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871ンスタライブ #007(一人喋り〜w/中川和俊さん<FM802>)

#871ンスタライブ #007
2020年12月5日(土)

テキスト:宙組( https://note.com/soragumi_com)

(871) こんばんは。いつも配信の後に頂く質問が、仕事周りの事や"音楽の仕事をしたいと思ってます"というのが多いので、今日はその辺に触れたいと思います。あとライターとか編集の仕事、音楽雑誌についても話せたらと思います。

ビジネスモデルを考えるー音楽雑誌の広告モデルを例に

皆、音楽雑誌とかフリーペーパーってどれくらい読んでるんだろう。あれは広告モデルでもあるということは知ってるのかな。

例えば『国民的バンドA』のインタビューが表紙で載ってたとして、表紙を開くとそのバンドの見開きの広告が出てると思うんですけど、あれって要は広告を出してるっていうことなんですね。雑誌の売上って、①雑誌を販売して得ている利益と、②レコード会社とかレーベルが出してる広告費用との二つがあります。分かりやすい例で言うとファッション雑誌のペンケースやトートバッグとかのノベルティありますよね。ファッション業界は詳しくないですけど、あれってブランド側が無償で商品提供してる可能性も無きにしも非ずです。そういうビジネスモデルみたいな事をアーティストが"知らなかった…"みたいなケースって結構あるんですよね。

一番顕著に感じるのが、メジャーのレコード会社で活動してたアーティストが、メジャーのレコード会社と事務所を離れてインディーズでやり始めましたと。自分達で頑張ってアルバム作ったので、これまで関係してた人に「アルバム出すんで宣伝手伝ってください」ってメールを送ったら「是非インタビューやりたいです!」と返ってくる。そして、インタビューの打ち合わせの最後に「じゃあ今回出稿費っていくら位いけますか?大体モノクロだとおいくらで、カラーだといくらで。1ページこれぐらいで〜」みたいな話が出てくると。全部が全部とは言わないですが…。そこで初めて「あ、そういうことをしてるんだ」って知るミュージシャンがいる。

良い・悪いの話をするとなかなか難しいところなんですけど、そういうビジネスモデルを把握してるか否かが、仕事の上では結構重要な部分だと思います。お金にまつわる話を興味ない人に無理やり押し付ける気はないんですけど、「それってどういうモデルになってるんだろう?」って疑問に思ったり考えたりする癖は必要かと。あと分かりやすいのは、新しい映画が公開されるとバラエティー番組にキャスト陣が出ますよね。あれ恐らく、バラエティ番組への出演料はほぼ発生していなくて、映画のギャランティーにプロモーションのテレビ稼働も含まれてると思います。テレビは思いっきり広告モデルなので、15秒のCMを打ってるスポンサーさんから制作費が出ていて、その制作費をもとに番組を作っていると。

CDが凄く流通していた理由として、例えば任天堂がスーパーファミコン売るためにマリオ開発したのと同じように当時はCDプレーヤーを売るためにCD売ってたんですよね。SONY・ビクター・EMIはもともと家電作ってた会社なんです。CDガンガン売ってたのは実はCDプレーヤーで儲かってた。なのでCDが流通してた理由はソフトよりハードですね。凄いなって思うのは全然儲かってなさそうな住宅街のスポーツ用品店。誰がここで物買ってんだろう?と思うんですけど、大体そういうお店は1年に1回近所の学校の体操服や制服が何百単位で売れるから成り立ってるみたいなこともある。僕はそういうのを考えたり知ったりするのが結構好きなんですよね。


転職のお悩みとライター業について

こんなコメントをDMで貰いました。
「来年の春に、今の仕事を辞めて上京して転職しようと思っていて、選択肢として、一つは資格も持っててコネもあって雇ってくれるだろう、という会社で働くか、もう一つはアテもないけどやりたかった音楽ライター編集の仕事に応募するか。音楽の仕事にチャレンジするのか?それとも資格とコネがあって働けそうなところか?」っていう話です。

