871ンスタライブ #013(w/芦沢ムネトさん)
主催:柳井貢(以下:871)
ゲスト:芦沢ムネト(以下:芦沢)
(871) こんばんは。
今日は以前チラッと配信で絡んだ芦沢ムネトさんと改めてお話しできればと思っています。
(芦沢) こんばんは!芦沢です。よろしくお願いします。
(871) 凄い失礼なんですけど、今日はまず芦沢ムネトさんは何屋さんなのか、っていうことを聞きたくて。
芦沢ムネトは何屋さんなのか?
(芦沢) その問題は結構ありますね。僕も説明にいつも困るんですよ。
一応、僕はワタナベエンターテインメントという会社におりまして、『パップコーン』っていうトリオのグループでお笑い芸人として所属しております。ただ、最近はコントをそんなにやってないので3人の活動よりもそれぞれの活動がありますね。映像のディレクターやってるやつもいるし、もう1人は役者、僕はイラストとMCの仕事が多いです。あとはラジオがたまにあったり、コロナのタイミングで配信の司会が増えました。ラジオをやってたお陰もありますけど、バンドのことも何となく分かっているし、多少ユーモアを混ぜられるみたいなポジションで呼んで頂いているのかな、という感じですね。
(871) 『パップコーン』の活動のペースとか、活動内容はどんな感じなんですか?
(芦沢) 昔は単独ライブばっかりやってました。もともと5人組でネタをやってたんですけど、自分達でお客さんを呼ぶのにも限界があると感じて事務所に入ったんです。そこからテレビとかに頑張って出よう!って色々やってたんですけど、ある時期からテレビとかにあんまりモチベーションがなくなってきて。舞台とか、自分達で好きなことやった方がいいよね、っていう感じになっていったんです。コロナの前も舞台の方に重きを置きながら単独ライブもやってたんですけど、徐々にメンバーそれぞれの仕事が増えてきて。大抵そうなると普通は解散なんですよ。「コンビでやってる意味なくない?」ってなったり、事務所に言われることも普通はあるんですけど、僕らは割とその辺の感覚が鈍いというか。「自分達が好きな時にやればよくない?」っていうペースになったんです(笑)好きな時に帰れるホームがあればいい、得意なものがそれぞれ立派にあってたまに持ち帰ればいい、っていう感覚でやってますね。
(871) 今、コロナではありますが、他のメンバーさんには会ってるんですか?
(芦沢) 最近は会ってないですね。今年の夏くらいに単独公演をやる予定だったんですけど、コロナでダメになっちゃったので配信になりました。ただ、ネタの配信ってあんまり面白くないので、違う形にしましょうって今年やったのが、noteで文字を読んでいく間に映像でネタが入ってくるというものです。しかも映像をYouTubeじゃなくて別の動画サイトで広告が入らないようにして。そのままパッとみれると。2分とか15秒で終わるのもあればガッチリ5分のもあって。読み物だけどネタが見れる、記事上で単独ライブです。やってる人いないと思うんですけど。
(871) 手応えはどうだったんですか?
(芦沢) 半々って感じでしたね(笑)なかなか理解してもらえないんです。8本くらいは無料で今も見れて、途中から有料記事になってるんです。直前までは安く記事を購入できるけど、当日になるとちょっと値段が上がるシステムで、それが当日券という扱い。"いつでも見れる、いつ来ても良い"っていう宣伝をしてたんですけど、最初は全然理解して貰えなくて。「ごめんなさい、その日いけないんです」とか(笑)
(871) ははは(笑)
(芦沢) そういうことじゃなくて…みたいな(笑)その日、とかじゃなくていつでも見れるんですよって(笑)「あれもう終わっちゃいましたよね。行けなくてごめんなさい!」「いやいや!今も観れますよ」みたいな(笑)あとは個人のスポンサーもOKにして、プランも色々用意したんです。例えば1万円プランで、ネタ中にあなたの名前が出ますとか、5万円プランでその人の為のネタを作りますとか。そしたら変な話、個人で10万円入れる人とかいて、色んな個人スポンサーがやってくれて、劇場でやるより黒になったっていう。
(871) それはnote上の決済でやったんですか?
