『サクラサク』

夕刻の駅前。証明写真機に座るインド系の顔立ちをした青年と、写真機脇のカーテンを開けて少し身を乗り入れて、青年の正面のモニターを覗き込んでいる母親らしき女性。青年の顔には公衆と母親との対比による羞恥の相はなく、ただ凛として正面を見据えており、これからの、新しい世界に対する真摯さがあり、女性の顔には青年の映りを将来に通ずるものとして真剣に案じる真摯さがあった。未来へ舵を取る発光する方舟。ふたりの世界には二人だけで成り立っており余計なものはない。だからこそあんなに際立っており、思わず目を奪われたのだと思う。



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