この「音楽ライターの編集の仕事」という点で、さっきの広告モデルの話に戻って、頂いたコメントを見てみると、音楽雑誌を買ってらっしゃる方って「表紙が好きなアーティストだから」とか「好きなアーティストが多く載ってると買う」 っていうコメントが多いですね。その場合は結構アーティスト依存なので、それならアーティスト側が独自に雑誌を出せばよくないか?みたいな気持ちもちょっとあります。正しいかどうかではなくて発想としてね。

雑誌A 、B、Cがあったとして、それぞれインタビュアーさんの切り口や編集の切り口で違いはあると思うんですけど、概ね“アルバムとかについて”とかだと、アルバムができるまでのストーリーとか、この曲はどういう思いで書いたか、作品の前後でどういうアーティストになり得ようとしているのか、といったベーシックなところはどこもそんなに変わらず押さえてると。それをアーティストのファンが買ってくれるのも1個の方法だと思います。

あ、良いコメントがありました。
「(アーティスト側が出す雑誌とかだと)ファンにとって有難い雑誌になりますが、逆に言うとそのアーティストのファンしか買わない気がします。他のアーティストを知るきっかけにならないですし」

そう!他のアーティストを知るきっかけ、っていうのが雑誌にどれぐらいあるのか。僕は結構可能性が低くなってしまっている気はしています。勿論、可能性がないとは言わないですし、あると信じて今も雑誌さんとの付き合いもあります。例えば『King Gnu』が表紙で、2つ目か3つ目の特集で『THE ORAL CIGARETTES』が入ってたとして、『King Gnu』のファンが『THE ORAL CIGARETTES』を知ってくれたらいいなって思うんですけど、実際ファン目線で見た時に目当てで買ったアーティスト以外のインタビューを読んだり、そこから音楽を実際に聴くことってどれぐらいあるんだろう。ないとは言わないですけど、期待をするほどにあるのか?っていう疑問があって。新しいものとの出逢いってYouTubeとかの方が多いと思うんですよね。「フェスとかライブでみて雑誌で読んでみようってなります。」っていうコメント、なるほどね。「出逢い能力」でいうとフェスの方が高そうだよね。ステージからステージの移動とかで知ったり。


ちょっと話を戻しますね。

広告モデルの話を最初にしたと思うんですけど、じゃあ広告を出す時に、バンドAのスタッフがバンドの良さを伝える為に雑誌社Xにインタビューをお願いして、インタビューとセットで広告を出しますと。広告費を払うと、基本"いい事書いてね"って言う関係が生まれるし、ライター側も"広告費もらってるしあんまり酷いことは書けない"となる。その時、広告モデルの媒体にどこまで客観的な評価能力があるのかっていうのは構造上難しいものがある。勿論それだけで成り立ってる訳ではありませんが、特にフリーペーパーの売上げは100%が広告モデルで、レコード会社や音楽事務所がスポンサーで、そのスポンサーの商品となり得る作品やアーティストを扱ってる。凄い極端なことを言うと、「このアーティストの良さはあまり分からないけど、広告費を出してもらってるから良さを伝えよう」っていうことが、構造上もしかしたらあり得るかもしれない。勿論、編集長やマネジメントをしてる人はなるべく良いマッチングが起こるようにライターを選ぶと思いますが。

もちろん、転職して音楽出版社に思い切って入ってみるのも一個の手です。ただそこで得られる経験値とキャリアって必ずしも保証されてる訳ではないと。
例えば今、宙組さんがやってくれているインスタライブの原稿化って、それ自体は何が起こるかどうかはわかんない。でも今の時代noteとか何でもあるから、自分が原稿を書いたり、見てもらうこと自体は音楽出版社に入らなくてもできる。

仕事の可能性を探る時に転職するか否かっていう2択だけとは限らないです。週休2日で1日8時間働いてたとして、それ以外の時間を何に費やすのか。自分がやってみたいことや、チャレンジしたい仕事があって転職しようか悩んでるのであれば、悩んでいる時間に小さなことでもやってみてもいいんじゃないかな、ということ。

