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オーロラを見にロヴァニエミへの旅⑤~Luosto(ルオスト)のオーロラに魅せられて~
「オーロラを見にロヴァニエミへの旅④~サンタエクスプレスに乗ってロヴァニエミへ~」の続きです。
ロヴァニエミ駅でまさかの荷物トラブル!
ヘルシンキから12時間、サンタエクスプレスでの寝台列車の旅を終え、ロヴァニエミ駅に到着したのは午前11時過ぎ。
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ここから宿泊先のLuosto(ルオスト)へは、バスで約2時間ほど。
1日に4本しかないバスのうち、13時30分発を事前にオンライン予約済みでした。
しかし、ここで思わぬ事態が発生!
駅のコインロッカーが全て埋まっており、スーツケースを預けることができなかったのです。(もともとロッカーの数か少ないようです。)
11時着のサンタエクスプレス到着組は、恐らく誰もロッカーを使えなかったのではないでしょうか。
当初の予定では、スーツケースを駅に預けて、タクシーで10分ほどのサンタクロース村で少し時間を過ごすつもりでした。
それが叶わなくなり焦りましたが、サンタクロース村のインフォメーションに電話で確認したところ、荷物を預かってくれる場所があるとのこと。
急遽予定を変更し、スーツケースを持ってサンタクロース村へ向かうことに。タクシー代は普通は約20ユーロ。(しかしちゃんと確認しなかった私が悪いのですが、メーターを倒していなかった💦着いてから30ユーロって言われて支払うことに💦。皆さんお気を付けください。)
下調べ不足で後悔…極寒のサンタクロース村
ロヴァニエミ駅から10分ほどのサンタクロース村。
事前に様々な情報誌やYouTubeで情報を仕入れていましたが、今回の旅ではロヴァニエミから2時間もかかるルオストにホテルを取ったため、サンタクロース村でゆっくり過ごす時間がありませんでした。
駅にスムーズに荷物を預けられていれば、短い時間でも犬ぞり体験くらいはできたかもしれません。
しかし、荷物を預けられなかったことで時間がかかり、サンタクロース村での滞在はわずか1時間ほどに。
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しかも、人生初のマイナス22℃という極寒。まつげは凍り、マスクなしで息をすると喉に冷たい空気が流れ込んで咳き込む始末です。
スマホも寒さで電源が落ちてしまうなど、想像を絶する寒さでした。
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耳まで覆う帽子をかぶり、ネックウォーマーで顔を覆い、ようやく寒さ対策を万全にして村内を散策しましたが、犬ぞりに乗る時間も気力もなく、可愛らしいお店を見て回るだけで1時間が過ぎました。
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Luosto(ルオスト)のホテルへ行ってしまうと、1日に数本しかないバスで往復4時間かけてサンタクロース村に行く気力はなかったので、残念ながらサンタクロース村での滞在はわずか1時間で終わってしまいました。
白銀の道を走り、ルオストへ
短い時間ではありましたが、サンタクロース村を後にし、タクシーでロヴァニエミ駅へ戻ります。
バスの待合所でトイレを済ませ、いよいよ宿泊先のルオストへ。
予約アプリを見せて名前を確認し、バスに乗り込みます。
ルオストへ向かう人は意外と多く、バスは満席でした。
13時30分、バスは出発。
白銀の美しい景色を眺めながら「よくぞここまで来れた」と感慨に浸っていると、あっという間に外は真っ暗に。
1月のロヴァニエミは、日の出が11時頃、日没は14時頃なのです。
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いくつかのホテル前で停車し、16時前にSanta's Hotel Auroraに到着しました。
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オーロラ観測の聖地、ルオスト
Santa's Hotel Auroraのあるルオストは、オーロラ観測の絶好の場所として知られています。
ホテルのすぐそばにはピュハ・ルオスト国立公園があり、自然に囲まれた静かな環境です。
客室はガラス張りのイグルータイプや暖炉、サウナ付きの部屋があり、ほとんどの客室が北向きで、窓からもオーロラが見えるようになっています。
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客室数30ほどのこぢんまりとしたホテルですが、雰囲気は抜群。
フレンドリーなフロントスタッフも好印象でした。
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チェックイン後、荷物を置いて近くの小さなスーパーLuoston Kauppaに買い出しへ。
ホテルの周辺にはレストランや小さなお店がいくつかあり、夜でも安心して歩ける雰囲気でした。
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幸運にも初日からオーロラ観測!
