大卒なのに警備員になってしまいました
せっかく大学まで出たのに警備員なんかになって…
はい。
僕が親戚の人たちからよく言われた言葉です。
それでもまだ有名な大手の警備会社ならそんな風に言われる事もなかったと思いますが、
僕が新卒で入社したのは『一応大手の実態は中小の警備会社』で
知名度も低い警備会社だったんで、周りから溜め息をつかれて
親も肩身が狭かったと思います。
人によっては
「とんだ親不孝者ねー」
「お兄ちゃん達は外資系のエリート会社員や医者なのになあ」
なんて笑顔で言う人もいたり。
実際、兄弟の中で僕だけが警備員だったんで、
親戚中の笑いものでした。
まぁ、親と兄貴達だけは
「気にしなくていい。トラ夫はトラ夫の生き方でいいんだから」
と言ってくれたのだけがせめてもの救いです。
そんなんだったんで、僕らの結婚式は
親戚は呼ばずに、親と兄弟だけでささやかに行いました。
そこまで言われるのはやはり、警備員の社会的地位が最底辺層にあることと
実際に現場で働く警備員のイメージがかなり悪いからなんだと思います。
実際に警備員な経験がある人なら分かるでしょうが、
現場の警備員の大多数は
・老人
・困ったちゃん(一般常識や最低限の教養がない)
・偏屈者
の集まりです。
老人と、困ったちゃんに関しては、大手には少ないです。
と言っても警備業界の中では少ない、というだけで、
それなりの会社と比べたらかなり多い方だと思います。
警備会社は採用のハードルがかなり低いので、
欠格事由にさえ該当していなければ、
まともな会社ならまず採用しないような、社会からドロップアウトしたDQNでも簡単に採用されます。
警備員の仕事は世の中になくてはならない仕事ですが、現場の警備員は常に不足している業界です。
それと、美味しい仕事(給与単価が高い、業務内容が肉体的・精神的に楽な仕事)は上位数社の大手警備会社の独占状態になっているのが実状です。
つまり、大手の警備員達がやりたがらない、もしくは自分の会社の警備員にやらせたくないようなしょーもない仕事(単価が低めで労働条件も悪くて、心身共に辛い仕事)を、下請けの中小の警備会社に流します。
その中間マージンを大手警備会社がゴソッと取っていきますので、下請けはひたすら低賃金でキツい業務だけを任されるという、悲惨な業界です。
その中間マージンとゆーものが、大手警備会社の運営維持費だったり、大手の社員達に安定した給料を維持する為だったり、彼らのボーナスに回る事もあったり…
それでも中小の社員はひたすら我慢するしかないんですよ。
仕事を紹介して貰っている立場なんですから。
ただでさえ単価が低い案件なのに、そこから大手が中間マージンをかっさらって行くんですから、その皺寄せは末端で働く現場の警備員が全て引っ被るんですよ。
中小の警備会社も会社の存続の為、利益を確保する必要があるんですから、そうなると現場の警備員の給料を限界まで安く抑えないといけないんです。
…僕らが中小の警備員と比べて高い給料で、楽な仕事を貰えているのは(しかもボーナスまである)、彼らの存在があるからと言ってもいいと思います。
だから僕が
警備員の仕事をやるなら大手一択ですよ、
警備員しかやれる仕事がないというなら大手警備会社の方がいいよ、
大手を目指せる可能性があるなら大手を狙った方がいいよ、
と言ってるのはそれが理由でして。
本当にね、大手警備会社に入ってから仕事がキツいと感じる事が少なくなったんですよ。
休みが少ないのは相変わらずだけど、それでも中小警備会社で働いていた時よりは格段に休みの日数は増えましたし。
何より基本給が大幅に上がったのは嬉しいですし
ボーナスもしっかり貰えますからね。
福利厚生も中小の比じゃないです。
中小の警備会社に入ったら一生、
手取り15万円以下、ボーナス無し、有休なし、取れても最低限の年に5日分を通常の休暇に組み込まれて
ワークライフバランスなしのひたすらワーク!ワーク!ワーク!で盆正月関係なしの労働地獄で
仮に学校警備などで長期休暇で休みが増えたら、人手不足を埋めるために他の現場に強制的に応援に行かされますが、断ると社内での居場所が無くなります。
肉体と精神が崩壊するまでこき使われて
辞める時は退職金完全ゼロで放り出されるのがオチです。
大手警備会社の場合は、まだマシな方で
基本給は18〜30万円。
経験や能力、資格に応じて基本給が変わります。僕の基本給は26万円です。
賞与あり、有休取得率も80%以上(有休は希望を出せばほぼ100%通ります)
ワークライフバランスにはやや不満はあるけど
中小の警備会社にいた時と比べたら、それなりに自分の時間は取れるようになりました。
土日祝日、盆正月やゴールデンウィークに関しては配属された現場次第なので、盆正月やゴールデンウィークに連休が欲しければ、オフィスビルの警備などを希望すれば確実に連休が取れます。
他の現場の応援に行きたくない、完全に休みにして欲しいと希望を出せば無理に行かされることもありません。
大手も人手不足に変わりはないんですが、中小と比べると余力はありますし、応援専門の臨時警備員に応援依頼ができるので、社員の休暇は確保できています。
臨時警備員とは、普段は別の仕事をしていたり、学生などで構成されている非常勤の警備員の事です。
人手が足りない時だけ臨時に働く、登録制の単発アルバイト警備員の事です。
臨時警備員について詳しくはまたの機会に。
それと僕の警備会社の場合ですが、連休は最大で5日は取れます。
大手警備会社は体制が整っている会社が殆どだと思います。
警備会社はヒエラルキーがモノを言う業界なんで、下剋上はないものと思っていいと思います。
この図式は今後も変わらないと思います。