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出旅〜IDETABI誕生 後編
迎えた当日,期待と不安
前日の夜2時ごろ、みんなでワイワイしている中僕だけ先に寝た。というよりも、体の限界がきた。周りは3時半くらいまでどんちゃん騒ぎしていた、、らしい、ちなみに僕の記憶はない。そして、寝た感じもしないままiPhoneのアラームが朝4時30分に鳴り響いた。今回の出旅には、長野県立大学から2店舗・4人の出店者さんと5名のボランティア、2人組バンドが出てくれるなどたくさんイベントを創りあげる側で関わってくれていた。そのうちの、6人は朝6時半までに迎えにいくという連絡をしていた。なので、朝5時前に大町市の滞在していたところを出発して長野市へ。体はもう疲れた状態を超えて、なんかわからないけどむしろ覚醒??状態みたいな感じになっていたように感じる。早朝から窓から覗く緑の風景と青々とした空、少し肌寒く感じる、それでいて透き通るような感覚の風を受けながらみんなを迎えに行った。どこか心が躍っていたのかな、これから起こる全てのこととそこに一緒にいてくれる全ての人との時間に興奮していたのかもしれない。さて、ここから怒涛な、それでいてとても充実した1日が始まった。
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お昼の時間、起こった奇跡
長野市から到着して間髪入れずに当日の会場準備がはじまった。次々に到着する出店者さんの皆さんを、それぞれのブースを広げてもらう場所に案内しながら会場全体を見つつ、イメージと少し違ったりしているところは臨機応変にボランティアスタッフの子たちと協力して公園を彩っていった。会場をつくる段階から”すごい、それぞれの空間ができていく”という過程が面白くてとても楽しかった。3m×3mのスペースをいろんな出店者さんが来てくれる来場者の人々を魅了していくブースを展開していく。そうしてできた空間はもはや、自分の創造の何倍も素敵で、どこか温かみが溢れる空間となっていたのかなと、今になって改めて思う。
そして、運命の午前10時。「出旅〜IDETABI」の出発の時間となった。最初は出店者さんへ挨拶に回りながら、”最高の天気ですね!”、”いや本当に、出てくださってありがとうございます!”、そんな会話を少しでも楽しめる時間が取れたと思う。お昼に向かって少しずつ人が入ってきてくれていた。ふとした時に会場内を見渡してみた時、本当に多くの人が会場に足を運んでくださっていた。そんな中で、僕が受付近くを歩いていたときに、本当に本当に驚くことが起こった。空の親友で、絵を描いて活動をしているエイト君がそこに立っていた。彼は、昨年から体にハンディを背負っており、今もなお自分と向き合って治療を続けている状態だった。空にも、前日に応援の連絡が入っていたのだが、とてもではないが会場へ来ることは難しい感じだったそう。その、エイトが、、、そこに立っていた。僕も、エイトとは少しだけ話したことがあったが本当に強い子だと最初に会った時から感じていた。そして、空がそこへやってきた瞬間に、彼の中で何かが弾け、そして再会を果たした。本当に、その光景は美しくて、こんなドラマのような奇跡があるのかと、その周りにいた僕らまで気づいたら涙を流していた。その時、もう一つ僕が気づいたこと。そこで流れていたのは、僕が誘った"ENSOLEILLE"の2人が奏でる「ひまわりの約束(秦基博)」だった、、、。
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最高な昼、そしてChillな大人の時間へ
お昼の時間に起こった奇跡から、僕ら運営側のボルテージももう1段上がった。お昼ご飯の時間には、本当に多くの人が会場に来てくれていた。僕ら運営の想定していた規模を大きく上回る人数が来ていて本当に嬉しくなった。このままお昼から夕方のトリを務めてもらう「ASOUND」の出番まで人の流れが途切れることなく色々な人に楽しでもらえるイベントが少しずつ形になっていた。僕の大好きな友達、尊敬する人、このイベントの開催に協力してくれたみんな、改めて僕たちがいろんな人に支えてもらって今回のイベントの開催が実現していることを実感した。人とのつながりが、自分たちにとっての原点となり起点となる。夕方になり陽が沈んでいくにつれて、お昼の時とはまた違う「出旅〜IDETABI」の姿が現れ始めた。この変化を感じる頃には空の友達と友達になったり、新しいつながりがつながりを生んで連鎖している渦が起きていると思った。
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最高のエンディングと、、1人の言葉
