小説:狐018「怪談とマニさん」(545文字)
「フン! くだらないですよ」
シンジさんが帰ったのをいいことに、マニさんが顔をしかめて語る。
「陀田トンネルに限らず、だいたいの心霊スポットなら、“いないはずの女性の叫び声が聞こえる”なんて、よくある話じゃないですか。これは知っているとか知らないとかそういうレベルの案件じゃありませんよ!」
マニさんが感情を露わにする。“陀田トンネルでは、いないはずの女性の叫び声が聞こえるという噂がある”というところまで押さえていなかった自分に腹を立てているのだろうか? 彼は知性、いや知識