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871ンスタライブ #009(w/視聴者かえでさん)

#871ンスタライブ #009
2020年12月9日(水)

主催:柳井貢(以下:871)
ゲスト:かえで(以下:かえで)

(871) 今日はDMでご連絡頂いた、ライブハウスでお仕事をされている大学生の方とお話しをしてみたいと思います。

(かえで) こんばんは。

(871) こんばんは!ざっくり自己紹介をお願いします。

(かえで) かえでです。大学2年生で19歳です。
私はずっと音楽業界で仕事をしたいと思っているんですけど、コロナ期間で動けない状況の時に、"今のライブハウスってどんなことしてるんやろう"って考えるようになりました。そこである日、バンドのカメラマンをしてる方の写真展がライブハウスでやっていたので通ってみたんです。そこで、カメラマンの方と色んな話をして、音楽業界で仕事したいと思っていることをお伝えしました。次行くまでの間に、まず自分はどんなことをしたらいいかなって考えてたら、"ライブハウスでバイトしよう"って思いついたので話を持ちかけたら、写真展をやっていたライブハウスの店長さんに声をかけて下さり、働くことになりました。

(871) なるほど。改めて、僕に送ってくれたDMの内容を何個かに分けながらでも会話を進めてみましょうか。

(かえで) 一番最初に聞きたかったことは、ライブハウスで働いたり、人と関わっていく上でどういう風に勉強していったらいいのかな?っていうことです。"これだけは知識として盗んどけ"っていうのを聞きたいなって思っています。

「質問の種類や鋭さが回答を変える」ということ

(871) カメラマンさんに話しかけて音楽の仕事をしたい気持ちを伝えて…っていう行動が自然と積み重なっていく気がするから、それでいいと思う。知っておいた方が良い事は全部っちゃ全部なんだよね。

例えばライブハウスの会場費の収益と、ドリンク代の収益ってどれぐらいの利益率なのか?とか。月で酒屋に注文してるドリンクの発注ってどれぐらいなのか?とか。そんなことも知ってた方が知識としては絶対役に立つとは思うんだけど、それを知ってないと音楽の仕事できないかっていうとちょっと違う。だから興味のあることは知識としてストックするべきだと思う。例えば俺でいうと、デザイン的なことが少し出来るのと、ある程度の算数とか。僕も学生の時に店長をやらせてもらえてたので、アルバイトの人件費がどれぐらいかかって、どんくらい頑張ったらどんぐらい儲かるのか?を勉強できる立場にいて。

例えばアルバイトのスタッフさんが店長に「ここの会場費ってホームページにはいくらって書いてますけど、実際その料金通りにやってたら、今日の集客だとバンドさんこれぐらい赤字になると思うんですけど、本当にそんだけ会場費もらってるんですか?」みたいな質問をすると、「お前面白い質問飛ばしてくるな、さすがに今は表で言ってる会場費は取れないよね。じゃあこうこう、こうだから、今日はバンドにはこうやってるよー」「なるほど!でも、それだとお店の収益とか私たちのバイト代ってどこから払われてるんですか?」「それは、こういうお仕事があるから、それをこういう風にうまいこと回して…君たちにバイト代を払ってるんだよ」みたいに質問の種類や鋭さで教えてもらえることって変わってくると思うんだよね。

そこは勿論自分の興味あることでいいと思う。お金じゃなくても音響系のこと、照明係のこと、ブッキングの事とか何でもいい。「東京の有名なバンドさん呼ぶ時ってどういうことを言ったら来てもらえるんですか?」「誰々ってどれぐらいのギャラするんですか?」とか。そういうちょっと聞きにくいことも聞いちゃえばいいと思うよ。「なんでお前そんなこと知りたいの?」って言われたら、「将来音楽の仕事したいと思ってるので、何でも知りたいです!」って笑顔で言ったりとかね。色々教えてくれるんじゃないかと思う。

(かえで) なるほど…。今、マネージャーの仕事に魅力を感じてるんですけど、それに興味を持ったきっかけがドラムを小学校の頃からしてて、中高は吹奏楽部に入って舞台立つ側の人間やったんですけど、その中でずっと楽器運搬の仕切りをさせてもらっていたんです。どの順番で楽器をトラックに積んだら綺麗に入るか?とか、転換が3分しかない中で誰が何を運んで、どういう順番で運んだら一番スムーズに行くか、とか。コンクールに出ないメンバーもどういう経路で動いたら一番速く動くか、とかをずっと考えてました。それで運搬とか準備がうまくいった時は、本番もうまくいくんです。そこに充実感を凄く感じて、それが今、マネージャーの仕事に魅力を感じることに繋がっています。運搬をしたい訳では無いんですけど、何か繋がったらいいな、結びついていったらいいなと思っています。

