Drawers - 様々な既成の"箱"を引出し化する
Drawers(ドロワーズ)は「世の中にある既成品の "箱" たちを引出し化したら、収納家具の可能性が広がるのでは」と考えたプロダクトラインです。
これは、私たちgift_が考えているセミオーダーの家具です。すでにある「複数の収納箱」にフレームを与えることで出来上がる、新たな収納家具。
すでにある、という部分には2つの方向性があります。
1.使えなくなった古い家具(主に和タンスなど)の引出しを利用する。
2.世にある既成品の箱(コンテナ、ワイン箱、etc.)を利用する。
1と2は共に、上面がオープンな箱を基本前提としています。
すでにお持ちの箱を利用して、という形でも可能ですし、(既製の何かの)箱も含めてオーダーで、という形でもご相談お受けできます。
これだけでイメージをお伝えすることはなかなか難しいと思いますので、実例を通してこのDrawersを考えた経緯をご紹介していきます。
始まりは山ノ家にあった「和タンス」
私たちが行っているダブルローカルという生き方のきっかけとなった、新潟・十日町の拠点山ノ家を立ち上げる時に、もと空き家だったその家に置き去られた和タンスがありました。(ダブルローカルとは?山ノ家とは?という方のために、参考になる記事を貼りますが、リンクは読みとばしても特に今回のnote記事を読み進めるのには支障はないと思います)
昔からの民家などでよくあるもので、これはせっかくなので活かしたい!と思いつつも、私たちがこれからリノベーションする空間の中では何かアレンジを加えないとちょっと合わないかもと感じていました。
これが、置き去られていた和タンス。
結果的におこなったのは、引出しをいったん全て抜き出した形でオープンシェルフとして利用するという至極シンプルな方法で、これが意外に空間に合ったのです。
山ノ家竣工時の写真。左が和たんすの引出しを抜いたもの。
右は残されていた商品陳列用のガラスケースの扉を外したもの。
(中身は違いますが)拡大するとこんな感じです。
側の箱はこれで解決し、中身の引出しはというと備品ストックの分類箱などとして使ったりしたものの、全ては使い切れず保管したままとなっており、何かに利用できたらと考えつつもしばらくそのままになっていました。
中にあった引出しのゆくえ〜Drawers誕生
その後1年くらいしたころに、あるお施主さんの空間の内装と家具の設計を手掛けていて、竣工が見えてきたタイミングに改めて「ローキャビネットを追加でつくってほしい」と依頼されたのです。
その空間に合う家具をイメージするにあたり、単にオリジナルの特注家具ということだけではおさまらないようなユニークさと暖かさがあると良いなと思いをめぐらせていたら、ふと山ノ家で眠っている和たんすの引出しのことが頭をよぎりました。
年季の入った和たんすの引出しに、新たなフレームをしつらえたローキャビネットならきっとここに合う、そう思えたのです。
さっそくお施主さんにこのイメージを伝えたらとても喜んでくださり、形にする運びとなりました。
この時に、使われなくなってしまった家具を新しい存在として生まれ変わらせるというアイデアのもと、Drawersと名付けた家具が誕生しました。
できた家具は、こんな感じです。
東京の拠点、gift_labの移転の過程に思いついたもう一つのDrawers
話は少し飛びますが、私たちgift_の東京の拠点は清澄白河にあります。
昨年2020年に同じ清澄白河界隈のなかで移転をし、2021年から新たな風景とともに動き始めたばかりです。
以前は併設していたカフェは東京では閉じることにして、本来の業務である設計と企画に専念しながらも、開かれた場としてのギャラリーショップ空間を備えた新しいgift_labをつくりました。
移転してスペースがコンパクトになった分、さまざまなものを改めて整理する必要がありました。
私たちが以前から好んで使っていた分類箱(トラスコ中山のネスティングコンテナ)があり、それらを収納として増やす過程で再び新たなDrawersが動きだしました。
自分たちの場所のことなので、最小限のコストで作れるモノにしようということでフレームは完全にDIYです。(最初のDrawersのフレームは木工の職人に作ってもらったもの)
とはいえもちろん、図面を書きつつ仕様やサイズを検証しています。
ホームセンターの部材でなるべくムダのでない取り都合を考え、置くスペースと必要な箱の数などのバランスもとった結果、同じ物を二台つくるのが効率良いということに。
出来上がったものはこのような感じになりました。
木製で、仕上げは水性のミディアムグレーの塗装。
DIY感を残したかったのでビス留めの跡は埋めずにそのままに。
今のショップスペースの在庫収納ラック兼展示台として使用しています。
さらに、私たちは以前にご縁によっていただいたワイン箱を複数所有しており、いまはそれを引出し化することをプラン中です。
Drawersのもつ可能性
このように、すでにある「複数の収納箱」にフレームを与えることで新たな引出し収納家具をつくっていくのですが、これは単に新しい家具をつくるのとは別の価値をつくる可能性を持っているとも考えています。
前者(タンスの引出しをローキャビネットに)の事例は古い家具を新たに、それぞれの方の現在のライフスタイルにあった形として再生することで引き継いだり残したりしてゆけるという可能性。
後者、世にある既成品の箱(コンテナ、ワイン箱、etc.)を利用する事例は既成の収納家具とはまた違う自由さを選択肢として持てることや、すでに持っている箱を家具としてまとめられる、というような可能性。
これらに関してはつづけて書くと長くなりそうなので、また改めて綴ることができればと思います。
単に作る、買うということとは違う手間が生じるかもしれませんが、”そこにある箱”から考えてつくる収納家具は、出来合いのものとは別の面白さ・自由さや、様々な思いなどをつなげて形になる可能性を持っています。
あなたの考えるDrawersを、私たちと共につくってみませんか。
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