(芦沢) そうですね。ネタを追加して記事を更新すれば永遠にその記事は残ってるので何回でもできるし、新しいこともできるかなっていう。大変でしたけど面白かったっすね。
(871) その感覚は大事ですよね。
フォーマット化していくエンターテインメントの中で、どうアクションを起こしていくか
(871) あとムネトさんに聞きたかったことで、何屋さんですか?もそうだし、『パップコーン』の活動についてもそうなんですけど、僕も含めてこの配信を観てくれている人のムネトさんの1番の形容詞って、"元SCHOOL OF LOCK!!の人"だと思うんすよ。でもネコの絵も描いてるし、どうやら芸人さんらしいぞ、みたいな。でも芦沢ムネトさんが何で構成されているかって全然自由だと思うんですね。
僕だって、裏方マネージャーが何をインスタライブやっとんねん、って言われる日も来るかもしれない。けどそれって、好きでやってるだけっていう話になりますよね。個人の活動についてはそういう理解が生まれ始めてるけど、グループにも言えるなと思っています。別に年に1回だけコンサートをやるグループがいてもいいし、定期的なことはしないグループがいてもいいし。逆に定期的な何かだけをやりますっていうのも良いだろうし。昭和〜平成ぐらいのフォーマットって、かっこいいなって憧れる存在をなぞるのが基本的なアピールの仕方だったと思うんですけど、フォーマット自体を斜め切りするような提案をしてみたり、フォーマットごとプレゼンした方が、さっき言ってたみたいに"個人で10万円応援してくれるんすよ"みたいなことが起こりやすいかもしれない。
分かりやすい例えは、鹿野淳さん(MUSICA)が『VIVA LA ROCK』で『VIVA LA J-ROCK ANTHEMS』ってやってるじゃないですか。亀田誠治さんとか特別なバンドメンバーが、『VIVA LA ROCK』の時だけ、年に1回集まって色んなゲストボーカルを呼んでパフォーマンスするみたいな。あれも一個のバンドのスタイルだと思うんです。今後はそういうのが色々出てきそうな気はしますけどね。
(芦沢) ぶっちゃけ、僕は今の時代的に"芸人"っていう肩書きは結構窮屈だなって思うとこがあります。意外と色んなことをやりたい人もいるし、ネタじゃなくて違うとこでやりたい人もいるかもしれない。そういう点で僕も最初は頑張って芸人の方でやってたんですけど、"俺、この関係の感じ苦手かもしれない"ってなっちゃったタイプの人で。だから音楽の人と喋ってる時の方が楽しく喋れたんです。最初はそれがコンプレックスだったんですけど。本来、芸人さんとミュージシャンってお互いリスペクトしてるし気を遣うんですよ。だからバッと仲良くなる機会が意外となかったんですけど、僕は『SCHOOL OF LOCK!!』のお陰もあって、割と仲良くなろうとしてて。そうやって事務所でも音楽部門の人達と仲良くなったりすると、「芦沢だけすげえな」とか「何であっちの人とも話せるんだ」みたいな感じにもなって、昔先輩にも色々怒られたりしたんです。「ミュージシャンばっかりと飲んで、お前、楽だから行ってんだろ」とか。
でも、単純にそっちの方が楽しかったんですよね(笑)
(871) やっぱり1個のフォーマットが完成すると伝統芸能化するんですよね。ロックバンドも弱・伝統芸能化し始めてるなと思っていて。例えばイメージで語りますが、歌舞伎のフォーマットって、劇場があって、ある程度の機材と演出内容に合わせた演目が出来てきて、1日のスケジュール的には大体60分ぐらいの演目がベター、みたいなのがあると。
ロックバンドも、ワンマンライブは90分~120分。アリーナクラスだと長くて180分みたいなフォーマットが基本的には崩れることないじゃないですか。それがフォーマット化してるから安心感を持ってチケットを買って、楽しみに行けるっていう市場ができてる。勿論、伝統芸能をバカにしてる訳でもないし、凄く素晴らしいものだと思うんですけど、フォーマットごと新しいことをするのと、フォーマットの中で新しいことをするのは別物だよねっていう理解の元で、アクションするのが重要だと思っていますね。
(芦沢) 今日とあるバンドのライブを観たんですけど、対策とか色々な事を含めてライブ自体が1時間半だったんですよ。短くて。でも長さとしては凄く丁度良いなって思ったり。演劇とか映画も2時間半くらいの決まりがあるけど、もっと短いのがあっても良いんじゃないかな、みたいなことは思います。そのバンドのライブが1時間半だったから丁度良かった、みたいに言うと語弊はありますけど、これくらいの長さのライブをやる人達がいても良いかなって感覚もちょっとあって。
