見出し画像

警備会社が行う反社チェックとは

警備会社に入社する時には必ずといっていいほど「反社チェック」というものを行います。

ちなみに僕の会社では、面接時に反社会的勢力についての説明と、反社会的勢力に関わりがないか、もしくはそのような組織に所属していた経歴がないかを確認した上で
「私◯◯は、反社会的勢力と関わりは一切持たず、また、そのような組織に所属した経歴も一切ありません」みたいな内容の誓約書に署名と捺印をした上で面接をしていたと思います。
(僕が面接をしたのはもう10年以上も前なので、詳しい文面は忘れてしまいましたが…)

現在はもう少し厳しくなっていると思います。

最近入ってきた新人の隊員に話を聞いたところ、上記の誓約書に加えて、欠格事由の一覧を渡されて、面接官から
「これに該当する人がいたら、この場で直ちにお帰り下さい」
と言われたそうです。

まぁ、この時点ではそれを隠して面接に進む人もいるそうですが、そういう人がいる事も想定した上で、内定後の書類提出
会社指定の銀行に銀行口座を新たに作る事などをして、さらに篩にかけているみたいです。

銀行口座を作るのはなぜかというと、反社会的勢力に関わりのある人や特殊詐欺等の犯罪に巻き込まれて口座を凍結された人は銀行口座を作る事ができないので
銀行口座を作れない=警備員になってはいけない人
と判断しているのではないかと思います。

もちろんこれだけではなく、本人の犯罪歴の調査を行いますので、その時に指定暴力団の構成員だった経歴がないかも調べます。

ただ、最近は指定暴力団ではない、準暴力団や半グレといった犯罪組織も増えてきているので、そちらにも関わりがないかを調べるそうです。

もちろん、半グレなどの組織も反社会的勢力になりますので、そういった組織に何らかの関わりがあった事が判明したら、内定取消しや本採用見送りとなります。

大手の場合は、調査会社などに依頼して徹底的に調べ上げることもあると思います。

また、入社してからも、在職中にそれらの組織と関わりを持ってしまった場合は懲戒解雇になると思います。

小さい警備会社ならゆるいのかと言うと、決してそうではないと思います。

以前働いていた、小さい警備会社での話ですが…

そこは警備員の待機場所と事務所が一緒になっているところで、よく応募の電話などが掛かってくるのを休憩しながら聞くともなしに聞こえてくるようなところでした。
(それはそれでどうかと思いますが…)

今でこそ個人情報保護法などの兼ね合いもあり、応募者の秘密は厳重に守られていますが、当時はその辺りがまだまだ甘いというか、警備会社なのにそれでいいのか?!という状況だったので、応募者の履歴書が誰でも簡単に見られる所に保管してあったりと、結構いい加減だったので
どんな人が応募して来たのかをそこにいた警備員の誰もが簡単に知る事ができる状況でした。

採用担当の社員も
「さっき面接した人、どう思う?」
なんて、その場にいる隊員達に聞いたり。

まぁこれは見方を変えれば、今後一緒に働くかもしれない人について現場の従業員の意見を尊重するという面もあったので、そこまでまずい事とは言えないと思います。

今の会社でも面接の時点で、採用したらどの現場に配属するかをある程度決めて面接をする場合もあるので、その時は現場の隊員達に
「今日面接したのは35歳の主婦で、現在は無職(専業主婦)なんだけど、◯◯で◯◯な感じの人なんだけど、どうだろうか?」
と、物件担当の主任などが現場の隊長はもちろん、一般隊員達にも意見照会をする時も普通にありますし。

その上で
「うーん、パートや準社員希望ならうちは要らないかな。週に◯日までとか、扶養の範囲内で、みたいに制限がある人は使いづらいから要らない」とか
「今は女性隊員が不足しているから現場としては是非とも欲しい!」などという現場の意見を汲んで採用するかどうかの判断材料にする事も普通にありますので。
現場でのミスマッチを防ぐ目的でならアリだと思います。

話は戻りますが、そこの会社に一人の女性が面接に来ました。
年齢は当時の僕と同年代くらいの、20代後半くらいの若い女性でした。

最初は休憩室の隣にある、執務スペースで待機してもらい、この時点で、出入りする隊員達の目に否が応でも触れる事になります。

そこの警備会社は本社とは別の場所にありますが、僕の所属していた営業所は契約先である商業施設ビルの地下一階に営業所があり、そこの施設警備隊の詰所が営業所内にある、という感じでした。
地下一階には他に商業施設従業員用の更衣室と休憩室、倉庫などがあり、警備会社の借りている区画には、警備会社用の研修教育室(新任教育や現任教育はその部屋でやります)その奥に営業所と警備員の休憩室があります。
防災センターは一階の従業員通用口横にあります。
なので、面接のために営業所に行くには、必ず防災センターで入館手続きを行い、ビジターバッジを貰ってからでないと入れないようになっています。
警備会社の社員や商業施設の従業員はセキュリティカードが発行されるので、それをカードリーダーにかざすだけで入退館手続きができるようになっています。

別に後ろ暗いことがなければ、何も問題はないと思いますが、その時面接に来た女性は、落ち着かない様子でキョロキョロと周りを見ていて、隊員達が出入りする際にはなんだか身構えていた様子でした。

僕も巡回を終えて、待機(休憩)に入る前に執務スペースにいる隊長に待機報告をして、休憩室に行きましたが、直感で
「なんかこの人、後ろめたい所でもあるんだろうか?」
と感じました。

面接には、現場の隊長も同席していました。

パーテーションで仕切られた応接スペースで面接をしている様子が、休憩室でもわかりました。

30分ほどでその女性は帰りましたが、面接をした課長(営業所長)と隊長は微妙な顔をしていました。

休憩の後は防災センター内での勤務で、隊長と一緒になりました。

「トラ夫くん、さっきの女の人、どう思った?」

どう思った、とは?

「うーん、ウチでは女性隊員がいませんし、ここの館も女性警備員を強く希望していますから、良い人なら是非、と思いますが…」

なんだろう?
彼女に何か問題でもあるんだろうか?

「そうだねぇ、ウチとしても女性隊員は欲しいところなんだよねぇ…」

「何か今ひとつなところでもあるんですか?彼女に」

「いや…高校中退で、そこから先が、ねぇ」

高校中退だとまずいんだろうか?


長くなるので次回に続きます




いいなと思ったら応援しよう!