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40代以降の事務職正社員の道は険しい
結論から言いますと、99.9%不可能と言っても良いかもしれません。
100社以上応募しても書類審査通過はゼロという事も珍しくないです。
書類審査を通過して面接をしても結果的に不採用となる事も多いです。
事務職は非常に人気の高い職種なので、1社に対しての応募数がかなり多くなるのが特徴です。
弊社の場合でも、事務職1名採用のところに70人を超える応募がありました。(書類選考落ちを含めて)
初任給18万円程度・年間休日110日程度・福利厚生は法定福利厚生のみ・賞与あり(業績に応じて支給)・退職金あり(条件あり)という決して高待遇とは言えない低条件でもそれだけの人数が応募して来られましたので
有名企業やもっと条件の良い企業での事務職の求人には更に上回る数の応募者がいると思います。
そうなりますと、採用する側としてはいくらでも選べる立場なのですから未経験であれば20代〜30歳前後の人を採用したいと思います。
うちの場合は今回は氷河期世代支援というコンセプトでの求人の為、氷河期世代をメインターゲットにして求人活動を行いましたが、通常ならば事務職は20代〜30代前半くらいがメインターゲットという企業がほとんどかと思います。
そうなりますと若い年代からの応募者も当然多いですから、その中からより条件の良い人材を選ぶと思いますので、30代半ば〜40歳前後なら経験者である事が必須条件となりますし、それ以上の年齢であれば管理職の経験も求められるかと思います。
【20代・未経験】
【30代・実務経験5年以上】
【40代・実務経験5年以上、管理職経験3年以上】
の中で誰を採用するかを選考すると思いますので
【40代・実務経験なし】【40代・正社員経験なし】【40代・ブランクあり】では最初からその土俵にすら立てないと思った方がいいです。
まず、40代以上が何故転職市場で圧倒的不利なのか、面接官目線でお答えしたいと思います。
まずは【年齢的に親の介護などで短期離職が懸念されやすい】という点です。
採用したのは良いけど、その後わずか1〜2年程度で介護のために退職しますとなるような人はやはり採用したくないと思うのが本音です。
それならば20代〜30代前半で親がまだ元気という人を採用する方が不安要素も少ないと考えられます。
昔は面接の場でそれを聞くことができましたが、今は本人以外の家族の事をあれこれ聞くとコンプライアンス違反になる可能性がある為、なかなか聞けません。
ですから40代以上という年齢だけで特に背景を深掘りせずに切り捨てる事が多いと思います。
もちろん若い人の場合には産休や育休などもありますが、そちらは期限が決められているものになりますので、人事計画も立てやすいです。
しかし介護となると話は別です。
終わりの見えにくいものですし、育児とは違い仕事との両立が難しい点も多々あります。
親が遠方に住んでいて、応募者本人しか頼れる人がいないという状況になりますと高確率で介護離職の可能性があると思います。
ですから採用する企業側も敢えてリスクを冒して人事計画が立てづらい可能性のある人の採用は控えたいというのが現状です。
次に【求職者本人の年齢が高いことから健康面での不安要素がある】点です。
どうしても40代以上になると生活習慣病などのリスクが高くなります。
また、体力面での衰えもあり、若い人と比べると病気やケガによる休業のリスクが高くなる点も考慮しています。
もちろん、好きこのんで病気やケガをする人はいないと思いますし、若いからといってリスクがゼロというわけでもありませんから
そういう状況の時にはゆっくりと療養して頂くべきと思いますが、
やはり正直なところそういう不安要素がなく健康に働ける人の方が望まれるのは事実です。
そういうリスクが低いのもやはり若い人になってしまいますので、40代以上の応募者が採用されにくい一因であると言えます。
続いて【年齢が高いが故にプライドが高く、協調性に問題があると思われる】という点です。
その会社の従業員の年齢構成にもよりますが、40代以上での中途採用となると、OJTの担当が自分よりも若い社員、若い上司という確率が高くなります。
また、自分と同年代は役職者や管理職。
そういう中で自分は一番下っ端の平社員です。
どんなにホワイトな会社でもそれに変わりはありません。転職したらまた最初からのスタートなんですから、何歳であろうとその会社では新人ですから、新人に相応しい振る舞いを暗黙の内に求められます。