この日は19時半からオーロラツアーを予約していました。
ツアーまでの時間を利用して、近くのRavintola Vaiskoというレストランでトナカイのソテーやスープなどの軽い食事を済ませました。
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下調べなしに入ったレストランでしたが、店内は素敵で料理も美味しく、スタッフのサービスも丁寧。フィンランドは日本人にとって、食事もサービスも基準が似ているのかもしれません。とても過ごしやすい雰囲気です。
そしていよいよ、ルオスト初日のオーロラツアーです。
参加したのは、Kairankutsuという会社のNorthern Lights Hunt by Car。
約3時間半のツアーで、料金は130ユーロ+レンタルウェア10ユーロでした。
ウェアはスキーウェアのようなものを持参していましたが、念のためレンタルウェアもお願いしました。
どこで着替えるのかと思いきや、今着ている防寒着の上からつなぎタイプの防寒着を車の中で重ね着するスタイルでした。スキーウェアの重ね着でかなりの防寒度だったと思います。
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シューズもレンタルしました。
防水・防寒性に優れたしっかりとしたスノーシューズです。
やはり屋外でじっとオーロラを待つ時間が長いので、ウェアとシューズは借りた方が良いように思います。
19時30分、ツアーの車が迎えに来てくれました。
この時のツアー参加者は私たちを含めて6人。既にほかのホテルから乗り込んでいて、私たちが最後のピックアップでした。みんなフレンドリーに迎えてくれます。なんだか素敵な雰囲気でツアーがスタートしました。
真っ暗な道を車で30分ほど走り、ガイドさんおススメのスポットに到着。
車から降りると、目の前に広がっていたのは…
え?あれがオーロラ?
最初は太くぼやけた白い雲のようなものが現れました。
次第に緑色になったり、赤みを帯びたり。
こんなに簡単に見れていいものなの?
神秘的な現象に、最初は写真を撮ることも忘れて、ただただ見上げていました。
あまりに苦労なく見ることができたので、最初の数分はあっけにとられた感じでした。
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しかし、ずっと空を見上げていると、オーロラが消えてしまったり、色や形が変化したりと、自然の不思議さと偉大さに次第に感動と幸せを感じてきました。
ずっとずっと見たかったオーロラ。
若い頃、CAをしていた時代、冬場のヨーロッパ線でのフライトでは、窓の外に時折オーロラを見ることがありました。
またコックピットケアでコックピットに入ると、偶然目の前にオーロラが現れたこともありました。
しかし、その感動とはまた違う、大自然の中でオーロラを見上げることがしたくて、ここまで来たのです。
長年の夢がようやく叶いました。
本当にロヴァニエミまでの遠い道のりを決断して良かったと思いました。
形や色が変わっていくオーロラを見上げている間、ガイドさんが焚火を始めてくれました。
この日はガイドさんも驚くほどの寒さで、マイナス32℃。
ウェアはかなりの防寒力ですが、やはりずっと外にいると寒さが身に染みます。
まつげは凍っているし、鼻から下はネックウォーマーで覆って息をしている状態。
その息が凍って、ネックウォーマーも凍っているという有様でした。
焚火で暖を取り、温かいブルーベリージュースを飲み、焼いてくれたソーセージを食べていると、体が温まってきました。
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オーロラが見えない時間は、ガイドさんが色々な話を聞かせてくれます。
(新婚のガイドさんは、シャーマンの儀式で結婚式を挙げた話をしてくれました。こんなに奇跡的にオーロラが見られるのは、彼の力なのかもしれない…なんて思ったりもしました。)
途中、場所を変えてみようということで、また別の場所に連れて行ってくれました。
今度はより大きなグリーンのカーテンのような感じで、ゆらゆらしているのが近くに感じました。
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周辺には建物も明かりもない場所なので、明るく感じられるのは星とオーロラだけ。
人生の中でこんな贅沢な時間と空間を体験することは最初で最後かもしれません。
ここまで見られたらもう十分です。
スマホが寒さのために充電があっという間になくなってしまったりするので、時間もろくに見ずに、いったい何時間見続けたのかも、なんだか夢の中にいたようでわからないというのが正直な感想です。
場所を変えてトータル1時間半くらいは見ていたのではないかな?とは思います。
フィンランドのヘルシンキから入り、ロヴァニエミまでの12時間の寝台電車移動、その後2時間のバス移動で、ルオストというかなり北の方まで来た今回の旅。ここまで来た甲斐が本当にあったと思いました。
あとは来た道をまた車で戻ります。暖かい車中の心地よいことといったら…。
3泊する間にオーロラはいつか見られるだろうと思っていましたが、着いた初日のツアーでしっかりとオーロラを体感できたので、あとは毎晩、ホテルの敷地内から空を見上げていました。
長くなってしまいましたが、オーロラのお話はここまで。
読んでくださりありがとうございます。
次は30年ぶりに挑戦したスキーのことや、その後のドイツ滞在のことも書いてみたいと思います。よかったらまた見てください。