性自認と性同一性の違いについて
これらはどちらもGender Identityの訳であり、同じだものという人がいますが、私達はニュアンスが違う言葉だと考えます。
Gender Identityは主に脱病理化を主張する人達によって「性自認」の訳が当てられ、今は一般に、もっぱら「性自認」という訳が使われています。
ただし「心の性」とするのは完全に間違った訳であり、誤解を生じるので、全ての場において使用するのをやめていただきたいです。
かたや「性同一性」ですが、これは医学用語であり、医学的な定義のある概念です。
両者の見解の説明に移ります。
・性自認
これは、究極「社会生活でどのような扱われ方を望むか」ということだと思っています。
「性自認なんかない!」と主張してる人達がいますが、
女性なのに「じゃあ明日から男性ね。」と言われて男性として生きることを強制されたら、またその逆の場合、おそらく数日もしたら気が狂うのではないかと思います。
なので、性自認は全ての人にあると考えられます。
ないと思うのは、あることが証明できてしまうような事態が起こっていないだけの話です。
・性同一性
これは医学用語であり、辞書的な説明だと
自分自身の性別を自ら認識する個人の人格的な感覚
と出てきます。
少しわかりにくいですが、身体感覚と一体の概念だと考えればわかりやすいでしょう。
つまり自分の身体に対する認知のことです。
多数の人は「自分の身体は男だから男だ」「身体が女だから女だ」と感じると思いますが、
性同一性障害の人は「自分の身体は男/女だけど、私は男/女とは思えない。この身体はおかしい」と考え、身体違和を生じます。
これが、性同一性であり、これも、全ての人が有しているものだと考えられます。
前述の通り「自分の身体は男だから男だ」「身体が女だから女だ」と感じることそのものが、まさに性同一性と身体が一致していることの証左だと言えます。
性同一性や性自認という概念を頑なに否定する人がいますが、厳然と存在する概念であることを繰り返し強調しなければなりません。
性自認や性同一性は、間違いなく万人が有するものです。自分に理解のできないからといって、他人を差別することは許されないことです。