(871) 全然、関係してると思うよ。

例えば今のライブハウスは、キャパシティは制限してるけどやること増えてるじゃん?消毒したり、名前書いたり。ライブハウスに入るまでにやらなきゃいけないことを、どういう整列でどういう整理番号で並べるか。そこの段取りが悪い会場さんとか運営さんってお客さんにストレスを与えてしまうし、ストレス与えた状態で入場させて演奏しなきゃいけないバンドと、そうじゃないバンドって全然変わってくる。俺も呼ばれたイベントとかで物販うろちょろ見て、今がベターかもしれないけど、よりベストの方法ないかな?って発想を持ってみたりしてる。

例えば、今の仕事でも店長さんに「ここって今このやり方でやってますけど、もしかしたらこっちの方がスムーズじゃないですか?」みたいな提案をしてもいいと思うし。

自分の発想・行動力・"頑張って言ってみよう!"みたいな発言・努力。このチラシを100枚作っておくだけで明日楽になる、って時に今日100枚チラシを作る努力ができるかどうか。それでスタッフが理想な形で仕事を出来たり、お客さんが楽しめたら、"ありがとう"って思ってもらえるし。ライブハウスだったら「あいつ頑張ってるから時給を上げてあげようかな」とか、質問された時にも教えてあげようってなるかもしれない。

SNSの投稿一つとっても、情報を画像で出した方がいいのか、文字で出した方がいいのか、URLでリンク貼った方がいいのか、とか変わってくるから、目に見えるものを、これもっと良いやり方あるんじゃないか?もしくは、これ素晴らしいやり方だな、真似しようって気づけるか。そういうので経験は積んでいけるしね。

(かえで) その話と繋がっているかは分からないんですけど、自分の中に、"イエスマンになれない”っていうのがあります。例えば自分の好きなアーティストがやってることだから全部良いこと、とは到底思えなくて。コロナ禍で色んなバンドが色んなやり方を取ってきてたけど、"それ違うやろ"とか思ったりもして。やってる側は、賛同して一緒に楽しんでもらいたいんだろうな、と思いつつも、これは違うやろって言う人が周りにはいないのかな?って考えたりもします。それが一番ベストな形やと思って出してるはずなので。

(871) イエスマンにはなりたくない、っていうところが俺はすごく興味深いし面白いなと思うんだけど、どの結果に向かってその判断をしたのか?次第な気がする。この結果に向かいたいのに全然違う判断をしてるっていうのはNOでいいと思うんだけど、この結果に向かいたいっていうものを、"いや、こっちの結果に向かいなさいよ"っていうのは、違ったりするじゃん。黒い服しか作ってないアパレルブランドに「白い服作れ」っていうのはちょっと違うじゃん。うちは黒い服を作るっていうテーマでやってますんで、みたいな。

何を元にイエスノーを考えるか。お客さんに提供したいものがどこなのかを紐解いて考えた上で、「そのやり方じゃない方がいいんじゃないですか」っていうのが良いと思う。例えば、接客は凄く丁寧で目を見てお礼を言ってくれるのが良いっていう価値観で物事を測っていくと、1万人の物販を捌くのに10人でいけるところを30人手配しないといけない。それだと採算性が取れないよね。そういう話も出てくる時はあるので、“接客は丁寧が1番”っていう物差しだけで全てを測ってしまうと、見落としてしまう部分が出てくる時もある。勿論、お客様目線で見た時に丁寧か雑かで言ったら、丁寧な接客の方がいい気はするんだけど、丁寧だけど1時間待つのと、雑だけど10分しか待たなくていいんだったら…ちょっと変わってくるじゃん。この辺を含めて自分の物差しを持って、イエスノーを伝えられると良いんじゃないかなと思う。

(かえで) なるほど。実際仕事をしていく中で、運営する側の視点も見えるようになったとプラスに考えて見ていた方がいいってことですよね。

あと、DMで2つ目に送らせて頂いた内容なんですけど、私って結構生意気なタイプなんです。色んなことを普通に言うし、部活の時も先輩後輩関係なくズバッと言うタイプなんです。でも実際に自分がやりたい業界で仕事をしてる人に対してだったらやっぱり憧れてた業界ではあるから、その人が絶対なのかなって思う時もあって。微妙なバランスやけど、どうなのかなって思いました。

