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オフィスビルの施設警備の今後を勝手に考えてみた
愚痴多めです。
気分が悪くなりそうな人は回れ右して下さればと。
有名企業のオフィスビルの施設警備は概ね大手警備会社が請け負っている……というのはだんだん過去の話となりつつあるのではないかと思います。
日本国民なら誰でもその名を知っている、というより、世界中にその名を広く知られているというレベルの大企業の場合は、従来の『警備会社への業務委託』というスタイルから、
自社内にセキュリティ事業部や自社の警備に特化した警備会社を設立して、自社やグループ企業の警備を賄うというスタイルに移行する傾向が高まってきているように思います。
特に、コーポレートイメージやコーポレートブランディング、ミッションステイトメントがはっきりと確立されている大企業では、企業文化の異なる警備会社から出向して来た、よそ者である警備員よりも
自社の企業文化に沿って業務を遂行してくれる自社雇用の警備員(法律上は守衛に区分されますが)に任せた方が色んな意味で都合が良いし、効率的であるといえます。
警備会社から出向してきた警備員たちは、クライアント企業の社員ではないので、クライアントのミッションステイトメントなどを理解・共有・尊重することはできても、その価値観や行動指針に従う事はできません。
あくまでも警備員たちは『警備会社の社員』なので、自分たちの所属会社の企業理念、社訓や社是に従う義務があります。
警備員はクライアントの需要に応じて警備業務を提供するのが仕事ですから、契約の際にクライアントと警備会社の間で取り決めた警備計画に基づいた業務を粛々と執り行うのみです。
よって、警備計画にないイレギュラーな業務をクライアント側の社員がその場の判断で警備員に直接指示したり、実施させるような事はできませんし
業務内容によっては法令違反となるケースもあります。
警備員もまた、警備計画にない業務を指示された場合はキッパリと断らなければいけません。
それが、警備会社に業務を委託する上では守らなければならないルールです。
だからといってクライアント側の意向を無視して警備会社のカラーを前面に押し出してはクライアント側との軋轢を産みますし
そうかと言ってクライアント側に寄り添い過ぎては、今度は逆に自分の所属する警備会社の方との関係性が悪くなる、という板挟みの中で、常にバランスを考えながら働く必要があります。
実はこれが警備員にとって大きなストレスでもあり
この、煩わしさが原因であると考えられる、現場の警備員たちへの影響はと言いますと、
本来の業務に集中できなくなって、業務の効率が落ちたり、つまらない凡ミスが頻発しやすくなったり
警備員同士の人間関係にもあまり良い影響を与えません…というか、一番はここです。
僕が配属されている隊に限った話になりますが
僕が配属されている◯◯本社警備隊の人間関係は、本当に冗談抜きで最悪です。
(まぁ、隊長が社内でも有名な曲者なんでねw)
もともと、ここの警備隊はうちの社内では
『反省室』『懲罰房』
などと密かに呼ばれている、いわくつきの隊なんです。
…あるいは別名『追い出し部屋』とも。
ですから、他の隊で何かしらやらかすと、隊長あたりから
『お前なぁ、そんなバカな事ばっかりやってっと◯◯(クライアント様の名前)に飛ばすぞ?』
『ひいぃっ!すみませ〜ん!以後気をつけますんで◯◯に転属だけは勘弁してくださいっっ!!』
なんて冗談とも脅しとも取れない言葉が飛び交うのもうちの社内あるあるなんですが、そんな事実をクライアント側の人たちは知るよしもないかと。(知ったら激怒すると思うw)
何故こういう風潮が社内に構築されてしまったのかというと
根底はこの◯◯本社警備隊の立ち上げメンバーに起因しているかと思います。
◯◯本社警備隊は、うちの社内では比較的歴史の浅い警備隊です。
僕がこの警備会社に入社する少し前に立ち上げられた警備隊で、立ち上げメンバーを選任するにあたって各隊から1〜2名ほど選出する必要があったんですが、
各隊から選ばれたのは、選りすぐりの精鋭などではなく
各隊のお荷物隊員・問題児ばかり
だったんです。
そりゃそうでしょう
どこの隊の隊長も、仕事ができる有能な隊員を自分の隊から出したくないものです。
反対に、仕事のできない隊員やクレームが多い隊員など、何かしらの問題行動を起こす隊員は、自分の社内評価や査定を下げる害悪な存在でしかないので、よその隊になすり付けたい、もっと言うなら辞めて貰いたいと考えるものです。