そして夜の部が進み、「出旅〜IDETABI」も本当の終わりに向かっていった。最後の演奏者であった「西村八大」くんの歌は今日1日だけでなく、準備の期間や構想の期間から含めた、僕らの歩みがフラッシュバックしていくかのような時間であった。そして最後の挨拶の時間、コアメンバー4人から最初に挨拶をさせてもらい、協力してくださった皆さんへの感謝の気持ちを伝えさせていただいた。僕は、ステージに立たせてもらった時、本当に最後までやり切ったことへの安心感とこのイベントを創り上げられたという達成感でいっぱいになっていた。そして、もともと泣くような予定なんてなかったけど、やっぱり空が泣いて、それにはもらい泣きしそうになって(というか目に涙はいっぱいだった。)、それと同時にもう終わってしまったという完全燃焼からくる寂しさを少し感じていた。そして、僕はそれと本当に空が羨ましいなと思った。たくさんの大町の人に愛されて、応援してもらって、時には愛ある厳しさを受けて、それでも当日笑顔で「よかったね!!最高だよ!」、「おめでとう!!本当に素敵なイベントだね!」とたくさんの人に囲まれている彼を見て。でも、今こうして振り返ってみると自分の周りにもそんな人がたくさんいてくれたことに気づいた。大学の友人や、出店してくれたみんな、長野市から来てくれた人や、クラファンで支えてくれた地元の友達。最後の最後まで、ステージの前にいてくれたみんな、そして、あの日あの場所に足を運んでくれた全ての人、本当に本当に、、みんなありがとう。
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僕は、心のどこかで「俺のイベントだ、俺が創っているんだ、俺はすごいんだ」とか、「みんなにすごいねって言われたい、認めてほしいんだ、俺という存在を」と思っていた。みんなにすごいねって言われるのがとても心地よくて、嬉しい経験がったから、なおさらその姿を求めていた。それを、人のためにやっている自分がかっこいいと思い込んでいる自分もいた。でも、僕は”出旅を創るのは自分のためだったんだ”と気づいた時があった。自分のためでもあったからこそ、自分で「出旅」という名前にして何かのきっかけとなるようなイベントであり居場所を創りたいと思っていた。そして、その居場所が誰かの居場所でもあるようなイベントにできればと思って、コアメンバーのみんなにも伝えて、クラウドファンディングの文章でも居場所という言葉を使った。出旅が終わって当日の片付けを始めることになった時、当日ボランティアでお手伝いをしてくれていたKくんとお話しするタイミングがあった。「Kくん、今日は本当にありがとう。ボランティアのみんなのおかげでこんなにいいイベントになったよ。」と伝えた。そしたら、Kくんはこんな言葉を返してくれた。「この出旅は、僕にとっての”心の居場所”になったよ。本当にありがとう。」と。本当に本当にびっくりした。でも、とっっっても嬉しかった。気づいたら涙が出てきた。僕が、願っていたことが同世代の子に受け取ってもらえていたことに気づかせてくれた。感謝と嬉しさが溢れた。絶対に忘れない瞬間になった。
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全ての方への感謝と、次なる一歩
まず、準備期間・前日準備・当日の運営・後片付け・振り返り・撮影・出店・出演・ボランティア・機材をお貸ししてくれた方々・ステージの管理を担当してくださった技術者の皆さん、当日足を運んでくださった参加者の皆さん、出旅に関わってくださった全ての皆さん、本当に本当にありがとうございました。僕が当日ご挨拶に回りきれなかったり、終わった後でのメッセージなどをお送りできていない皆さんにも、こちらの場をお借りして改めて感謝申し上げます。この出旅は、今回の皆さん誰1人が欠けてしまっていたとしたら、こんなに素敵な場となることはありませんでした。僕も含めたコアメンバーの無茶振りや、対応の不手際など多くの面で未熟さは隠しきれないほどあったと思います。でも、それでも皆さんが笑顔になってくれるこのイベントを1つ形にできたことは、本当に誇りに思っています。そして、自分にとっても大きな自信となりました。そして、今回の一番の僕の中での気づきは「人をもっと大切にする」ということです。人に寄り添い、人と協力して、時には向き合って生きていく、何かを創っていくことはとても大変なことでした。ですが、そこで対立した時こそもっと自分の身近な人を大切に、ひとりひとりへしっかり向き合っていくことで、この出旅の輪を大きくしていくことができるのかなと感じました。
また、来年以降も出旅は続いていくことになりそうです。
では皆さん、また来年の「出旅〜IDETABI」でお会いしましょう。ここまで、読んでくださり、本当にありがとうございました。
出旅〜IDETABI 共同主催
保坂 海
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