていたが、被災を経て明るい曲調に作り直した。というインタビュー記事があったり、「uzumakinoharu」という楽曲を改めてリメイクし、3.11の日に投稿したりもしている。
そして私はこのリメイクされた「uzumakinoharu」という曲が大好きだ。
一番好きな曲だと思う。
この「uzumakinoharu」はピアノのクラシック音楽?であり、
なぜ好きかと言うと、よく通学中にこの曲を聴いて通学するのだが、私は本当に音楽が渦を巻いているように聞こえるのが好きだからだ。
この曲を聴きながら通学すると、なにげない日常とか車が通る音、信号の音とかすべてが音楽になる。日々渦を巻いているような繰り返すばかりの日常が、尊いものに感じる。
そしてまた、抑揚のついたピアノの音も、何気ない日常に一歩一歩踏み出すような人の力強さを感じて好きだ。
ささくれPには、このように音楽を考察する楽しさや作者の背景を考えて音楽を聴く楽しみを教わった。ありがとう。
最後に
もし、この記事を読んだ人がいたのならば、
外に出歩くときに「uzumakinoharu」を聞いてみて欲しい。
きっとあなたの言いにくい趣味が増えるはずだから。