そこに、新規契約の物件ができたとなると、願ったり叶ったりで、追い出したい隊員をそこにぶっ込んだらいいんじゃね?ということに。
それとあとは、何もわからない新卒や中途採用の新入社員を適当に放り込んどいたらいいか、くらいのものでした。
…僕も入社して最初に配属されたのがこの◯◯本社警備隊でした。
本当ならば僕は輸送警備か機械警備を希望していたんですが、輸送警備は新卒を配属させる事になっていて空き枠がなく、機械警備も空き枠がないという理由で、施設常駐に行かされる事となり
何もわからないままこの隊に配属になったけど、隊長をはじめ、あまりにもクセの強すぎるメンバーたちとの人間関係にすっかり病んでしまい、
半年も経たない内に音を上げて、物件担当の主任に退職願いを申し出たところ、慌てて機械警備に配置転換して貰えました。
そこから数年は機械警備の機動隊員として楽しく働いていました。
そりゃ、機械警備だって大変な事もたくさんあるし、面倒なお客様だっていますが
あの、◯◯本社警備隊の隊員たちのカオスぶりを思えば、そんなの屁でもないです。
…まぁ、◯◯隊は、隊長が一番のモンスターなんですがねw
なにせ、筋金入りのモラハラ・パワハラ大魔王ですから、どこの隊でも煙たがられて、隊員たちからの人望もない御仁だもんで、新規物件立ち上げの際に、会社を辞めさせたい問題児を押し付けるのにはピッタリの適役ということで選任された訳ですから。
(本人はその事実に気づいているかいないのかわかりませんが…)
そんな訳で…◯◯本社警備隊はとにかくトラブルが絶えなくて、離職率もワースト1のいわくつき警備隊ですから、とにかく新人が定着しないんです。
しぶとく残るのは隊長を含めたモンスター社員ばかりで。
早い人で配属1日目の昼休みに
『昼メシ行ってきます』
と、外に出たきり、休憩終了後も帰って来なくて、連絡もとれずに後日退職届が郵送されてきた、とかも普通にありましたし
隊長や初代の副隊長からOJT中にガツガツ追い込まれて、ある日突然退職代行から電話が掛かって来たり、とかも少なくなかったですし
隊長と初代の副隊長はとにかくソリが合わなくて、年がら年中トラブルばかりで、その皺寄せが班長以下の隊員にぶつかってくるのは日常茶飯事で、
隊員同士が業務中に取っ組み合いのケンカをしたり、
勤務中に柔道部出身とボクシング部出身の隊員同士の異種格闘技が繰り広げられたりと
なんともまぁ、賑やかな職場です。
正直、あの警備隊は魔の巣です(笑)
二度と関わりたくない!とも思っていましたが、ある時、短期間で数名が一度に離職してしまった為、業務が回らなくなったということで、過去にこの隊に所属していた隊員に戻って来てもらいたいという応援要請があり、僕と他数名が再びこの◯◯本社警備隊に引き戻されてしまいました。
それは機械警備で平和な警備員ライフを送っていた僕にとって青天の霹靂ともいえる事案で
『えっ?!ぼ、ぼく、何もやらかしてませんよ?!クレームもないし、重大なミスもやらかしてませんよー、なんであそこに戻らないといけないんですか?!ひどいじゃないですか〜』
と、機動隊の隊長に半泣きになって訴えましたが、
『ごめんよぉ…トラ夫くんが何も悪くないのは僕が一番よくわかってるよ。うちの隊でも班長だから抜けられるとこちらの業務にも支障が出るから困ると一度は断ったんだけどね、でもね、あそこも急な退職者が一度にたくさん出ちゃってね…トラ夫くんはもともと最初の配属があそこだったでしょ?だから業務内容も知ってるし、初めて行く隊員だとまた改めてOJTをやらないといけないからね。
あっちの隊からは、新入社員にもOJTをしないといけないからそんな余裕はないから経験者をよこせという要望があってね…』
機動隊の隊長が申し訳なさそうに何度も頭を下げているのを見てるとそれ以上言えないですからねぇ…
こちらの隊長は本当に良い人なんで。
うちの隊長と◯◯本社警備隊の隊長とそれぞれの担当の内勤社員との間での協議の結果、ぼくの処遇は
所属隊は今まで通り、機械警備の機動隊となりますが、月の半分ほどは◯◯本社警備隊に出向という形になりました。
完全な異動でないのが不幸中の幸いでしたが、それでも月の半分はあの魔の巣に行かないと、と思うと相当メンタルがやられます。
なにせ新人が半年どころか1ヶ月も持たずに次々と辞めていく、魔境ですから。
そして相変わらず残っているのは社内でも札付きの問題児やどこにも行けない無能隊員だけ…
1日働いただけで半年分のエネルギーを消耗する現場です。