(871) 何を見せようとしてるのか、何を見に来てるのかをもう1回確認しよう、みたいなのはあっても良い気がしますね。長くやらないと伝わらないこともあるかもしれないし。悲しさもあるけど、アルバムを1曲目から15曲目まで80分通してCDプレーヤーの前で噛み締めて集中して聴いてくれるリスナーってどれだけいるのか。っていう。
単曲で聴く人が多くなってることは事実だし、ながら聴きするな、とは思わないけど、レコード買ってた時代に比べると、音楽と対峙して80分聴くみたいな楽しみ方が少なくなっていることは事実。それがダメだって言ってる訳ではなくて、それ以外のことも考えていかないと発信側のエゴになっちゃう可能性はありますよね。
アルバムが大体15曲とか70~80分に収まってるのって、レコードとかCDに収まる分数がそれだった、っていう話なのでミュージシャン発信じゃないですからね。同じものを売るなら、単価は上げたい。じゃあギチギチに入れた方が単価は付けやすい。じゃあ、15曲だよね!みたいな。それだけとは言わないですけど、そういうのも加味してベーシックな尺が出来ているにも関わらず、アルバムをすごく神聖なものとして扱っている人の思考の中に、技術の中で尺が決められているっていう発想が無かったとしたら、ちょっと思い込みが強いですよね、っていう。
(芦沢) そうですよね。まあアルバムを否定してるわけでも何でもないし、選択肢が色々あっていいのに、何となく決めてることが多いですよね。
(871) 出来上がってるフォーマットに乗っかって上手く利用するのも凄く良いことなんですけど。僕、むっちゃ擦るんですよ。上手くいったことを2回か3回かはやるっていう。
(芦沢) 上手くいったことってプロモーションとして、っていうことですか?
(871) プロモーションもそうだし、販売方法とか告知の仕方とか。分かりやすい話でいうと、僕の担当してるアーティストの中でクラウドファンディングを5回もやってるんですよ。それくらいやってやっと自分の切れるカードになる。他人に教えるレベルまで分かるというか。1回良い感じになったアイディアって、偶然なのか、他の要因で良い結果が出たのか、本当にジャストフィットして良い結果が出たのかがわかんない部分があるので、微妙にアレンジして繰り返しています。これは刺さる、これは刺さらない、っていう。
(芦沢) 何回かやらないと分からないですもんね。
(871) そうですね。あと僕がムネトさんに思うのは、何屋さんかわかんないけど、「何となくうまいことやってそうな感じ」に興味があります。
芦沢ムネトならではの音楽のお仕事への関わり方
(芦沢) 僕は音楽の仕事に関して言うと、チャットモンチーのあっこちゃん(福岡晃子・Ba.)に「あっしーは音楽がただ好きな人の方が良い。語らない人になった方がいい」って言われたことがあって(笑)勿論、雑誌の記者の方とかは良いと思うんですけど、僕が変に詳しくなって「この曲はこうだ、あれは〇〇の影響を受けててな」って語っちゃうと多分よくないと思うって言われて、なるほどなって思って。
もともと僕、色んなことをやってるのも含めて、いいなって思ったことをやってしまう人なので、良い意味でずっと初めてライブ来た人みたいなテンションなんですよ(笑)アーティストと喋ってても、音楽的な細かい技術がどうだっていう話よりは、新鮮に話せるっちゃ話せるんですよね。そういう感覚でやってるから今の感じになってるのかなとは思います。
(871) それはむちゃくちゃあると思いますよ。俺はこういう音楽を支持してる!っていう思想を持ち込みすぎないことは凄くミュージシャン側なり事務所なりレーベル側からすると起用しやすいっていう。語弊を恐れずに言うと、ベターですよね。でも回し役にとってのベターって結構褒め言葉だと思います。来るゲストによっては100点出すけど、来るゲストによっては5点しか出せませんっていう回し役は番組側にとっても辛いじゃないですか。だからムネトさんはそこの空いてる椅子(ポジション)を…どっちかというと、空いてなかったんですけど自分で椅子を持ってきて、ポンって置いて、はい!僕この椅子座りますね〜っていう感じで座ったなっていう印象ですね(笑)
(芦沢) サバンナの高橋さんに「芦沢くんに緊張する人いないと思う」って言われて。でも例えば、くりぃむしちゅーの方が来て司会するってなったら、ミュージシャンの人も緊張すると思うんですよ。
(871) 『HEY!HEY!NEO』みたいな感じですよね。
(芦沢) そうです。あれはあれで勿論良いんですけど、僕はそれがないのが良いところかなっていう。
ラジオやってなかったらこんな風にならなかったと思いますね。
(871) ラジオはどこからお話がきたんですか?