それができずに
「前の会社ではこうだった」
「自分の今までの経験ではこうだから」
「ぼくが20代の頃はこうだったんだけどなぁ」
などと無駄に先輩風を吹かせたり、経験豊富な面を匂わせると即、総スカンを喰らいます。
どんなに経験豊富でも、新人はどこまでも謙虚である方が無難です。
その状況に不満や不安を感じるなら、転職は考えずに今の仕事を続けた方が良いです。
やはりどうしても年齢がネックになるのは否めません。
「今は少子化で若手の人材不足だから、40代・50代でもワンチャンあるんじゃない?」
と考えるのは浅はかです。
事務職に関して言えば人手不足どころか、今でも充分すぎるくらいで、企業によっては人員余剰というところもあるくらいです。
ですから、わざわざ40代以上の人を採用するより20代〜30代前半の若手を採用して長期スパンで育成したいと考える企業が大多数です。
その方が企業にとってメリットがあります。
その状況で40代以上の人が採用されたいと思ったら、年齢という覆しようがないハンデをカバーできるだけのメリットがなければ難しいです。
40〜50代の求職者の間では「パソコンが使えたらどこでもやっていける」という神話が浸透しているのかわかりませんが「パソコンが使える」程度ではメリットとしてはかなり薄いです。
いまどき事務職希望の人なら誰でも「基本的なPCスキル」くらいはありますから、それが強みになる事は特にありません。
プログラミングができる、Webデザイナーやイラストレーターのスキルがある、アプリケーションの開発ができる、Webライターの経験があるなどの専門的なスキルと実務経験があるなら話は別ですが
単純なデータ入力、タッチタイピングスキル、タイピングスピード、Word・Excelの基本操作〜中級レベル、その他日常的なOA機器の取扱いができる程度では特に強みとして受け取られないと思います。
その程度の仕事を10年、20年経験しましたと言われても
「だから何?それくらいの事は3ヶ月もあれば誰でもできる事でしょう?それならむしろ脳が衰えてなくて飲み込みも早い若い人の方がいいよ。」
と一蹴されて終わります。
もちろん面接の場でそんな事は言いませんが、内心ではそう思っています。
それ以外の事で、年齢のハンデはあるけど企業が自分を雇うメリットとその根拠を明確に説明できなければ
まず採用はされないと思って良いです。
面接の場は自分を売り込む場ですから、年齢相応のプレゼンテーション力がないと厳しいと思います。
それと、40代以上の人は求人票をよく読んで
その文面から求人票の真意・どんな人を欲しいと思っているのかを読み取る洞察力も若い世代以上に求められます。
そもそも若手を希望している企業に40代以上の人が応募しても書類選考にすら進まないです。
履歴書に記載されている年齢を見ただけで応募書類は即ゴミ箱行きです。
代表的なものとして
【若手活躍中!】【20代〜30代が活躍中!】【幅広い世代が活躍中!】
という求人は実は「40代以上はお呼びでない」「ミドル・シニアはお断り」という企業からの隠されたメッセージである事が多いです。
現在は特例を除いて求人に年齢制限を設けてはならないとされているので
「35歳未満まで」「20代のみ募集」という表記はアウトになります。
でも現実はやっぱり若い人が欲しいので【20代〜30代が活躍中】という言葉を使って
「うちでは40代以上はお断り」「おじさん、おばさんは来ないで下さい」と暗に仄めかしているんです。
ですから、必死になってそういう企業に片っ端から書類を送っても時間の無駄です。
40代以上でも可能性がある場合には
【ミドル・エルダー積極採用】
【40代以上活躍中】などと、40代以上でも面接を行なっている事を示唆する表記になると思います。
ここで気になるのが
【幅広い世代が活躍中】なのになぜ40代以上がお断りなのか?かと思います。
実はこれ、
【既存の社員の年齢層が高く、あとに続く若手が不足しています。ですから若い人に来て欲しいんです】
という意味なんです。
「年の差はあっても若い人が働きやすい環境をご用意していますよ」
「40代50代が多いけど若い人でも馴染みやすい環境ですよ」
という事を暗に示唆すると共に
「うちの会社では40代50代は既にもう飽和状態だから、同年代の新人を改めて採用する気はありません」
という意味も含まれます。
今回はここまでですが、40代以上からの転職がいかに厳しいかをご理解頂けましたでしょうか。