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辛い事

先日Netflixで恋愛リアリティーショーを見ていた。
男女が一つ屋根の下、共同生活を通して恋愛をしていくアレだ。

今回見ていたのは30歳以上60歳未満の大人達なので、単純にスペックが高いとか、顔がいいとかでは始まらない。
みんなそれぞれのバックグラウンドがあり、傷や栄光を抱えてきている。
そんな中、ある一人の男性がみんなに自分の過去を話す。

「息子が子供の頃に、椅子から落ちてしまい障害が残ってしまった。
自分がもっと早く帰宅していればなんとかなったのでは…
皆さんの人生で辛かった事は何ですか?」

涙ながらにそう参加者に問う。

私にとって辛かった事はなんだろうなぁ。
参加者じゃないけど、考えてみた。

辛いってなんだろう?
私がその男性だったとしたら、早く帰宅していれば…とは思わない。
早く帰宅したところで、きっと防げやしないだろう。

じゃぁ辛くないか?
と聞かれれば辛い。

何が辛いかもっと解像度を上げていくと、大事な人の大変な状況に何もしてやれない自分が辛いのだと思った。

何かの困難はその人に与えられた課題やテーマで、その困難と対峙して学んで自身の幅を少しづつ拡げる。その積み重ねが長い長い道のりの1パートなのではと思う。
私自身は、自分に起こる困難に対してはそう感じるので、辛いと思った事はたぶんほぼない。

30年ぶりに再会した叔母の身辺整理、終の棲家探し、借金や財産整理などの終活と、母の入院、父の入院が重なっていた時期の1〜2年は、やるべき事が多すぎて、記憶が曖昧で時間軸もおかしくはなっていたけど、辛いと思う事はなかった。必死すぎて、気がつくと終わってた。
振り返れば「大変だったんだなぁ、私」と思う(笑)
「おれ、良くやったな」とも思う。

困難の渦中にいる時の私は、どうやって前にすすむか、何をするのが最善かという事を考える事にアドレナリンみたいのがドバドバ出ている。

数年前、甲状腺癌を患い医師に末期と言われた事がある。
末期と言うのは後々に誤診であるとわかったのだが、言い渡された時に考えたのが

大体あと3ヶ月だとして、断捨離して家を解約して、実家に帰らせて貰って、なるべくやれるまで普通に仕事をしよう。
だった。
もう既にドバドバ(笑)
丁度その日はクリスマス・イブ。
メリクリメリクリと華やいでいる街を、アドレナリン全開で帰宅する私(笑)
辛い とは遠いんですよね。


自分が誰かにしてあげたい事があるのに、出来ないのが、私には「辛い事」だった。

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