871ンスタライブ #008(w/松本大くん)
#871ンスタライブ #008
2020年12月7日(月)
テキスト:宙組( https://note.com/soragumi_com )
主催:柳井貢(以下:871)
ゲスト:LAMP IN TERREN 松本大(以下:松本)
(871) こんばんは!
ゆっくり喋るの久しぶりだね。
(松本) 誰ともゆっくり喋ってない気がします(笑)
柳井さんは、配信の感触どうですか?
(871) 面白いよ。誰とやるか、1人で喋るか、とかで見てくれてる人もコメントのリアクションも変わったりするんだよね。
今日の目的の一つは、12月13日にある恵比寿LIQUIDROOMの配信について。会場は売り切れちゃってるから配信のチケットを伸ばすべくね。何でもかんでも売れれば良いとも思ってないけど、ちょっと悩んでる人が違う切り口の話を聞いて"観てみようかな"って思ってくれたら嬉しいし。あとは最近、あんまり大と話せてないからね。それは良い意味で、必要以上に大とか『LAMP IN TERREN』(以下:テレン)にちょっかい出さないようにしてるのもあるから。昔に定期公演の話と野音の話をして、それから1~2年経った後はもう逞しくずっと見てるって感じだけどね。
(松本) 元はと言えば、野音も定期公演も柳井さんの発案ですよね。
定期公演『SEARCH』がバンドにもたらした影響
(871) 年に1回のアルバムリリースと1、2回のツアーってちょっとピッチ長いなぁと思ってて。バンドって何たるか?っていうフォーマットって、あるようでなかったりするじゃん。活動ペースやフォーマットを自分達で決めることで、加速したりしっくりくることもあると思うから。そこで定期公演の提案をして、月1でやってるしね。
(松本) 今考えると、大きなチャレンジを自分達で決めることと、ライブ力が自分達に欠けてる部分だったと思うんですよね。毎月絶対ワンマンライブをやる定期公演だからこそ見えてきた部分が沢山あったし。周りのバンドは事務所に入る前から色んなライブをしてたと思うんですけど、僕らずっと閉鎖的だったので、足りなかった経験値や体力をつけてくれたと思います。提案してくれて良かったです。
(871) 定期的にやることでストックされる経験値って多いから、定期公演はもっと皆やったらいいのにって気持ちもある。
(松本) “継続は力なり“ですよね。定期公演の企画を考えるのも凄くトレーニングになりましたけど、ライブを数こなすことが凄く重要だったなって思います。あとチャレンジ精神旺盛になれたのも定期公演を始めてからです。続けていると余裕が出てくるので、新しく浮かぶアイディアもあったりしますね。
(871) あとは毎月同じ場所で一定のペースでやってると、お客さんが自分のタイミングで来れるからいいよね。自由に使える時間とかお金ができた時に楽しめるコンテンツというか。自分が住んでる町にバンドが来てくれる喜びも勿論あるけど、東京で定期公演やってることの一個の意味としては、幅広い年齢層のお客さんがいてくれること。例えばディズニーランドとかコアなエンターテインメントのコンテンツって、人口の要因も含めて東京にあるし。
(松本) 定期公演の1つのテーマに、同じところで同じ日にやり続けることで来れるタイミングで来てもらうっていうことがあったので。毎月26日に絶対やってるので、チャンスは何回でもあるって思ってもらいたいし、劇団四季とかもそういう感じなんでね。だからやっぱり良い企画だなって思います。
(871) 日付を26日に固定してるのも曜日が変わるからいいよね。
ここまで定期公演の話をしたけど、コロナ禍で制限のあるツアーはどう?
ツアー『Progress Report』について
(松本) 最初はショーみたいな感じのツアーにしようと思って、割と落ち着いたセットリストでやってたんですけど、始まってみたら割と皆がライブを望んでくれてましたね。ショーを作りたかった気持ちと、"ライブやってるぜ!"っていう気持ちの融合でツアー回ってます。でも、そういう落ち着いたツアーだからこそ自分の本質的なところに気づいたというか、改めて感じさせられた部分が凄いありますね。
答えを先に言うと、自分は音楽を選んだだけのただの1人の人間で。でもそれを持って誰かと生きていきたいんだな、1人で生きていたくないなっていうことを強く思いました。でもこれは"盛り上げてなんぼだぜ!歌うぜ!叫ぶぜ!"みたいな気持ちの時には気付けない、自分の本質的な部分だったと思うので。そこに触れることが出来ただけで凄い価値があると思います。制限されているからこそ見えた大事な部分だなと思いますね。
(871) ライブのMCでも言ってたもんね。いつかの恵比寿LIQUIDROOMのライブで、それまではめっちゃ武装して鎧着てステージ上がってた大が、等身大でステージに登ってくれてるなって思う時があったんだよね。今言ってた「自分は音楽を選んだだけで、他の誰とも変わらないひとりの人間」みたいな表現も含めて、そこで育まれてるものは不安なく見てられるっていうか、そんな感じでライブを見てる。良くも悪くも大人になったよね(笑)
(松本) そうですね(笑)でも尖り方で言えば今が1番尖ってる気がします。
(871) 最近はどうなの?自分のことはわかってるの?
