執念第一②【毎週ショートショートnote】
大学の夏休み、田舎の工場で住み込みの短期バイトに入ったことがある。その工場では、朝の始業前や休憩時間中、英語ではない様々な外国語が飛び交っていた。
そして、その工場には、執念第一と書かれた看板が至る所に置いてあった。
この場合、普通は「安全第一」のはずだ。よく見ると、「心を燃やせ!」、「お前にはできる!」、「弱気になるな!」など、何かのアニメで聞いたようなことも書かれている。自分自身に言い聞かせる分にはいいが、他人から言われると、なんかこう、とにかく癪に障って来る感じの言葉。案の定、この工場で働いた三週間は本当に悲惨なもので、半分くらい旅行のつもりで、このバイトに申し込んだことを俺は後悔した。
そして今、スマホ片手に、俺はあの工場でのことを思い出していた。そこで働かされていた人々の実態が暴かれ、騒ぎになっているのだ。俺がバイトしていた数週間の内にも、失踪したり亡くなったりした人がいた事を、まだ俺は認められずにいる。
(410字)
たらはかに様の企画に参加させて頂きました。言い回しに『鬼滅の刃』のパロディ、オマージュを含んでおります。
『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』