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文字と踊り:五浜先生のジャーナル【創作】
こんにちは。古文書文献学を専攻しております、令和国際教養文化学術大学院大学、助教の五浜逸二です。
このジャーナルでは、先日発掘された、丸石石碑の丸石文字B(仮称)の解読仮説を発表致します。紀元前9世紀頃の文化の一端を垣間見ることができますでしょうか。
以下、丸石石碑の一部を引用致します。拙訳です。多くの批判を頂きたく存じます。
腕を削がれたのなら喜びなさい
脚があるのだから
脚を削がれたのなら喜びなさい
首があるのだから
首を削がれたのなら喜びなさい
あなたの存在した事実は決して消えることはないのだから
人類の歴史は戦争の歴史だ。よく言われるフレーズです。私はこの皮肉のような、それゆえに正論めいたフレーズを好みません(すみません、これは学術ジャーナルでしたね。好悪で物事を発するのはここまでにします)。
さて、文字はどのように発生したのか、この問いには諸説あります。サピアの説には賛同するところが多いのですが、私が付加できるとするならば、以下の通りです。それはやはり前言語層の存在が不可欠なのではないか、という点です。
前言語層とは何か。それは、ある話者の発語以前の思念です。語られる前のその語られる何かの存在です。言語は舌(tongue)と大いに結びついていますが、舌に達する前の言語、いわば舌の下にも言語ではない言語、言語とは違う言語が存在していると言わざるを得ないと私は仮説します。
私は時折踊ることがあるのですが、それは前言語層の営為だろうと予見しています。
今後の研究がそれらの覆いを取り外すと信じ、私は踊りつつ自らの仮説を検証し続けていきます。
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