“怒り”を原動力に
(松本) わかんないすけど…なるべく正直でいようって思ってます。昔は、考え事がバーって浮かんだ時に、本当にそれか?っていう疑念が出てきて悩んで言えない事があったので、ふわっとですけどなるべく、考えすぎる前に喋るようにしてます。割と自分でセーブかける前に"あ!言っちゃった!"みたいなことを果敢にやっていこう、っていう精神状態ではありますね(笑)
(871) それ面白いね(笑)ある程度準備されてて分かりやすいMCと、整理されていないけど思うままに喋ったMCと皆はどっちがいいんだろうね(笑)
(松本) ちょっとやっちまったなって思う日もあります(笑)この前のライブも最後のMCで怒ってるってことを喋ってましたからね。
(871) 怒ってるというか、憤りというか。
(松本)ここ1年くらい、気に食わないこととか怒りとかを原動力にしてみたい気持ちがあって。分かりやすく説明すると、最近出した「EYE」っていう曲を作った背景にまつわるんですけど。緊急事態宣言で「家の中にいてください。家にいる間はすごい時間があると思うので、自分を見つめ直す期間にしましょう!」みたいなことがテレビから聞こえてきて。それまで僕はものすごい自分を見つめ直しながら生きてきた人間だったから、"いやいやそれは、ものすごい辛いし、自分のこと嫌いになるぜ?"って思って。人間が変わる瞬間、改善できる瞬間って他人と関わってこそだと思う。誰かと話して共感したり感動したり、外からの刺激によってようやく変わることができると思うんです。
いくら自分を見つめ直しても、鏡の前で自分の顔を見ても、自分のちょっと嫌な部分とか直したいこと、隠したいなって思ってることばっかりに目が行くはずなんですよね。だからそういう事を簡単に軽々しく言うメディアの連中が気に食わなくて、その原動力で「EYE」を作ったみたいなところがありました。僕の中で、怒りっていうのはそういうことです。
(871) 自分のことを考える時は他人がいてこそ、って凄い共感する。何か考え事をしてる時って、あの人に迷惑かけてないかな?とか、悲しい思いさせてないかな?とか、基本他人のことでしか悩まないっていうね。
コロナ禍で家族といる時間が増えたんだけど、それで全然違う発見もあったし、メンバーとかスタッフとかお客さんに会う時間がなくなっていく不安もすごくあるし、結局他人がいてこそだなと思う。
(松本) 長い時間を一緒にするのはよほど波長があってない限り、多少なりとも歪みが生じるかなとも思うので難しいと思います。
(871) ずっと一緒にいると、わかってほしい気持ちが強くなるし、わかってもらえないことの歯がゆさも出てくる。でも、わかってもらえない歯がゆさって何周かすると、自分が理解できてないっていうことにも辿り着く。そういう点でコロナ期間は凄い勉強になったね。家族のこともバンドのことも。なんだかんだ良かったなって思うのは塞ぎ込まずにチャレンジを継続出来たこと。テレンも他のバンドも僕のこのインスタライブも含めて、へこたれずにチャレンジ出来て良かったと思う。
(松本) チャレンジしなきゃ病むと思うんすよね。やっぱり今、動けてないバンドの話を聞いたりすると、凄いストレス溜めてる感じはするので。チャレンジするとか動いてみるのはすごい大事だと思います。
(871) ツアーはあと何公演やったっけ。(ツアーの残り本数を把握できていない柳井、、、)慢性的に柳井のキャパシティがオーバーしてるっていうね。(笑)
(松本) 岡山と名古屋と東京です。柳井さんは担当バンドが多すぎます(笑)
でも実際、柳井さんの担当のバンド達って割と要所要所で良くなってきてるし強くなってきてるじゃないですか。統括する立場の人ってそういう感じでいいんじゃないかなと思いますけどね。
(871) 気づいたら皆逞しいし、結果的にそうなっていったよね。いつか、「いつの間にそんな会場押さええてたの?!」みたいに発表されてから知るのもいいと思う(笑)俺ってあんまり、これを報告してくださいみたいなことは決めないのね。初めての経験上これちょっと悩むなぁ、みたいなことがあったら全然報告相談してほしいけど、この判断だったら柳井も良いねって言うでしょっていう自信があったら全然相談しなくていい。
今、HIP LAND MUSICの社長をやっている野村達矢さんが直の上司なんですけど、俺も野村さんに相談することって年々減っていってるというか、大きなお金を動かす時はさすがに1回耳に入れとこうかなみたいな感覚なので、後輩もドキドキしながらチャレンジしててほしい。自分が何でもかんでも野村さんに"これやってもいいですか?"みたいな後輩だったら、いつまでも預けれないと思うから。大も「他の人やってないけど、これ絶対やった方がいいに決まってんじゃん」みたいなことはやるだろうしね。俺は全然それで良いと思う。
(松本) 信頼関係をちゃんと築けた上での役割分担だと思ってます。これに関しては、曲のアレンジとか情報発信の仕方とかも含めてバンドの中でも言える話ですね。
(871) そうだね。てかほぼ音楽の話してないっていう(笑)
(松本) ははは(笑)確かに。
最新アルバム『FRAGILE』について
(871) 帰りの車の中でもう一回アルバムを全部通して聴き直して、「隠れ名曲あるじゃん!」って思ったりするんだけど、メンバーからしたら「別に隠してねえし」って話なわけじゃん?(笑)それは申し訳ないなって気持ちもあるけど、もう俺はそんなに干渉しないように、というか信じて託そうと思ってる。それはテレンに限らず、どのバンドも。
(松本) 「どれが好きですか」ってコメントきてますよ(笑)
(871) 「ホワイトライクミー」とか「いつものこと」とかはずっと前から結構好きだったけど、思ってたより好き!は、「ベランダ」かな。全部好きだけど。
(松本) 俺も「ベランダ」めっちゃ気に入ってるんすよね!
