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女性警備員が定着しない理由・その2

女性警備員の需要は年々高まっているにも関わらず、女性警備員の数は一向に増えないものです。

女性警備員が働きづらい理由として
・肉体的にキツい
・着替えやトイレ、休憩室の問題
というのが主にネットで出回っていますが

それらはあくまでも交通誘導警備での話で、施設警備の場合はそれらの問題がクリアになっている現場の方が大多数です。

でもいまだに女性用の休憩室や更衣室がない施設の現場も存在してはいますが、うちの会社(を含む大手警備会社)の場合は、契約の際に女性警備員の配置を希望されるのであれば女性用の休憩室や更衣室を確保してもらえるように交渉して、確保ができている現場にのみ女性警備員を配置していますから、その心配はないです。
そこが大手企業ならではの強みではないかと。

また、施設警備は基本的に空調が効いた屋内での勤務になり、防災センター勤務や受付業務など、座ってできる仕事が大半なので、交通誘導警備と比べると肉体的にはかなり楽です。
その合間に巡回や立哨業務もありますが、交通誘導警備のように一日中外で立ちっぱなしという事はありません。

特に受付業務は女性警備員を強く望む施設が多いにも関わらず、女性警備員が極端に不足していますので、女性警備員に辞められたら困る!と大事にする会社は多いです。

定年の範囲内であれば年齢は問わない事も多いので、40代からでも大手企業の正社員で働きたいという女性には穴場でもある仕事なんですが…

中途採用の女性社員は応募者が少なくて、本当に困っています。

男性はほっといても腐るほど中途の応募が来るからそこまで必死ではないんですけどね…

しかも面接してみると、前職の職場からなんらかの理由でドロップアウトした人物ってのは、やっぱりどっか歪んでるのが多くて
「こりゃ現場でも何かしらトラブルをやらかすだろうから採用はやめといた方がいいな」
っていうのが透けて見えるから、面接したはいいけど結局採用見送り、なんて事もザラにありますからね。そんな中でも比較的マシなドロップアウト人間を採用しているに過ぎないんです。中途採用の面接は。

ごく稀に「そんなにできる人なのになんで警備員なんてやるんだ?!」と思うような有能な男性もたまにいますが、そういうのはレアケースですから、中途採用の社員には実はあまり期待はしていないです。特に30代以降の中途採用社員は。まぁ、大した働きは期待していないから、現場で問題行動は起こさないでくれよ?と思われている立場である事を認識しておいて、努めて謙虚に働いて欲しいんですけど、女性社員相手に限らず、社員同士でトラブルを起こしたりする人の多くはだいたい中途採用で入って来た男性社員に多い傾向があります。

実際僕もそのトラブル対応で、トラブルを起こした社員を他の部隊に配置転換させざるを得ないから引取りを願い出ても、そんなトラブルを起こす社員ゆえにどこの隊長も嫌がって引き受けたがらなくて、引き取り手がないから結果的に自分の部隊に置いとくしかできなくて、シフトを減らすとか、役職者であれば降格処分にして一般隊員にランクを下げるなどの消極的な対策しかできなくて、その結果、残っていて欲しい社員の方が嫌気が差して退職してしまうという歯痒い思いをした事も一度や二度ではありません。

ただ、「この人には本当に辞められたら困る!」と思った女性社員がいまして、その人が「◯◯さん(問題社員)と一緒に働かなければならないなら退職も考えている。それが無理なら他の部隊に転属願を出します」と相談を持ちかけられた事があり、僕としてもその女性に辞められたり、他の部隊に行かれたら非常に困るんです。

その人は入社してから日は浅く、警備員経験者ではないものの、前職までの経験を活かして今の職場でも仕事もできる人ですし、これ以上女性警備員が減るとシフトを回せなくなるので、現場担当の社員と、さらに上の上長にも相談して、問題社員の問題行動の数々をその女性社員の協力の元に証拠として集めて、それらの証拠物件をもとに社内の懲罰委員会にかけて、稟議の結果、その問題社員を降格(班長だった為、一般隊員に降格)してなおかつ配置転換させる事もできました。

その結果、女性社員はその後も安心して自分の部隊で働き続けており、入社してから1年が過ぎた頃には班長になり、その後も施設警備の検定試験にも合格し、その後更に指導教育責任者の資格も取るなど努力を重ねており、先日、副隊長に任命されました。

その女性は本当に仕事のできる人なので、その勤務態度は正当に評価すべきだと思うんです。


ただ、中には敢えて昇格をしたがらない女性も少なくなく、実はこの女性社員もそのパターンでした。

僕も最初は「責任を負わないといけない立場になるのは荷が重いと感じているのかな?」と思い、面談をしましたが、どうやらそうではない事が判明しました。

「班長に推薦して下さるのは本当に有難い事で嬉しいことでもありますが、女のくせに男と肩を並べて働くのは生意気と思う人からまた圧力をかけられるのが不安」というのが一番の理由との事でした。

そう言われると僕にとっても難しい問題ではあります。

僕個人としては、男性でも女性でも、優秀な人物がリーダーとして隊を統率していくべきと思うのですが、中には女性のリーダーに嫌悪感を持ったり嫉妬する人物がいるのも事実です。

そういうのはだいたい、無能なくせにプライドだけはやたらと高い、残念な男どもなんですが。

そんなのは気にしなくていい、僕も全力でサポートするから安心して欲しい、と言っても彼女の不安は完全に拭い去れず、既に女性で隊長などの役職になっている社員や、内勤の女性管理職にも面談をお願いして、どうにか彼女の不安を軽くすることに努めました。


確かに女性警備員が働きづらい環境が多いのは事実ですが、本当に困っている時は相談を受けたら真摯に向き合って対応するリーダーも沢山いますから、安心して頂ければと思います。

