『チャイルド・プレイ』が思いの外酷かったって話
最近また劇場で見る機会が増えてるのはいい兆候。
映画博徒の看板背負って歩いてみせますキネマの天地そう我々はシネマハスラー
で、まさにこれを書いてる小一時間ほど前に観たんですけどね
『チャイルド・プレイ』
最悪でしたね。ビックリしました。
こんな気持ちは『テラフォーマーズ』以来です。
https://childsplay.jp/sp/
30年にわたり、見る者にトラウマを植え付けてきた凶悪な殺人人形シリーズ『チャイルド・プレイ』が、ホラー映画史上No.1※の興行収入を叩き出した『IT/イット "それ"が見えたら、終わり。』の製作陣を迎え、現代版として映画化。
主人公アンディ役には、『アナベル 死霊館の人形』『ライト/オフ』などで脚光を浴びた新鋭ガブリエル・ベイトマン。
母親カレン役には、人気TVドラマシリーズ「レギオン」のオーブリー・プラザ。
そして、殺人人形“チャッキー”は、米国吹替版『天空の城ラピュタ』のムスカ役やアニメ版『バットマン』のジョーカー役で声優としても活躍する、『スター・ウォーズ』シリーズのルーク・スカイウォーカー役マーク・ハミルが務める。
この夏、次世代の新しい“親友”が、最恐のトラウマをお届けします――。
ですって。で、今回のあらすじなんですけど、今回のチャッキーはなんとAIロボット!持ち主の親友になるとかいう触れ込みで(多分)全米でめっちゃブームになってるトイという設定。
ホームセンターの苦情係として働くシングルマザーのカレンはなかなか新しい土地に馴染めない息子アンディのために不良品となり返品された人気玩具を半ば強引に引き取る。しかしそれはこれから始まる悪夢の始まりに過ぎなかった…
が粗筋なんですが、ただねぇ、これはもうしょうがないと言えばしょうがないんですけど、そもそも論でこのチャッキーの元になるこの人形商品名“buddy”て言うんだけど、まぁとにかく可愛くない!
単純にこのデザインで売れてるのが不思議なレベルです。大丈夫か?この作中のアメ公どもは?て話なんですよねぇ?
だってね、夜中にアンディが寝返り打った時にこの人形が目の前にいてビックリする描写があるんだけど、それって人形として成立してないだろ!それ!かわいくねぇよ!じゃなくない?
つまり、このバディて人形は玩具としての人気というよりは見守りロボ的な需要が強いということで人気があると思うんですよ。
だったらそういう人気だよねって描き方もしていない。むしろ玩具としてのデザイン込みでウケてるみたいになってる。まぁでもじゃないと話にならないからそこはまぁいいか。いいよね?
でね、オリジナルの『チャイルド・プレイ』では、チャッキー人形の中に宿るのは死にかけのシリアルキラーの魂なんですブゥードーの秘術(笑)でそいつが人形に乗り移ったは良いけれど、生身の体を寄越せって言って人を襲うのがオリジナルなんですけど今回は、なんかよく分からないんですよ最後までそのロジック的なものが。
出だしのとこで人形工場(多分中東のどこか)の工員がクビになった腹いせにプログラム書き換えた後に飛び降り自殺をするんですけど、そもそもそんなとこで働いてるやつがプログラム書き換えるほどの技術があるのか?がかなり疑問で更に百歩譲って技術があったとしてもそんな簡単に書き換えられちゃダメだろって話なんですよね。
そもそもその工員がいる所がなんかいかにも貧困層が取り扱う下請け工場な所なのであそこでやることって普通に考えたら本来“組み立て”とかでしょ?
チップがどうとかてあの工程でやってたらかなりおかしい話なんですけど、まぁまぁそこも百歩譲りましょう。
でも、でもですよ?そこで工員がしたのは新規プログラムではなくて制限(いわゆるPG的な項目)の解除なんですよ。
で、この工員がこの後自殺(多分)する描写があるにはあるんですけど結局なんでチャッキーが魂を持って暴走したか?に関しては最後まで終始曖昧なままなんです。
で、ここって結構肝の部分なんですけど、最後までそこについてはそもそも触れもしない展開だったので相当マイナスです。…うーんあの、ホラーのこういう展開って、あの怪奇現象に対する一応でもロジックがいる訳じゃないですか?
