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地味な島でウニ
インドネシアの無名で地味な島にやって来ました。
何もない島でのんびり本でも読んで、たまにプールに入って、時に海を見ながらビールを飲んで過ごす、という中学時代の夢がとうとう叶ったのだ!
レストランも近所には一つしかなくて、メニューもナシゴレンかミーゴレン的なもの。
食べることになんも期待してないからいいのだよ、それで。
プールサイドで日焼け止めを塗って、買いだめしてたKindleの中から「推し燃ゆ」を選ぶ。
そして、ビーチチェアに横たわり、足を組んで読み始める。
久しぶりに読む日本語の小説は、時の経つのを忘れさせてくれた。
ちょうど74%読み進んだところで、周りの気配が何やら不穏になり、ふと目をスマホから外すと、既に日の入りの夕焼けタイム。
周りはカップルだらけ❣️
一人旅の私。
場違いなのだよ、きみは🫵
と、皆から指を刺されてる気分。
まぁ、そんなことはないのだよ。自意識過剰なのだよ、と。
そして、美しい夕日の脇に小さく光る怪しげな光。
この光はいったい?
光に導かれ、近くに行くとなんと海辺の小さなお店。
しかもなんとも言えぬ趣。
店先にはUNIと。
国際連合的な?
いや、どう見てもレストランにしか見えぬのだよ。
そして、気づいたら中から日本料理の料理人が着るような格好の大将がニコニコと手を振っている。
えっ、誰に?
と、後ろを振り返っても誰もおらぬ。
もしや、私に?
と、自分の人差し指を鼻先に向けてみたら、大将は満面の笑みでウンウンと頷く。
やばい、狙われた!
が、時すでに遅し。
小心者の私は断る術を知らず、そのまま大将に話しかけてしまうのだ。
ここはなんのお店?
ウニの店だよ。
ウニの店?ウニって、ウニ?
そう、UNI。
👆全てインドネシア語会話
で、高い?
と聞くと、
いや、日本人には味を教えてもらいたいから全部込み込みで150,000ルピア(日本円で1500円ほど)。
と。
なぬ?それは破格じゃないか!
ということで、いそいそと店内に。
店内はいい感じの割烹料理屋風。
落ち着いている。
センスのいい店。
で、結局地元で取れた白身の魚3種(名前を教えてくれたけど覚えてらんないし、味はどれも美味しいんだけど同じ感じ)。
カリフォルニアロール風の巻き寿司、茶碗蒸し、刺身、味噌汁、焼き魚。
そしてUNI💕
ウニのイガイガを半分に割った形で参上なさった。
スプーンですくって食す。
あ、ウニだ❣️
めちゃくちゃウニだった。
で、約束の味について大将と語らう時間がやってきた。
白身の魚は全部同じ味に感じたこと。ひとつは昆布じめという手法にしてみたら?と提案。
そして、味噌汁の味が味噌味噌してるので、も少し出汁を効かせて味噌を少なめにしてもいいかも。
などと、知ったかぶりして会計済ませて宿泊施設に戻つたのだ。
海辺でビールを飲むのを忘れていたことに気づき、暗澹たる気持ちになったのだが、UNIを食べることができたんだから、夢以上の夢を叶えられたとも。
なんとも、宮沢賢治が出て来そうな現実の話。
これにておしまい。