あれは隠れ名曲感あります(笑)
*「ベランダ」は『FRAGILE』M7に収録されています。
(871) ちょっと俺の視界にも隠れてた(笑)聴いてなくはないんだけど、そもそも楽曲のアレンジとか、歌詞に口出ししようとして聴いてるわけじゃないし、何か言うとするならタイトルについてとか、MVの予算のこととかだから、改めて「ベランダ」を発見しましたっていう。知ってたんだけど(笑)
(松本) いや、良いと思いますけどね。ふらっと聴いてみた時に「これめっちゃいい曲じゃん」ってなる感じとか。アルバムを一枚作る時に、全部立たせたい気持ちはあるけど、アルバム全体として見た時の流れや緩急はすごい意識してるところでもあるので、「ベランダ」はわりかし派手には作らないようにしました。自分が表現したいことも含めて質素にしていったのはあったんで。でも入口とか糸口さえ掴めば、そこから引き出せる情報はすごく多いなと思ってます。自分達の曲はカップリングとかもそうですけど、そういう風に引き出せるように、質素に特化したり、色んな考えやアレンジを考えた上で答えを出していっててるんで。アルバムを何周かした時にようやく気づけるものっていうのは沢山あると思っていますね。「FRAGILE」に関して言えば、自分の中では「ベランダ」が一番そういう作業に徹した曲だったので、「ベランダ良いですね!」っていうの聞いたりすると、狙い通り!みたいな気持ちになります(笑)
(871) 僕以外の人も「ベランダ」聴き直そ!
1時間経っちゃった。ファンクラブの話もしたかったんだけどな。
新設されたファンクラブ『燈會街』
(松本) 掻い摘んで話すと、僕はもともとアンチファンクラブ派だったんですけど、ようやく面白い企画が自分の中でできたから始めたんです。実際始めて見て思うのは、すごい充実してますね。自分1人が充実してるだけだったら納得いってなかったと思うんですけど、俺よりもメンバーの方が生き生きしてる感じがよかったなと思います。
ぶっちゃけた話をすると、ラジオとか弾き語りとか今まで僕一人の稼働が多くて。THE・フロントマン!みたいな感じがあったから、メンバーそれぞれにフォーカスが当たる場所が欲しいと思ってて。『燈會街』でメンバーが凄い楽しそうに充実してる感じがあるので、いい企画を提案できて良かったと思いました。
(871) ファンクラブがものすごいメインとかじゃないけど、バンドがバンドたる所以の一個の要素になるといいなと思うね。
(松本) それがちゃんと出来てますね。月々家賃を払ってもらう分、面白いことをしなきゃいけないなっていうギブアンドテイクがしっかりできてる感じ、凄いやりがいがあります。
(871) それは良かった。自分達が楽しいことの先でお客さんが楽しんでくれる関係性が続いていくといいよね。
じゃあ最後に!ツアーの岡山・名古屋・東京の意気込みをお願いします!
(松本) まず第一に絶対にやりきるっていうことですね。それはお客さんもお互いに。
あとは、ツアーって大体テーマを決めて回るんですけど、答えは後半にしか出ないんすよ。その答えを今、「自分はこれをするために、これを知るためにツアーを回ってきたんだ」って掴んできたので、これからの3公演は特に次に繋げられるように、見逃さないようにしたいと思います。個人的な話をすれば。
(871) それで言うと、最後宣伝で締めますが各地見に来てくれた人も来れなかった人も含めて、配信で観れるし、コロナ禍で定期公演をオンラインでやってきたからこその強みもあるしね。楽しみにしてます!
(松本) 頑張ります!
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