警備員の仕事=ブラック労働である理由を僕なりに考えてみた
警備員…その実情を知らない人から見たら
「呑気そう」
「気楽そう」
「仕事がゆるそう」
と思われていると思いますが、実際に働いてみると、勤務中は常に緊張感でピリピリした雰囲気で
肉体的にも精神的にも負担がかなり大きいんです。
しかしその割に驚くほど給料が安く、非常に割に合わない仕事なんです。
(警備員の平均年収は200〜250万円が相場)
まず、警備員(施設警備)の勤務時間は短くても10時間(実働9時間)くらいで、それより短い現場は極めて少ないです。
施設警備は概ね、日勤と夜勤の二交代制の現場が多く、12時間勤務(実働10〜11時間)という現場が多いです。
当直勤務になると、24時間勤務になります。
商業施設などの現場では、開閉館作業などの時間帯にポストを増やす所もありますので、その場合には日勤、夜勤、それぞれ前後1〜3時間ほど、早出や残業という形で(残業手当がつかない事も多いです)
14〜17時間勤務という事も珍しくありません。
警備員がブラック労働と言われる最大の要因はここです。
労働時間が極端に長い上に、人手不足ですから、休日も少なくなります。
求人などでは休日は月8日と書いてありますが、実際に月に8日も休めるところはほとんどありません。
良くて月6日、一般的なのは月4日。
酷いところになると月に2、3日しか休日がないという会社も普通にあります。
でも、そんな事を正直に求人に書いたり、面接で言ったら誰も来なくなりますから、求人で嘘をつきます。
中には月に10日以上休みがある警備会社もありますが、その代わり1日あたりの拘束時間が15時間以上だったりと、かなり過酷になります。
はじめのうちは無理して頑張る事ができていても、その内無理が祟って身体や精神に不調をきたして、早期離職する事がほとんどです。
だから人手不足でいつでも求人が出ているんです。
また、36協定を悪用して青天井で超過勤務をやらせる悪徳警備会社も少なくありません。というかそういう警備会社がほとんどです。
しかも、その長時間労働がハードな肉体労働ですから、たまったものじゃないです。
1日に10時間以上立ちっぱなしだったり歩き通しなんて、いくら体力自慢の人でも音を上げて当然です。
もうここだけでスーパーブラックですね。
次に、教育体制がきちんとしていない会社がほぼ100%と言ってもいいです。
通常、新卒でも中途でも、新人期間の内にしっかりと最低でも1〜3ヶ月(新卒なら最低3〜6ヶ月)はOJTを行なって、充分に仕事を覚えてから徐々にひとり立ちして行くような無理のない育成スケジュールを組むものですが、警備業界にその常識は一切通用しません。
警備員は法律で4日程度の新任教育を受けてからでないと現場へ配属ができませんが、多くの会社は、新任教育終了後に即現場に放り込み、早ければその日のうちから、長くても数日程度、先輩隊員に付いて仕事を見て覚えろ、現場で学べ、というスタイルの、「放任&自己責任型OJT」実施した後、あとは新人であっても先輩隊員と同等レベルの業務を要求されます。
警備の現場ではこれを
「主体的に考えて仕事をする」と言っています。
つまり、現場に投入されて一週間も経つ頃には、先輩方の手を煩わせることなく、ベテラン隊員並みの仕事が要求されるという事になります。
また、先輩隊員について実地研修しているうちは常に
「研修中はポストにカウントされないんだから会社にとってお前の存在はコストでしかない。それでも給料が発生しているんだからありがたいと思え」
「会社にとって負担になってると思うなら1日でも早くひとり立ちできるように仕事を覚えろ」
などと、圧をかけられる事も普通にあります。
当然、何もわからないまま、先輩隊員の仕事ぶりを見よう見まねでやるから当たり前のようにミスをするのは無理もないのですが、警備員の仕事はミスを絶対に許さない文化が定着していますので
新人であっても激しい恫喝や罵声を浴びせかけられます。
そもそも、先輩隊員が
「これはこんな風にやりゃいいんだ。分かったな?次からできるな?」
と、自分の仕事を見せるだけで教えた気になってる、ゴリ押し強行型OJTでは、特に未経験の人などはちゃんと仕事が理解できるわけがないと思いますが
教える方も頭が悪く、無能なので
未経験の新人の立場に立って教えるという事ができないんです。
それでいて
「こっちが忙しい中教えてやってんのになんで一度で覚えられないんだ?!」
と新人にプレッシャーをかけて、さらにミスを誘発させるクラッシャータイプの先輩警備員もかなり多いです。
このタイプの先輩隊員は、新人に仕事を教えると言っても
単に自分の業務を新人の前でやってみせるだけで細かい説明をしない(できない)
ざっくりとやり方を見せて終わってそれで教えた気になっている。
新人に業務上の指示を指示する場合でも、やっぱり詳細かつ的確な指示ができずに、過去に一度自分の仕事を見せただけで教えた気になってるから、そんなので新人が仕事を理解できるはずもなく、結局は何をどうしたらいいかわからないけど、それを質問しても
「こないだ教えただるぉぉ!!ゴルァァァァ!!!」
と恫喝されるから、聞けずにわからないままになる。
それでいてOJTをちゃんとやっていると勘違いしているんです。
会社も会社で、ちゃんとした育成カリキュラムを確立していない事が多く、全て現場任せにしていて、
「現場の事は現場の人間がやるのが最善だから俺は関係ない」
という内勤も少なくありません。
しかし現場は現場で少ない人手で通常業務を回しているから、低レベルな隊員にOJTを任せる事もある。
そしてそういう輩はOJTを理解していないから、新人の教育がまともにできない。
それで自分はまともにOJTをやったつもりになっているから始末が悪い。
まともに人に教えられないくせに新人が仕事を覚えないと怒り狂う。
そんな状況だからすぐに退職する。
それでいて深刻な人手不足だからとにかく人を引っ掻き集めないと現場が回らないという状況では、本来のOJTとは大きくかけ離れたものになる。
でも、警備会社ではこれが普通。
普通の職場ではあり得ない事なんでしょうけど、これが警備会社の常識なんです。
(飲食業界もこれに近いと思いますが)
常に恫喝や罵声が飛び交うアグレッシブな現場もあれば
怒鳴りこそしないものの、ネチネチと小言や嫌味を言ったり、新人を無視したり、疎外感を与えたりするなど、精神的に追い込むタイプの陰湿な現場もあります。
概ねどこの現場もそのどちらかに該当すると言って良いでしょう。
会社によっては物理的暴力がいまだに横行している所も普通にあります。
新人は殴って教育!なんて、半グレや極道みたいな会社もあるから、警備業界は闇が深いです。
元々の人間性に問題がある人も多いんですが、労働条件や環境も悪い上に薄給激務であるが故に荒んでそんな人間に成り下がっている人間が集まりやすいんです。警備会社は。
そんなだから、まともな人はとにかく定着しない。
たまに、仕事ができて真面目で人柄の良い人が来ても、そういう環境に辟易してすぐ辞めて行くから、残るのは頭のおかしな人間ばかりになります。
もう、ここまででブラック要素だらけでお腹いっぱいになった事でしょう。
むしろホワイトな要素なんて微塵もありません。
でも、これは超ブラックな警備業界のほんの一部です。
まだまだブラックなところが盛りだくさんです。