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ちょっぴり狂ったお隣さん 2

彼女との一件があった次の日

今日は一日講義が有るので準備をして
いつも通りに余裕を持って家を出ようと鍵を開けようとした時

またもやタイミング良くチャイムが鳴った

〇:...まさか

おそるおそるのぞき穴に目をやると

瑛:〇〇くん、今日講義あるよね!そろそろ出発するでしょ?

〇:(なんで知ってるんだよ...)

このまま居留守を使うと何をしでかすか分からないので
覚悟を決めてドアを開け、すぐさま外側から鍵をかける

瑛:おはよう!〇〇くん!

〇:えっと...池田さん、おはようございます...

瑛:も〜なんで敬語なの!?普通お友達には敬語使わないでしょ?

〇:まあ、確かにそうですけど...

瑛:あ!そんな事よりこれ、はい!

そう言うと池田さんは手に持っていたランチバッグを渡してきた

〇:あの、これは?

瑛:今日一日講義でしょ?だからお弁当作ったんだぁ!

〇:(だからなんで知ってるんだよ...)

〇:あ、ありがたいですけど普通、友達に弁当は作らないんじゃ...

瑛:え、要らないの?

笑顔で問いかけているが、目が正反対の感情を表している

〇:い...いります

瑛:だよね!じゃあ、講義頑張ってね!

〇:あ、ありがとうございます

なるべく早くこの場から立ち去ろうと急いで大学へと向かった

瑛:いってらっしゃ〜い!



〇:って事があって、これ

昼休みに大学内の食堂で友達に今朝の出来事を話していた
もちろん誘拐されたことは大事になるから、高校時代の友達だと伝えている

友:なるほどな〜ってお前、羨まし過ぎるだろ!

〇:は?どこが?

友:よく考えてみろ!これはまさしく、愛妻弁当だろ!

〇:いや、結婚してないしただの友達だよ

友:そんなに拒否するなら俺に食わせろ!

〇:え、おいちょっ...

ランチバッグを開けると、中には畳んであるエコバッグがいくつか入っていた

友:お前ってこれ食べるんか?

〇:んな訳ないだろ!

友:冗談だって〜

〇:(前回から思っていたけど、池田さんって少し抜けてるな...)

〇:取り敢えず昼ごはん無くなったから何か買ってくる

友:おう!いってら〜

そのまま食堂近くにある売店に向かっていると

瑛:あ!やっと見つけた〜!

〇:えっ!池田さん!?

瑛:今朝は本当にごめん!こっちと間違えちゃってたみたいで

手には別のランチバッグを持っていた

瑛:はい!愛妻弁当だよ!

〇:ちょっ、ちょっと!少し静かに...

瑛:なんで?...もしかして聞かれちゃまずい相手でもいるのかな?もしそうだとしたら...

〇:(だからその目は恐すぎるって...)

〇:一旦あっち行きましょ!

そのまま背中を押して無理やり近くの公園まで連れていくことにした
あのまま大学内で騒がれると友達に見つかってしまう

瑛:ねえ!なんで大学出ちゃったの?もしかして本当に...

〇:違います!居ませんからそんな人は!

瑛:じゃあなんで...

〇:仮に居たとしても、池田さんと僕は友達じゃないですか?

瑛:え...えっと、それは確かにそうです

〇:朝も言ったけど普通の友達は弁当作ったりしないでしょ?

瑛:そ、それは...そうかもしれません...

傍から見ても分かるくらいに落ち込んで
公園にあるベンチに腰をかけた
でもその状況はやはり傍から見える訳で

〇:あ、ごめん...きつく言い過ぎたよね

瑛:...うぅ

昨日見た光景が今にも起こりそうなのは明白で

〇:ごめん!その...あ、このお弁当食べてもいいかな?

瑛:...うん

〇:ありがとう!じゃあ、いただきます

隣に腰掛けてランチバッグから二段に分かれた弁当箱を取り出して蓋を開けた

〇:...美味しそう

予想していた中身とは違い、栄養バランスや彩りもしっかり考えられた弁当に無意識に感想が漏れた

瑛:...ホントに?

〇:え?あ、うん!とっても美味しそうだよ

瑛:…卵焼きには自信があるんだぁ

〇:じゃあ、いただきます

自信があると言っていた卵焼きを一口食べる

〇:...美味しい

瑛:ホント!?良かったぁ

〇:料理上手なんだね

瑛:えへへ〜それほどでも

よく見ると手の平まで裾を伸ばした手ののいくつかの指先に絆創膏が貼ってあった

〇:もしかしてその絆創膏...

瑛:えっ...いや、これはその...

〇:...さっきは本当にごめんなさい

瑛:えっ...?

〇:まさかこんなに頑張って作ってくれてるとは思わなくて...

瑛:じゃあ...付き合ってくれる!?

〇:えっと...それはまだ

瑛:え〜チャンスだと思ったのにな〜

〇:(やっぱり前言撤回しようかな...)

瑛:まあ今日のところは、美味しいの一言が聞けたから良しとするかな!

そう言うと勢いよくベンチから立ち上がり

瑛:今度は胃袋だけじゃなくて、〇〇くんの全部をものにしてあげるからね!じゃあ、午後の講義も頑張ってね!

そのままの勢いで帰っていった

〇:これからどうしようかな...

今日の午後からの講義が一気に憂鬱になってきたのだった

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