ただ、問題行動を起こす社員はひとりふたりではありませんから、常にそれらの危険分子の動向に絶えず眼を光らせていなければならないので、気が休まりません。

それらの危険分子になりうるのはだいたい、ドロップアウト組の男性社員がほとんどなんです。

だから、中途採用社員は入社した段階では本音ではあまり会社からは信用はされていないと思っておいた方がいいです。

謙虚に地道に仕事をして信用を積み重ねていく努力を新卒の社員よりも強く求められていると思っておいた方がいいです。


確かに採用面接の段階でもある程度ふるいにかけているとはいえ、面接だけでその人の人となりを完全に把握なんてできませんから、ヤバい奴がそれをすり抜けて入社してくる事も往々にしてあります。


それに加えて警備会社は何でもかんでも採用する、ってネットの情報を鵜呑みにして、本当にとんでもないのが面接に来る事が多いんです。

まぁ、面接の時点でそれが明確ならばある意味わかりやすいので助かると言えば助かるといえますが、採用活動もコストがかかるものだし、何より時間の無駄ですから、そういう不利益になる嘘の情報は流さないで欲しいですね。

警備会社とはいえ、そこそこの会社であれば、ちゃんとその人がどういう人物であるのかをある程度判断してから採用を決めていますからね。

繰り返しになりますが、面接だけで全てが判断できるものではないから、ヤバい奴も一定数入社してしまうのは仕方ないんです。

また、うちは大手なので新卒が毎年一定数入社して来ますので、その中には女性も一定数はいますが、半年後にはその8割以上が退職してしまいます。

その点、中途採用で入社して来た女性社員は新卒社員と比べると比較的長続きしている場合もありますが、それでもやっぱり3年以内の離職率は高めです。

女性警備員が働きづらい環境を作り出しているのは、ハード面ではなくてソフト面がウエイトを占めていると思います。

つまり、碌でもない男性警備員が原因で、女性警備員が辞めていってしまうということ。
そしてその女性の多くが優秀な社員であるという残念な事実。

男性警備員の中には若い女性警備員を職場の目の保養みたいに考えている輩も少なくなくて
自分の好みの女性警備員が配属されてきたらちやほやして可愛がるけど
そうでない女性警備員が配属されて来たら冷たく当たる。

女性社員を会社専属のコンパニオンか何かと勘違いしている大馬鹿野郎が多いのも警備会社の特徴です。
いまだにそんな昭和のエロジジイみたいな考えのクズが跋扈しているのが警備業界なんです。
しかもそういう輩が班長以上の役職者になって、権限を振りかざすことも決して少なくない。

そんな状況ですから、若くて可愛い女性でも仕事を覚えて頭角を現すようになってきたら、可愛さ余って憎さ百倍と言わんばかりに今度は徹底的に潰しに掛かります。
可愛くない女性警備員や、中途採用で入社して来た若くない女性警備員の場合は、仕事ができるできないに関わらず、サンドバッグ代わりにされます。
しかもその女性警備員が仕事ができる人だと、憎しみが更にヒートアップして最初から最後まで徹底的にいじめ倒します。

・若くて可愛い女性はコンパニオン代わり
・若くても可愛くない女性や若くない女性はサンドバッグにして憂さ晴らし
・若い、若くない、可愛い、可愛くないに関わらず、仕事ができる女性は叩き潰して自分の居場所を守る

そうやって「オレ様の方が上だと思い知らせてやる」と、女性を相手に無意味なマウントを取るのが、無能な男性警備員の最大の特徴なんです。

同じ男として本当に恥ずかしくて情けなくなりますが、ドロップアウトして来た男たちというものは、手負いのケダモノと同じで、本当に醜いんです。

また、若い女性警備員の場合は結婚を機に退職する人も多いです。

できる事なら長く働いてくれる女性警備員を求めているんですが、上記の理由により絶望的なのが実態です。
新卒は特に。

女性だけでなく男性の場合でも、新卒社員の多くは第二新卒で再就職できる内に公務員(警察官や消防士などが主)などにステップアップを考えてる社員が多いので、5年後・10年後も同じ会社に残っている社員はほんの一握りとなります。

警備会社って、公務員試験浪人生の一時的な働き口という面が強いんです。

それを防ぐ為にも新卒採用者は中途採用と比べて高待遇にしている警備会社もありますが、それでもやっぱり人材流出の歯止めにはなっていません。

残念ながら、警備員の社会的地位が圧倒的に低すぎるから仕方のない事なんですが。
こういう言葉は使いたくないんですが、やっぱり「底辺職」というイメージはそう簡単に拭い去れないんです。

実際に新卒採用者よりも中途採用の社員の方が勤続年数も長い傾向があります。

これは30代半ば以上の男性警備員に特に顕著です。
もうそのくらいの年齢になると再就職先も限られているので、今更どこにも行けないから、仕方なしに警備員をやっているという理由で。

そして、そういう男性の居場所を脅かす存在が「仕事のできる女性」という事になります。

僕の20年程度の警備員人生の中で、無能な男性警備員たちによって摘み取られた芽…いわゆる優秀な女性警備員の数を挙げたら、枚挙にいとまがありません。

それくらい、男の嫉みは根深いものなんです。


警備業界は文字通り「男の職場」である事が多く、ハード面でもソフト面でも女性が安心して働ける現場の存在が極めて少ないのが現状なんです。


日本って、どう転んでも
「無能でも男性というだけで優遇される」
というのが不変の真理なんです。

そんなのはおかしいんですけどね。

男だろうと女だろうと有能な人はその能力を平等に評価されるべきだろうし
無能な人はその人の能力に見合った処遇が必要だと思うんですよ。

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