ものすごくベタでものすごく曖昧とは言え例えば、例えばですよ?
“ポルターガイスト”はそこで不幸にも亡くなった人が居てその人の怨念が起こしてる。わけじゃないですか。で、これも正しい理屈付けと言えないまでもまぁまぁホやっとした感じで分からなくもないですよね?
わかりますか?つまりどういうことかと言うと
『生身の人間が化けて出る』とか『生身の人間の怨念が巻き起こしてる』
は怪奇として成立しやすい。なぜかと言うと人間ベースだから。要は『人には不思議な力が眠っている…』的なね、だからこそ、そういう不思議がまかり通るわけですよ。
で、他にも『ザ・フライ』とかはめっちゃわかりやすいじゃないですか?人とハエが合体しました。これはまぁホラーはホラーなんだけどどっちかと言うとSF寄りかな?まっいいや、でもオリジナルのチャイルド・プレイもこれに近いと思うんですよ。でも今回はあくまでも機械なんですよねベースが
で、一応無理やりこじつければ主人公のアンディの環境への不満を読み取った、と読めなくもないんですけどそれならそれでいいんでちゃんと描いてくれよって話なんです。
機械が暴走する話、今回はAIロボの話なのでコレでお話を展開するなら、このチャッキーがどんどん主人公のアンディくんて子どもなんですけど、アンディくんからネガティブな感情を色々学んでいくウチにアップデートしていったにすればいいんですよ。
でね、まぁたしかにアンディくんはシングルマザーの子どもでお母さんはなんかいけ好かない奴と付き合ってたりもして、なんかちょっと自分も悪ガキみたいなヤツらとつるみ始めて“what's up?”みたいな感じになったりするんですよ。
で、アンディくんがナイフ使ったりしたりちょっとグロめなホラーを見てるのを見てラーニングしてる風な描写はあります。
あるんだけど、だったらそれを覚えましたみたいなシーンを最序盤で入れろよ!て話なんですね。他にもですね、最初間違ってアンディの名前を覚えるんですよ。でもいつの間にかそれが直ってる。まぁそれは細かい事だから良いんだけど、惜しいなと思うのは終盤でもっかいそれを入れて欲しかったなとか、一度壊されてから治った時にパワーアップ(してんだよね?アレは)したのをもっと明確に見せて欲しかったとかまぁ色々ツッコミ所はあるんだけど、この見せ方ならどっちかと言うと『機械』としての恐ろしさを見せて欲しいんですよ、それこそ『ターミネーター』的なね。で、これは日本のこのタイミングだからこその発想なんだけど『トイ・ストーリー4』の物語の行き着く先が本作なんですよね。
まぁもうネタバレすると、『トイ・ストーリー4』でウッディは自分の意思で“誰かのおもちゃ”から脱却を計って野良おもちゃになるんだけど、この解釈の行き着く先はこのチャイルド・プレイじゃないの?て話なんですよね。本来、意志を持たない自動もしないおもちゃが明確な意志を持って動きだすと、トイ・ストーリーのようなハッピーエンドだけでなくこういう悲劇も起こるはずなんですよ!というのが本作なわけでね、そういう所に主観を置いて描いて欲しかったです。それな如実なのがクライマックスのシーンでチャッキーは無差別に殺戮を初めて、新品のはずの後継機とか他の機械(ドローンとか自動運転の車)も自身が操ったり(メカニズムは不明)する様は多分AIの話題でよく話題に上る『機会が支配する世界』ですよね。
それにしても観ててずっと思ってましたがやっぱりアメリカン・ホラーは恐怖が薄いですね。これはもう単純に
『最後は暴力で解決できる』
からです。貞子は倒し方わかんないですけどチャッキーは殴って壊せば解決です。そしてこの映画で何より大切な教訓はHDDにせよなんにせよ機械はちゃんと物理破壊をしっかりしてから捨てましょう。です。