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「モデル事務所への挑戦――表現力を武器に経済の世界へ」
上杉拓哉の物語(続き)
東京に降り立ち、僕はただがむしゃらに歩き続けた。この街で生き抜くために、まず何をすべきか。手にした未来への地図は白紙だったが、僕には決めていたことがあった。「どんな経験でも吸収し、次に繋げる」。それが僕の唯一の武器だった。
そんな時、ある遊び仲間だった友人から連絡が来た。彼はかつて地方で知り合ったファッションモデル。軽やかで自由な雰囲気を纏った彼の言葉には、どこか東京の風を感じさせるものがあった。
「上杉、東京にいるんだって? なら一緒に何か面白いことやらないか?」
久しぶりの再会。彼が連れて行ってくれたのは、東京の中心にある華やかなモデル事務所だった。洗練された空間、次々と現れる個性豊かなモデルたち。僕には縁遠い世界のように思えたが、彼が続けた言葉は思いがけないものだった。
「ここでモデルとしてやってみないか?お前、意外と目立つし、ポテンシャルあると思うよ。」
冗談半分かと思ったが、彼の目は真剣だった。そして、その言葉は僕の中の好奇心を刺激した。
「モデルって、自分をどう見せるか、どう表現するかが全ての世界だろ? 経済の世界に行くなら、表現力も武器になる。ここで学ぶのもありかもしれないな。」
そう考えた僕は、その場でモデル事務所への登録を決めた。もちろん、プロとしてやっていく覚悟があったわけではない。ただ、この環境で自分の限界を試し、「表現力を養う」ことが目的だった。
登録後、早速いくつかのオーディションに出るよう勧められた。これまでの人生で人前に立つ経験は少なからずあったが、それはプレゼンや会議室での話だ。モデルとしての舞台は全く別物。カメラの前でポーズをとる、視線を意識する、身体で語る――これらは僕の得意とする分野ではなかった。
それでも、挑戦することに意味があると信じていた。カメラの前に立つたびに、僕は自分の殻を破り、新たな自分に出会っているような気がした。失敗も多かったが、そこには学びがあった。
「自分をどう見せるかが、相手へのメッセージになる。」
そのことを身をもって体感した僕は、表現力だけでなく、人と繋がる力も少しずつ鍛えられているのを感じた。この経験は、後に経済の世界で魑魅魍魎と渡り合うための大きな糧となるのだった。
次回:モデル業を通じて得た表現力が、ビジネスの武器に変わる瞬間とは――