全然音楽と関係ない仕事をしていても仕事を続けながら文章を書いたり、インタビューしたりを経験として積み重ねていく中で、例えばnoteフォロワーが1万人になったらどこかの出版社で2年働いてましたっていうよりパンチあると思う。インタビューとかライターの仕事もフリーでも入ってくると思うし。それはもちろん能力あってのことなので、絶対そうなりますよ!とは言えないですけど、可能性がどっちの方が高いかっていうのは何とも言えない。

例えば、ちょっと嫌な言い方をすると、どこかの出版社でインタビューをするセクションに入れて、先輩のインタビューの書き起こしを延々と1日8時間やって、編集を先輩がやってたら勉強にはなると思うんですけど実績は多分貯まらない。否定をしているわけではないですよ。その道でも、結果を出して信頼を得てプロフェッショナルになる人もいるし。 でも言いたいのは、音楽と関係ない仕事をするか、音楽の仕事をするかを悩んでるとしたら、その時間に週1でもnote書いてみたらどうかなっていうことは言えるよね。勿論、思い切って入ってみるのも凄くいいんですけどね。

あ、もう1個今思い出した!

「変化ハイ」という現象

凄く気をつけた方がいいなと思うことがあって。
何かを始めようとか、何か変わろうとか、転職した時、学校に入った時、入試に受かった時、採用が決まった時、地方から東京に上京する時…とか何か変化を起こす時に「変化ハイ」になる時ってあるんですよね。「変化ハイ」って勝手な言葉ですが、"変化を起こしたことに自分の気持ちが高まりすぎる"っていうことです。変化って重要なんですけど、まだ何も始まってないんですよね。そこからなので。

僕もこのインスタライブをやって良かったなって思えるのはどんだけ早くても3ヶ月後とかだと思うんですよね。勿論、引越し、入学、転職とかって何かが起こりそうな気配にドキドキするんですけど、どう考えても重要なのは変化があってからのアクションで。noteを週一で書くことって大きい変化は起こってないけど、それを地道に地道に続けていくことで気が付いたら経験値とちょっとした実績が溜まってる可能性がある。

なので、「上京してこんな会社に入れて!これから頑張るんです!」っていうのは、その時点ではまだ何も始まってなくて、そこからがスタート。これ別に誰かにダメ出ししてる訳じゃないんです。けど、やっぱり「変化ハイ」って疲れちゃうので、「変化ハイ」を高く見積もらない方がその後の自分に良い効果が出るんじゃないかなっていう話です。

DMでコメントもらってた人に対して明確な答えにはなってないかもなんですけど、今したような話とかをぼんやり自分でも思いながら、2~3年経った時に自分自身がどっちの方が納得いくというか、後悔してないかを考えるといいかもしれないです。



例えば、メジャーデビューって「変化ハイ」のパワーを最大限プロモーションに使ってみようっていうことですね。メジャーデビューって実際、何が変わるかっていうと、チームスタッフと商品の流通経路が変わったっていうことなので。勿論、メジャーのレコード会社やある一定の関係者の結果や評価を得られたっていう物差しはあるんですけど。メジャーデビューしたら勿論、宣伝量や露出量は増えるかもしれない。でもそれで成功するならレコード会社のホームページに知らないアーティスト名が掲載されてるのはおかしい、っていうね。だから“変化”ってトピックとしては大きいので囚われがちなんですけど、それ自体にはあんまり大きい意味がないっていう。重要なのは変化があってからのアクションですね。

ラジオも今radikoが出てきてダイレクト課金モデルが若干始まって、ちょっとずつ結果が出始めてますけど。

コメント欄にマッチいるけど、ちょっと出てくれるかな?


FM802の中川和俊さん登場

飛び入りゲスト:中川和俊(以下:マッチ)

(マッチ) どうもです!初めまして!

(871) 皆さん、紹介します!FM802の中川マッチくんです。ラジオどう?コロナで。

(マッチ) うちは結構大変かな。どこも大変やけど、うちはラジオの中でもイベントの収益を上手くあげて成功してるって言われたからこそ厳しい状況にはなってるかな。他の局と比べるとね。

(871) リアルが動けないのは結構キツイよね。FM802って採用活動とかしてるの?