SCHOOL OF LOCK!!のパーソナリティに就任したきっかけ
(芦沢) 僕もともと『RADIO DRAGON』っていう番組やってて、音楽イベントで元々SCHOOL OF LOCK!!のプロデューサーをしていた方にたまたま会って話したんです。その方曰く、僕の声が凄く良いらしくて。意外と俺の声が低いんです。
で、とーやま校長(元・SCHOOL OF LOCK!! 校長)がめちゃくちゃ声高いんですよ。それが丁度ハモってるみたいで良い、っていうとこからお話がきてオーディションに行きましたね。恐らく今までのパーソナリティが、(マンボウ)やしろさん、とーやまさん、吉田(大吾)さんなので、おそらく吉本興業の人が何組かオーディション受けてると思いますね。僕は事務所が違うから珍しいパターンだったと思います。さっき「意図してそういう所にいったのか、自然になったのかどっちですか?」ってコメントありましたけど、自然となった方が強いかもしれないですね。
(871) 嗅覚というか、いい波が来た時に乗っかる力を持ってたんじゃないかなと思いますね。勝手ながら。
(芦沢) 1回だけゲッターズ飯田さんに手相を見てもらったら、「芦沢くんは運だけで生きてる」って言われました(笑)運だけで生きるなんてことあんのかって思いましたけど(笑)一切努力をしてないって言われて(笑)
(871) いやいや、褒め言葉ですよ(笑)別にフォローする必要もないと思うんですけど、運がただのラッキーで終わるのか、それをステップにして更に次のフィールドに行けるのかは手前の努力がないといけないので。
....ちょっとこの先の話をする為にシンプルな質問を2個していいですか?
(芦沢) もちろん。
『フテネコ』の今後の展望
(871) 今おいくつでしたっけ?
(芦沢) 41歳です。
(871)『フテネコ』を発明して、表に出したのって何年前ですか?
(芦沢) 2010年の後半とかですね。
(871) 10年前ぐらいってことは、31歳ぐらいの時か。
凄い失礼な質問ですけど、ネコちゃん……あれは…何ですか?(笑)僕、好きなんですよね。
(芦沢) ははは(笑)『フテネコ』はですね、昔バイト中にすることなくてお笑いも全然売れないって言う時に、美術大学出身だったんで絵は描けるなって思って。
(871) どこの美術大学ですか?
(芦沢) 多摩美術大学です。
(871) うわあ!エリート!僕、関東だと"芸大じゃねえ"って言われる大阪芸大出身なんで(笑)
(芦沢) 僕、大阪芸大受けて落ちましたから(笑)
(871) いやいやおかしいでしょ(笑)!多摩美受かって大阪芸大落ちるとか聞いた事ないです(笑)
(芦沢) 大阪芸大、憧れました(笑)なので、絵を描けるっちゃ描けるし、せっかく特技があるからTwitterで描いてみるか!と最初は大喜利みたいな絵をあげて猫の絵を添えたんですけど、たまたま当時仲良かった音楽関係の友達がRTしてくれたんです。そしたらフォロワーが増えていって。じゃあ自分は趣味でバンドをやってたこともあるし、音楽の人に響く絵を描くのも面白いかも!と思ったんです。そこで猫に楽器を持たせて。楽器もミュージシャンの人が見るなら、Gibsonのギターにしよう、これはリッケンバッカーだ、とか細かいところまで描いて。そしたら音楽の人のRTが増えて、そこからですね。バイトで忙しいけど、毎日連載を抱えてるみたいな感じでした。
(871) 答えられる範囲というか、怒ってもらってもいいんですけど、この10年間で猫ちゃんと喋りとどっちが儲かったんですか?
(芦沢) 圧倒的に猫ですね。
(871) そうなんだ!