コミュニケーションを取る上での工夫

(871) 場面によりけりなので、明確には答えづらいんだけど、言うか言わないかの二択ではないと思うんだよね。「こうした方がいいと思います」っていうのと、「ちょっとだけ疑問があるんですけど、この方法より今の方法の方がいいのは何故か教えてほしいです」っていうのと。経緯を持ちながらも自分の考えを伝える方法って、言うか言わないか、の2択だけじゃない気がする。

あとは、自分の意見を聞き入れてもらえる人間関係を構築しておくことかな。元気に挨拶するとか、日頃からコミュニケーションを前向きに取っている人に「ちょっと疑問があるんですけど、ここでこうするのってやっぱりダメなことなんですか?」って元気よく言われると、「おー、それ実は俺も悩んでんだけどさぁ」ってなるかもしれない。言うか言わないか、でいったら言うっていう選択肢があって、その上で言い方って色々あるからそこを勉強するってことかな。

(かえで) なるほど。まずは自分が言えるような環境をまずは作らないといけないですね。

(871) すっごい小さいことで認めてもらえたりするよ。その人のことを普段からよく見てみるといいよ。

(かえで) それと関わるかもしれないんですけど、アルバイトで、最初に楽屋掃除してきてって言われて、めっちゃ綺麗に掃除したんです。そういうの一つ一つなのかなって。"人並み"は苦手なので、人よりもやりたい、細かい仕事もちゃんとやりたいって常に思ってます。それは飲食店でもそうやし、誰かやらなあかん仕事を自分がちゃんとやろうと思います。

(871) まさにそこです。僕も店入ってすぐの時、毎日トイレ掃除ちゃんとしよう!って思ってて。人が心のどっかで、「誰かがやってくれたら助かるなぁー」って思ってることをやれる人って重宝されるし、正解の手段だと思いますよ。

(かえで)楽屋に入った時に"あっ、ちょっといつもより綺麗だな"みたいに思ってくれてたらいいなーと思います。あともう1つの質問としては、"指示待ち"の時間をどう使えばいいのかなって。先日、大きいイベントに参加させてもらった時に、「ちょっと待機してて〜」みたいなことが多かったんですけど、普通に待ってるのと仕事してる姿を見て待ってるのとでは全然違うから、"待機"ってなんなんやろうなぁって感じました。

(871) そこは凄く難しいだろうなって思う。"待機"を言い渡されてしまうポジションから、そこを抜け出すまでのスピードってスキルとか場の空気を読む力、コミュニケーション能力とか、そもそもの経験値とか。色んなことがあると思うんだけど、ちょっとだけ話を寄り道すると、待機時間に ぼーっと突っ立ってていいのかなって、そこが自分の居場所じゃない感じって誰にでもあると思う。

新しい環境に行ったり、新しい仕事にチャレンジしたり、学生時代にクラス替えをするだけでもそういう現象が起こる。そういう時に、如何に自分の居場所だと思えるように立ち振る舞うかって、小さな積み重ねだったりするんだよね。

例えば、コンサートアルバイトの会社とかだと、胸のところにガムテープ貼って名前書いてたりするんだよね。俺あれめっちゃ好きで。サッカー部の時に、新入生は全員白いTシャツに名前を書かされたのね。新入生からすると自分の名前を呼んでもらえるって結構助かるじゃん。「おい、そこのお前」って言われるより、名前を呼んでもらった方が入っていけるし、"今気を利かせてるのはわたくし柳井でございます"みたいな(笑)書いてあるから名乗らなくても済むっていうね。書いてるから。

だから、かえでさんが仕事に行く時に可愛らしいデザインで、"KAEDE"とか書いてあるTシャツ着たりしたら絶対覚えてもらえると思うんだよね。"自分の名前のTシャツ着てる子だよね?"って。そういうアイデアとかコミュニケーションの取り方で、自分のことを覚えてもらったり、待機が10人いる中で2人だけ来てっていう時に名前呼ばれるかもしれない。
待機10人の中に入るって集団面接みたいな難しさとかあるから半分修行ではあるけど、そこから抜け出せる力を持ってる人がその先も活躍していくと思う。


(かえで) 柳井さんは、結構(そういうバイトの人達を)見てたりしますか?

