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小説:剣・弓・本008「セドのルーティン」
【セド】
……
9996……
9997……
9998……
9999……
10000!!
寝る前には剣を振る。
雨が降ろうが槍が降ろうが毎晩欠かさない。戦いの中で生きる俺にとっては、これが不可欠なんだ。まあ、呪われた日課だよな。
宿に戻る。ライとナスノは書き物に集中している。話しかけないでおこう。ったく二人とも俺とは完全に真逆だな。前に筆に触れたのはいつだ? 思い出せねえな。
明日はライが言っていた『静かの森』に行く。ベッドに横たわり目を閉じて眠ろうする。が、二つばかり思うことがある。
今日、あのモンスターをなぎ倒した後、ナスノがライに耳打ちしていたな。
さっき、俺の剣をずっと見ていた奴がいる!
1.について。二人は悪い人間じゃねえ、と思っている。いや思いたいだけかもしれないが。だからってことはないが、悪い話ではない、と見ている。予感みたいなものだ。
おそらくだが、俺が知ること自体がいいことじゃない話。俺が知ると都合が悪くなる。そういう類の話ってところだろう。
2.について。分かりやすい気配だ。確実に見られていた。俺がそいつに気付いていることは隠したつもりだ。“隠していることを隠している”ところまで見抜かれたらお手上げだがな。この稼業も長くなってきた。敵討ちや復讐者がいてもおかしくはない。
だが、さっきのは敵意や殺意とは違う何かだ。温かさ? いや若さ?
それにしても帝国はこの俺に何をさせようってんだ! このダンジョンのミッションをクリアできたら、もう少し上の位に着けるだろうか? 隊長職とは言え第13部隊とはな。まあ、このことは自業自得。自分の蒔いた種なんだが……
(つづく)
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