(芦沢) 一時期はスタンプとかDVDを出したりとかもしてたので、結構ありました。
(871) 『フテネコ』の今後の展望とか戦略はないんですか?
(芦沢) 僕、本当に戦略を練るのが下手くそな人で。今みたいにTwitterで絵を上げるのもいいんですけど、ちゃんとキャンバスに描いて美術作品の方に持っていきたい気持ちも正直ありますね。急に現代アートみたいな感じには出来ないですけど、ちょっと作品性を高めた方がいいかなって自分では思っていますね。
(871) なるほど。ちなみに、ムネトさんはワタナベエンターテインメント所属で大丈夫なので、『フテネコ』がHIP LAND MUSIC所属ってどうですか?
(芦沢) めっちゃいいですね?それ。いやもう、一緒に考えてくれる人が必要なんです。
(871) やっぱり、個人の思いつきと発想でやり始めてるものに横から茶々入れるのはちょっと気が引けるというか、邪魔したい気持ちはないので。だけど、何が引きになってるのか、何が面白がられてるのか、それをどう発展させたらより面白がって貰えるのか、っていうのが一個人のシュミレーションだけに拠るとちょっと限られてるというか。
(芦沢) そうですよね。相談出来る人があまりいないというか、多分タイミングを逃してるんすよ。ガチャガチャとか、ぬいぐるみとかにもすればよかったのに、そういうのもしなかったし。自分の中で明確な戦略が無くて、とりあえず今は描き続けるしかないっていうのは正直なところあります。
(871) 『フテネコ』を描く作業って辛いと感じることありますか?
(芦沢) 一時期辛かったですね。でも今は楽しいです。
(871) 僕1番大事だと思うのは、これから50歳〜60歳になっていくともっと何屋さんか分からなくなっていくと思うんですけど、何屋さんか分からなくなっても『フテネコ』を描いてる時間は楽しい、っていうのが大前提で重要だと思うんですよね。その上で大儲けしなくても、ミュージックコアファンの皆の中で文化になっていくみたいなプロデュースをしてみたいと勝手に思っています。
(芦沢) それいいな〜面白いな。
60歳とかになっても書き続けるべきだと思ってます。ちょっと真面目な話をすると、うちの母親はもう亡くなってるんすけど、ずっと絵を描いてる人だったんです。母親はずっと船の絵だけを描いている人だったので、俺が「なんで船の絵ばっか描いてるの?他の絵も描けばいいのに」って言ったら、「同じ絵を描き続けるべきなのよ」っていう話をしてて、なるほど、と思って。描き続けることで名詞になるというか。"猫の人"でもいいし、そういうのがあるのは大事なんだなと思いましたね。
(871) 絶対そうですよ。あとSNSで描いてるあるあるネタみたいなのって、描くまでのアイディアを考える脳作業は測れないものだと思いますけど、恐らく実際描いてる時間自体はそんなに長くないじゃないですか。1枚の描くのに50時間かけました、みたいなことはないじゃないっすか。それがものすごくいいなぁと思ってて。
(芦沢) キャンパスで描く時はめちゃくちゃ時間かかるんですけど、パソコンとかで描くさらっと思いついたやつは早くあげたいですもんね。兎に角早く!このアイディア見て!っていう感じです(笑)そこはSNSの良さなので、丁寧に描くことを意識する時とは、使ってる脳の部分がちょっと違うかもしれないですね。
(871) 『フテネコ』はまだ第2次、第3次ブームきますよ。
(芦沢) 誰に言われたのか忘れちゃったんですけど、「喜ぶ人がいて、それが出来るならやるべきだ」って言われて。喜ぶ人がいるって大事だなって。独りよがりだとあれですけど、そこに良いって思ってくれる人がいるなら、やるべきだなと思いましたね。だから柳井さんのインスタライブも喜ぶ人がいるからやるべきだと思うし。
この配信によって、色んな仕事とかに興味を持てたらいいですよね。多分今の10代とか、学生の人達って凄く不安だと思うんですよ。大学行ったほうがいいの?行かなくてもいいの?どっち?みたいな。それすごい悩むだろうなぁと思って。自由なことやってる人達は、「別に大学なんか行かなくても平気だよ」って言うし、しっかりした人達は「大学行った方がいい」っていうし。分からないから自信がないじゃないですか。
美大生活で何を得たか
(871) 本当にそうですよね。
その話で言うと、ムネトさんって多摩美術大学で何専攻だったんですか?