クライアント企業は世界に誇るトップレベルの超優良企業なのに、そこの警備を委託されているチームは、委託業者の社内では最底辺の寄せ集め、って、クライアント様の社長が聞いたら激怒やら呆れるやらを通り越して大笑いするかもしれません。
こういう所も、警備会社に業務委託する事の大きなデメリットと言えます。
本来ならばクライアントはきちんと仕事ができて、人間的にも問題のない警備員を配置して欲しいと願っているはずです。
高い契約金を支払っているんですから、それは当然のこと。
しかし、クライアントは配置される警備員に対して要望を出すことはできても、最終的に誰をそこに配置するのか決めるのは警備会社です。
例えば、いつまで経っても仕事の覚えが悪いとか、鈍臭くて自社の企業文化に合わないなど、クライアントの意に沿わない警備員が配属されて来ても、その警備員が明らかにクライアントに損害や損失を与えるような事案でも起こさない限りは、
あの警備員は気に入らないから配置を外してくれ、とか、もっと仕事のできる警備員に変えてくれ、とは言えません。
仮に言えたとしても、警備会社から
『現在人員不足により、配置転換は難しい』
と言われたら、それまでです。
それと先述のように、既に他の隊で活躍している有能な警備員は、そこの隊長が手放そうとしませんから。
ですが、自社雇用となれば、面接も自社で行なった上で採用か不採用かを決める事ができますから、自社のカラーやイメージに沿わない人は最初からオミットできますし、
運良く面接をすり抜けても勤務開始後に能力不足などにより、業務に向いていない事が判明すれば自社で再教育や指導もできますし、
再教育や指導の結果、改善の兆しがなければ退職勧奨も行えます。
しかし、警備会社から出向してきた警備員に対してこれらの行為は一切できません。
能力不足な警備員が目に余る場合であっても、クライアントは警備会社に再教育や指導のお願いをするのが関の山です。
もっとも、お願いをしたところで
『善処します』
と返されて、警備会社からは特に何もアクションがない事が殆どです。
警備会社は大手も中小も深刻な万年人手不足なんですから、既存の社員にうるさく注意指導をして辞められたら困るというのが本音です。
ですから、せいぜい口頭で
『あーあーそこの君、まじめに仕事をするよーにっ』(鼻くそホジホジ)
『へぇ〜い、アイアイサ〜(けっ、チョロいぜw)』
となる程度です。
いやこれガチですから(笑)
警備会社は、クライアントの要望をお窺いしてそれに合わせたサービスを自社の警備員に提供させているとはいえ、所詮はクライアント企業の社員ではないのだから
『我々は◯◯警備株式会社の社員であってクライアント様の社員ではないから、クライアント様の企業文化に染まる事はできません』
と最終的にはなってしまい
本当の意味でクライアントの望む警備を行う事は不可能になります。
クライアントから見た警備員が、他社の社員である以上、クライアントには警備員に対する指揮権はありません。
警備員に対する指揮権は、あくまでもその警備員の属する警備会社にのみ、あります。
これをはき違えてクライアントが直接警備員を指揮するのは、明らかなコンプライアンス違反となります。
例を挙げますと
クライアント側の社員が、直接警備員に契約外の要望をお願いする事はいけません、ということなんです。
要望があるのであれば、クライアント側の警備担当社員(警備側の責任者と直接交渉できる権限のある人)に要望を上げて
クライアント側の警備担当と警備側の責任者とで協議し、協議の結果、可決となった場合は警備側の責任者から警備員に指示を出す、というプロセスが必要になります。
実はこれがややこしくて面倒なんですが、この手間を省略すると、あとあとさらに面倒なことになります。
ですが、このプロセスは非常に非効率で非生産的で、ひたすらに時間の無駄です。
ですが、自社雇用の守衛であれば、その手間はなくなります。
よそ者である警備員てはなく、自社の社員なんですから。
そう考えているからこそ、大企業では警備会社に委託せずに自社(自社のグループ企業という場合もある)でセキュリティ部門を立ち上げて、そのセキュリティ部門の社員に自社の警備を任せるというスタイルにして、事業の効率化を図っていると言えます。
それと比べると、警備会社に委託するのはデメリットの方が多いと思います。
そうなりますと、僕らのような、大手警備会社の警備員の需要はますます減って行くと考えられます。
と言うより、今後のオフィスビルの警備は大企業よりも中小企業などの小規模の事業所が主体になるのではないかと思います。
僕の配属先も契約が終了しました。
今後は自社雇用のセキュリティスタッフが後を引き継ぐこととなるようですから。