(マッチ) 中途採用が多いかなぁ。新卒はペースで言うと4.5年に1回ぐらいかな。

(871) 表で採用情報出してるの?

(マッチ) 出してる!うちのホームページとか、あとOA(オンエア)でも言ってるんちゃうかな(笑)

(871) 面白いね!
コメント欄に「ワナビーズからFM802に就職繋がったりしますか?」ってあるよ。
(ワナビーズについての詳細→ https://wannalab.net/ )

(マッチ) ワナビーズ結構いいと思う。個人的には。
『RADIO CRAZY』でワナビーズのアイディアをそのまま採用しますっていうエリアがあったり、うちでも結構裏方の仕事もできるし、音楽業界の目に止まるようなこともあるので。実際ワナビーズから来た人何人かいるよね。

(871) ああいうのをインターンと呼ぶのかわからないけど、例えば鹿野さんの『音小屋』とかもそうだけど、(音小屋についての詳細→ http://www.musica-net.jp/otokoya/  ) 学生側が実際その立場になってみたら、"面白そうだな"って思う人が一部だったりするじゃん。10人いて4~5人いたらいい方。ワナビーズはワナビーズで、出入りしてればいいっていう問題じゃないよね。その中でどういう風にアクティブに動けるか?興味を持って能動的、主体的に動けるのか?はすごい重要だよね。

(マッチ) そうだね。僕も広告代理店から中途で入ったけど、その前にやってたことがベースになってるというかね。柳井が店長やってるお店でDJしてたりしてたので。

(871) 料理人だった人もいるしさ、DJやってた人もいるし、大学生だけでDJイベントごっこして夜遊びするっていう仲間がいてね。あの時のヤツらはみんな逞しいよね!
…もう少しで時間だ。マッチせっかくだからFM802の営業部だからこそ皆にお伝えできる「FM802のここに注目!」みたいなのない?

(マッチ) さっきの話でいうところの、うちは広告モデルで成り立ってるけど、うちの編成部は独特なんで!営業要請なんか全く無く、音楽の選曲とかに関しては関与しないので。うちの番組作りはガチでやってます!

(871) それちょっと面白いかも。俺大阪から始まってるじゃん?FM802でゲストブッキングしてもらおうと思ったら、まず口説くのディレクターさんじゃん?でも他の局って割と編成の人を口説くケースの方が多いんだよね。(笑)

(マッチ) やっぱリアルにそうなんや!

(871) まあ100-0とは言わないし、勿論他の局でもディレクターさんが親身になってやってくれることもあるけど、FM802の編成が"ディレクターさん(の耳)を尊重してるレベル"は比にならない。凄いビックリした。え、ディレクターに蹴っ飛ばされることとかないんだ!みたいな(笑)

(マッチ) ははは(笑)うちは結構現場主義やからね。やっぱリアルにリスナーと接してる人がしっかり意見してるというか。

(871) ある種健全で凄いところだし、FM802のカラーが出てる根幹というかね。編成も超パワフルじゃん。イベントも結構やるし。良い構造になってるよね。

(マッチ) みんな音楽好きでガッツリやってる感はあるよね。割と営業でもその辺しっかり絡んでいくことも多いから、営業やからって割り切って仕事してるとかもないし。

(871) マッチも半分プレイヤーっていうか、楽器じゃないけどそういうのが根幹にあるからね。マッチ表に出るのは嫌じゃないの?

(マッチ) 僕は全然大丈夫!

(871) じゃあマッチを呼ぶ会っていうのを別でちゃんとやるので!

(マッチ) わかった!ネタ作っとくわ。

(871) OK!今日は急だったけど、ありがとうございます!

(マッチ) じゃあ!また!お休み〜!

(871) FM802の中川マッチ君でした!
お金の話の流れとか音楽雑誌のビジネスモデルの広告なのか?ダイレクト課金なのか?みたいな話を寄り道した結果、困って友達を呼ぶっていう会になっちゃって申し訳ないですが…これからも配信やっていくのでみてください!
今日はそんなところで。ありがとうございました!

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