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#17 魚宮の支配星の変化/木星から現代の海王星へ

【白羊宮時代の支配者(ルーラー)】

占星術の「支配星」(ルーラー)のお話です。

魚宮また双魚宮時代の支配星は、古代の「木星」から、近代になって「海王星」に変わりました。

支配星という言葉は、双魚宮時代に由来するもので「星がすべての象意を支配する」という考えは、ホロスコープの解釈に大きな影響をもたらしてきました。

ですが、自由民主主義社会になった今日、“支配/被支配”の時代ではなくなってきたのも事実です。

時代にそぐわなくなりつつあるこの用語は、いつ、どのような背景のもとに生まれ、影響をもたらしてきたのでしょうか。

ホロスコープが発祥した古代ギリシャ時代(前30世紀頃-前2世紀)の末期に「支配星」という言葉が生まれます。

牡羊宮の象意による「白羊宮時代」(はくようきゅう じだい)の末期で、事実上は、ローマ元老院の専制統治(支配)下にありました。

「白羊宮時代」「双魚宮時代」「宝瓶宮時代」というのは、「春分点」の移動にともなう「プラトン月」(約2,160年:計算値)をアストロロジカルに表現した「占星学的な時代区分」のことです。

【牡羊宮は星座ではうお座の位置】

「春分点」は、約72年に1度ずつ移動しています。

そのため、ホロスコープの12サイン(宮)と黄道12(13)星座は、古代ギリシャ時代にくらべて、今や約1サイン(宮)≒1星座分ほどズレています。

かつては同じ位置だった「牡羊宮」と「おひつじ座」でしたが、現在の「牡羊宮」はうお座の位置にあり、かつての「おひつじ座」の位置はホロスコープでは牡牛宮になっているのです。

海外では、ホロスコープのサイン(宮)と空の星座は区別されています。

「おひつじ座」(Constellation Aries)というのは空の星座のことで、ホロスコープでは「牡羊宮」(Sign Aries)とサイン(宮)で呼称されます。

一方、日本の占星術界隈では、なぜか牡羊座(Constellation)と星座名で呼んでいます。

海王星の象意の影響を受けた現代占星術の典型的な“事実誤認”の代表例です。

【古代ギリシャ当時の社会常識】

人類歴史は、(略)→白羊宮時代→双魚宮時代→宝瓶宮時代→(略)というように「春分点歳差」によるプラトン月に基づいて変遷していきます。

一般的にはそうは呼ばれないのですが、人類歴史を俯瞰すると見事にそれらのサイン(宮)の象意にもとづいて変遷しています。

ホロスコープが発祥した「古代ギリシャ文明期」は、神とサタン、天国と地獄、善と悪、心と体(精神と肉体)といった「対立二元論」を歴史パラダイムとする双魚宮時代の影響圏にありました。

「統一闘争論」(一元統治論)を歴史パラダイムとした白羊宮時代の末期です。

「火星」の象意に基づいて、“こうあるべき”といった自己主張による闘いの時代が白羊宮時代で、勝利したものが統治者(支配者=ルーラー)となって国を治めてきた時代です。

今日のように、自由民主主義の時代ではなく、「余がルールである」といった支配者(ルーラー)による一元的統治の時代でした。

【ホロスコープの支配者】

古代ギリシャ時代に誕生したホロスコープも、時代を反映して支配にもとづく解釈が行なわれました。

一方で、世界は「熱冷湿乾」によって成り立ち「火土風水」といった四つの元素によって構成されていると考えられていたのです。

そういった当時、ホロスコープを統治する「支配星」(ルーラー)という概念が誕生します。

それぞれのサイン(宮)またはハウス(室)の象意を支配するのは何か?

当時、肉眼で確認できた太陽、月、水星、金星、火星、木星、土星の7つの星がそれでした。

土星外惑星(トランス・サタニアン)の天王星、海王星、冥王星はまだ発見されていません。

これら土星外惑星が、水瓶宮、魚宮、蠍宮の支配星として定められるのは、1930年に冥王星が発見されて以降のことになります。

【時間が止まった占星術の解釈】

「熱冷湿乾」に基づく「火地風水」といった四元素説は、古代ギリシャの当時は最先端科学で、世界に大きな影響をおよぼしました。

しかし、近代科学が発達した近世以降は、疑似科学(迷信)として退けられることになります。

「熱冷湿乾」にせよ「火地風水」にせよ、地上の一つの現象にすぎません。

それをもって宇宙の星の象意を解釈するのは相当な無理があります。

ですが、当時はそれが最先端の世界観で真実だと思われていたのです。

現代占星術は、古い通用しなくなった世界観のまま今も「火地風水」を使っています。

【木星から海王星へ】

海王星が19世紀中頃に発見されるまで、魚宮や双魚宮時代の支配星は「木星」でした。

それゆえ、古代ギリシャの古典アストロロジーや16世紀の古典占星術は、「木星」の象意下にあって“学術的”に解釈されたのです。

その後、海王星の発見によってはじまったのが現代占星術です。

現代占星術は“まだ見ぬ理想”(妄想)や“事実誤認”(誤解)などを象意とする海王星の強い影響下にあります。

美しい象意の一方で、有名な占術師がいうように、事実に根づかない“欺瞞”などが潜んでいます。

「木星」と「海王星」の象意の違いは、次のようになります。

宗教的にみれば、仏教やキリスト教など伝統的な“世界宗教”を象わす木星に対して、海王星は“新興宗教”を象わします。

また、“学問”や“学術”を象わす木星に対して、海王星は論拠のない“神秘主義”(スピリチュアリズム)などを象わします。

木星を支配星として発祥した古代ギリシャの古典アストロロジーや、16世紀に占い稼業となった古典占星術が、当時最先端だった学術理論によってホロスコープ解釈を行なったのはそれゆえです。

一方、海王星発見後の現代占星術は、その学術理論を捨てて、過去の象意解釈のみを受け継ぎ、オカルトチックな“当たる/当たらない”の秘境占星術(神秘占星術)としてはじまりました。

【支配星から共鳴星へ】

天体学による科学的な「ホロスコープ」を用いながら、海王星の象意による混乱や混迷を内包し理論がなく占いに陥ったのが現代占星術の本当の姿です。

それでも双魚宮時代末期の20世紀までは、海王星の理論理屈を越えた直観力(霊感)がはたらく余地があり、本物の占星術師を輩出するなど“夢”や“理想”を伴なって発展することができました。

ですが、古い海王星の代表的な象意“まだ見ぬ理想”は、実現不能な“幻想”を意味します。

人知れず起きた1989年の「宝瓶宮時代のビッグバン」によって、波動的に宝瓶宮時代がはじまり双魚宮時代が終わると、古い海王星の神通力は次第に弱まっていくことになります。

それでも2009年から「双魚宮時代のリバイバル」のディレクションがはじまったことによって、一時的な復活現象が可能になりました。

それも、来年2023年3月頃には一段落していくことになります。

といったことから、“支配/被支配”の「対立二元論」の時代が終わり、星が支配するといった古い考えから「共鳴関係論」にもとづいた「共鳴星」という呼び名が相応しい現代です。

古い“支配”といった意味は、なくなっていきます。

※宝瓶宮占星学「奥義講座のための基本の基05」を
リライトして掲載したものです。


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