小説:狐014「レンさん」(983文字)
「だから25時間なんですよ」
その日の『狐』は、レンさんが話題の中心だった。身なりは凄く綺麗なのだが、言動とそこから滲み出る思考様式がいつもエキセントリックなのである。
「実は1日は25時間なんですよ。騙されてるんですって」とレンさんは大きめのろくろを回すようなジェスチャーでみんなに語りかける。190センチを超える長身でその長い腕の動きがダイナミックだ。
「いや〜、流石にそれはないですよ。時計のほうが狂ってるってことになりますよね。もう少し説明してもらえませんか?」とタロ