(871) 結構喋るよ。慢性的に人は足りてないし基本的に探してるので。ただ、余裕がない時は挨拶し損ねるぐらい、無愛想で嫌な奴だって思われてると思うんだけど。なるべくしっかり見ていきたいと思う。

(かえで) そう見せられるように頑張ります。
あと、柳井さんが裏方で仕事をする上で一番大切だなって思うことは何か知りたいです。
人によって全然違うと思うんですけど、私は表に立つ人間より楽しむことが一番大事やなって思ってて。これはさっき言った吹奏楽の話もそうなんですけど、例えば、ステージに楽器出すのが全部うまくいった時って自分の心に余裕があるから、皆の演奏にも耳が傾けられる。それは自分の仕事をちゃんと頑張って終えてるからそういう所まで持っていけてるんやろうなと。それは大きな吹奏楽の話で例えてるからなんですけど、裏方に回った時に表に立つ人間より楽しむことに当てはまるのかなって思ってて。柳井さんはどうなのかなって気になりました。

裏方の仕事をする上で一番大切にしていること

(871) 1個の表現としては凄くありだなと思った。出役よりも楽しむっていう気持ちで取り組むのはすごく大事。でも、比べられないものでもあるとも正直思った。出役の楽しいと、裏方の楽しいと、お客さんの楽しいって、楽しいの種類が違うような気もする。
ダメじゃないし、そういうモチベーションで取り組むってのは物凄く大賛成。ただ例えば、かえでさんに2個年下の後輩が出来て、「私もかえでさんみたいにライブハウスで働きたいんです!裏方の仕事で大切なことなんですか?」って聞かれた時、今の表現でいいのかは自問自答してもいいかもしれない。僕の言い方でいくと、出役と比べなくていいんじゃないかな?と思う。裏方として仕事なり公演なりプログラムを一番楽しむ!っていう。お客さんも楽しそうにしてるし、出役の人達も楽しそうにしてる。それとは違う楽しさだけど、その楽しさを私は目一杯やってます!みたいな。そんなことでも聞いた人の印象って変わったりするので。

話を戻すと、僕が裏方の仕事する上で一番大切にしてることだよね。…客観性かなぁ。
あと裏方やってる中で、やっぱりお客さんとか出役とか関わるスタッフとかに、"いいね"とか"ありがとう"とか言われるとやっぱりモチベーションのガソリンが給油されるよね。

(かえで) それは絶対的な力を持ってるなって私も思います。

(871) じゃあそのガソリン代は何かというと、自分の何某の貢献。それは労働、思考、時間、アイデア、色々あると思うんだけど、何か貢献した時に誰かから感謝してもらえる。貴方がいたからこれができたよ、貴方だからこのクオリティでやりきれたよ、とか。やっぱりやってて良かったなと思うよね。

(かえで) それで言うと、1人1人のお客さんと向き合うことが関係してるのかなってずっと聞きたかったんです。夏にインターンシップでスポーツ系のイベントに行かせてもらったんですけど、そこでお客さんに対応する時があって、もしかしたらこの人に今日接するスタッフって私だけかもしれへんってめちゃめちゃ感じて。飲食店もそうですけど、私の一回の対応でこのお客さんが次来るかどうか決まるな、って感じたので。それも繋がってるのかなって今聞きながら思ってました。

(871) それもド直結ですよ。変にアピールするのはどうかなって思う気持ちはあるんだけど、例えばライブで貧血になってフラッてくるお客さんとかいたりするじゃん。それがキャパ1000人超えたあたりから、運営の人間だけじゃ気付けない時ってあるんだよね。そういう時、僕はここぞとばかりに飛んでいきます。勿論助けたい気持ちもあるし、半分下心もあって、そこで飛んでくマネージャーってミュージシャンからも見えてるしさ、ちょっと信頼してもらえるなっていうのもわかってるから。勿論運営の人が行ってくれる時はわざわざ行かないけど、やっぱり倒れそうな人がいたら少しでも早く誰かが行った方がいいし、そういう動きが出来る人が信頼される。それをわかった上で、こうありたいからやってるのは全然あるね。

(かえで) 気付ける人でいたいなってずっと思ってますね。

(871) そうだね。僕も自分が主催じゃないフェスとか他所の現場でもパスをぶら下げてたら「お手洗いってどこですか」って聞かれることもあるし、そのときは「すみません、僕トイレの場所は分からないですけど、あのお兄さんに聞いたらわかると思います」ぐらいは最低限立ち回ろうと思う。出来ることをやれる範囲の最大限できる人が、周りからも重宝されると思うし、頼まれ事が入ってくるチャンスも増えると思う。それをやり続けられたら今より半年後、1年後、2年後、3年後、あの時あんなこと言ってたなって懐かしめるステージに立ってるんじゃないかなと思います。偉そうにすみません!

(かえで) 全然!ありがとうございます。

(871) 0:00になっちゃった。じゃあ、頑張ろう!

(かえで) またライブハウスにきてください!

(871) なかなか現場には行けてないですけど、行ける限り頑張ります!

(かえで) はい!ありがとうございました。

(871) ありがとうございました!

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