(芦沢) 僕は映像演劇学科で、映画を撮ったり演劇をしてました。
(871) サークルとか仲間内の課外活動は置いておいたとして、そこの授業の内容って今の自分の構成要素として何%くらい役に立ちましたか?
(芦沢) 結構役に立ったと思います。技術は全然教えてくれないんですけど、発想の部分ばっかりやるとこだったんです。例えば「皆さん今から多摩川まで散歩してきてください。何か一個だけ拾って帰ってきてくださいね」って言われて、一個拾って帰ったら、「今から1時間与えるので、その拾ったものでお話を考えてください」って、そのあと発表させられるとか(笑)デカくて太い木を渡されて、ヤスリでただただ丸くしてください。とか(笑)アイディアをどう考えるか?どうやって面白いものを作るか?っていう発想の部分をやる授業が多かったので、ノウハウというより、クリエイターの脳みそを作る学校だったんですよね。そういう意味で凄く楽しかったですね。
(871) 凄い!それであれば価値ありそうですね。
(芦沢) 凄かったのは、発表会があって運営のトップが、めちゃくちゃ尖ってる同級生だったんですけど、"面白くないボタン"っていうのを作ったんです。例えば映画の作品だったら映画を観せた後に、面白くないと思ったら"面白くないボタン"を押してください、みたいな。で、客席から何個かボタンの音がするんです。それで演劇側と映像側が「貴方達映像班は作ったものを出すだけだけど、私たちは毎日演じなきゃいけないの!」ってすっごい喧嘩になったんですけど、今思うと良いなぁと思って(笑)
(871) いや、めちゃくちゃ良いですね。
そこの設定って、"面白かったら押す"っていうのと"面白くなかったら押す"っていうのでは全然変わってくると思うんですよ。ムネトさんの代でやろうとしてたことは実験芸術みたいなことだと思うんですけど。
(芦沢) 今で言ったら、SNSで文句言った人の顔がバレるみたいなもんじゃないですか(笑)だから押す側にも責任がある。そういう意味では、なるほど、と思いますね。
(871) YouTubeってGOODとBADがあるけど、Twitterはいいねボタンしかないじゃないですか。そこで2択なのか、3択なのかっていう面白さもあるし、卒業制作の"面白くないボタン"的に、TwitterにBADボタンしかなかったらどうなってんだっていうのは凄い興味ありますね。
(芦沢) そうそう。凄い喧嘩になったけど、責任が生まれるから皆が真剣に考えるし、あの時じゃないと出来ないなと思いました。
(871) 良い大学生経験してて羨ましい。僕も悪くは無かったんですけど、どっちかというと学校に籍を置いて社会的立場を最低限キープしつつ、学校や街で出会った友達と過ごすっていう、課外活動に没頭する為の期間としては有益だった、っていう感じなので。
(芦沢) 大学生っていう身分を利用して外に遊びに行くっていうね。でもそれで言うと大学行かなくてもできるしな、っていう。だから就活も、面接でどうだっていう話じゃないし。
(871) 採用活動で分かる範囲って本当に限られてますよね。例えば面接で話せる時間って15分くらいが限界ですけど、変な話、ライブハウスで声をかけてもらって凄い面白い話を展開してもらったら1時間話せる可能性だってあるじゃないですか。裏口入学する手段だってあるにはあるし。
(芦沢) それが違法みたいな感じになりがちですけど、全然違くて、信頼を得てるっていうことだから。皆やり方だけ知りたがるけど、多分やり方じゃなくてちゃんと行って話して自分がアピールできるかどうかですよね。
(871) サービス精神を持ち合わせられてるか、相手のプラスにどうすればなるのか?っていう発想を持つことが重要ですよね。
(芦沢) 本当そうですね。
(871) ムネトさん、1時間過ぎちゃった。
今日凄い面白かった!『フテネコ』の可能性を2021年にもう1回探るのと、そこに僕が関与出来る可能性を探るのと、いくらでも喋れるのでオフラインもやりたいんですよ。
(芦沢) やりましょう!誰かゲスト呼んでもいいし(笑)
(871) 是非!
(芦沢) ありがとうございました!
楽しかったです。
(871) 先々色々やりましょう!
一先ず今日は、おやすみなさい!
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