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「なんかのアニメでありそうなやつ」(序章編)

「それじゃ、いってきます」
不慣れな服装で玄関の扉に手をかける。
「気をつけてね。」
優しい言葉に包まれながら僕は扉を開け、朝日に照らされた。振り返ると心残りができそうだからただ真っ直ぐ前を向いて家を出た。
 新幹線に乗って東京へ。ここには僕の志望する会社がある。今日は面接の日だ。歩き出す前に一度深呼吸。
「よし!」
僕は緊張と不安と期待を膨らませながら会社の中へ入っていった。
「山形県立産央大学から来ました、来谷 晃(くるたに ひかる)です。よろしくお願いいたします!」
ふてぶてしい面接官に目もくれず、僕が成し遂げたこと、学んだこと、活かしたいこと全てを話した。手応えはあった、つもりだ。でもそれは扉をしめきる直前、不意に聞こえてしまった。
「あんな田舎者はうちの会社には要らないな」
小さくぼそっとした声で僕にだけはっきりと聞こえた一言に僕はただ立ち尽くすしか無かった…。

僕はこのまま田舎者という理由で落とされてしまうのだろうか。あの言い回しだと希望は無いに等しい。これで何度目だ。何としてでも見つけないと親が悲しんでしまう。それだけは避けたい。
「はぁ… 落ち込んだってしゃーないよな。前を向け、自分!上まで見上げちゃえ!」
ふと上を見上げると空が澄んでいた。心が浄化されるような感覚がした。どこまでも続く青い空。白い積乱雲。そして、そのどちらにも似つかない黒い物体が僕の目の前に落ちてきた。

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