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NBAファイナルBOSvsDAL第1戦

 いよいよ始まったNBAファイナル。
 東から勝ち上がってきたのは、万能戦士が揃い、どこからでも得点でき、穴のない守備で相手を押さえ込むボストン・セルティックス。西から勝ち上がってきたのは、圧倒的なハンドラーに最強の相棒が加わり、優れたウィング、ビックマンと武器が揃っているダラス・マーベリックス。

 正直、レギュラーシーズンの内容からもセルティックスの方が圧倒的に強いと感じる。しかし、レギュラーシーズンで大接戦だった西カンファレンスの1位、3位、4位を倒したマーベリックスを甘く見てはいけない。
 なにより、プレイオフに入ってからのマーベリックスは、素晴らしい完成度である。それぞれの選手が、任された役割を高いレベルで遂行し、チームとして勢いがある。逆に、セルティックスはプレイオフに入って3P%が下がっていたり、DEFRTGが下がっていたりと気になる数字もある。ただ、レギュラーシーズン64勝18敗と圧倒的な強さを誇っていたのは事実で、簡単に4敗するようなチームではない。

 そんな、2チームの熱い戦いが幕を開けた。じっくりと振り返って行きます。



試合展開

1Q

 「起承転結」の「起」にあたる1Qを振り返ります。
 まず、マッチアップで気になったのが、ギャホードにテイタムをつけて、DJJにホーフォードをつけたDFです。これは、ルカのP&Rに対する対策で、ルカにホーフォードがつかなくてはいけない状態を避けるためでしょう。

 このシーンでも、ホーフォードがテイタムとスイッチしようとしているのがわかる。そして、もう一つの狙いは、ホーフォードをリムプロテクターとして使う目的もあるでしょう。というよりは、ホーフォードと交代でこの後出てくる選手のリムプロを活かすためでしょう。

 対するマーベリックスは、やはりハンドラーのルカとカイリーで得点を重ねます。P&Rでロールマンを使えていないが、真っ向から仕掛けてくるのがルカとカイリーです。
 一方、セルティックスの攻撃は、トランジションからクロスマッチアップでできたミスマッチを活かし、ワイドオープンなシュートに繋げています。

 完全なワイドオープンを作っていて、マーベリックスは対応できていない。(ウォリアーズファンの私としては、2シーズン前のファイナル第1戦で、テイタムのパス能力の高さに恐怖したのを思い出しました)

 そして、7:17にポルジンギスが投入されます。
 それ以降は、完全にセルティックスペースで、攻守で圧倒し始めます。

 KPが入ってから、ペイントエリア内でのマーベリックスのFGが2/8まで下がり、KPは1Qで+16の働きをしました。

 クオーターの最後は、KPのリムプロと3ポイントの雨でセルティックスが17点リードで1Qが終わりました。セルティックスが攻守で先手をとった事により、マーベリックスはたくさんの問題を抱えたまま2Qへと向かいます。

2Q

まず、セルティックスはルカを狙い攻撃を仕掛けます。

 ギャホードにリムプロを任せますが、それを上回る勢いでJBがドライブからリムに襲いかかっていて、DFで止めるのが難しくなっている。
 逆に、セルティックスはルカのドライブに対して、ペイントエリアでしっかりと抑えて、他の選手のシュートに仕向けている。

 2つ目のシーンのテイタムを観ると、PJワシントンがフリーのことを確認してもなお、ペイントし残っていることから、PJワシントンの3Pに関しては、許容しているように思える。クローズアウトも、スリーを打つ選択になるようなスピードに感じる。
 あまりに、流れが悪いのでマーベリックスはゾーンDFで打開策を見つけようとしたが、テイタムがあっさりとアンサー。

 攻守で打開策が見つからないまま、21点リードされ前半を終えてしまったマーベリックス。「起」で先手を取られたので、やり返して「承」で試合を展開させたかったマーベリックスだが、さらに攻め込まれセルティックスに「起承」をやられてしまった。
 となれば、3Qで大きな「転」を観せるしかなくなった。

3Q

 やはり、その大きな「転」を観せてくれたのはこの男だった。

 3Qだけでルカは10得点し、4:28には8点差にまで迫った。前半でルカは、ドライブでペイントに侵入したら、ポンプフェイクから得点やパスを狙っていたが、3Qからは、ドライブからレイアップで得点を狙いに行っているように観えた。この追い上げには、PJワシントンやギャホードのOFリバウンドも大きく影響していた。

 しかし、「転」を受けても「転」で返してしまうのがセルティックス。
 ルカからボールを放させ、ペイントのDFを固くし直して、またも点差を広げる。

 4:28に8点差に迫られて、TOを取った後、セルティックスはマーベリックスのFGを0/8に抑えた。そして、その流れをOFにも活かしスリーポイントを決め、20点リードで3Qを終えた。

4Q

 4Qはお互いシュートがなかなか入らない中、5:17にマーベリックスが主力を下げて、試合は決した。
 「結」としては、「起承転」まで観せていたセルティックスがそのまま、まとめ上げた。攻守で先手を取り、後半開始時に、先手を取られても取り返し、強さがよくわかる試合となった。

スタッツ

 数字ではどうなっていたのか振り返りましょう。

主要スタッツ

 3Pの確率にかなり差があるのがわかる。DJJやPJワシントンがセルティックスに許容されていた3Pをしっかり決め切れるかで、大きく結果が変わる。
 TOVに関しては、もともと両チームとも少ないチームなので、相手にTOVを誘発させられれば、勝利への鍵になるかもしれない。

ショットエリア

RA(制限区域)、PAINT(制限区域以外のペイント)、MID(ミッドレンジ)

 エリアごとにみると、どこで差がついたのか一目瞭然である。3Pラインの内側では、マーベリックスが上回っているが3Pで大きく差がついている。なので、単純に考えると、マーベリックスとしては、3Pラインの内側の失点を減らしてリードするか、3Pを同じぐらい決めてリードするかが考えられる。

注目スタッツ

ドライブに関するデータ

 今回は、ドライブに注目してみる。
 両チームとも、プレイオフになってドライブの回数が3~4回増えている。しかし、ドライブの目的はかなり違っているようだ。
 マーベリックスは、ドライブから得点することを目的としているが、セルティックスはドライブから得点するのと同じぐらい、パスから展開することを目的としている。
 この違いは、それぞれのチームの2エースを観てみるとはっきりする。

セルティックスデュオ
マーベリックスデュオ

 セルティックスの場合、テイタムはドライブからのパス思考が強いのに対して、ブラウンはドライブから得点思考が強い。よって、チームとしては両方がバランス良くなっている。
 マーベリックスの場合、ルカとカイリー共にドライブからの得点思考が強いので、チームとしてもドライブからは得点思考が強くなっている。

 こう比べてみると、セルティックスはルカにしろ、カイリーにしろドライブからの得点を気をつければいいが、マーベリックスはそうはいかない。テイタムの場合は次の展開を気をつけ、ブラウンの場合は得点を気をつけなくてはいけない。
 これは、マーベリックスにとって死活問題である。

第2戦に向けて

 最後に、第1戦を振り返ってみて、第2戦ではそれぞれのチームのどこが注目ポイントになるか考える。

セルティックス

 3Pの確率を保てるかが重要になる。
 第1戦はC&Sもプルアップもよく決まったが、テイタムのプルアップ3のショットセレクションがあまり良くない場面もあり、そういったシュートが外れ続けると3Pで大きな差を作ることができなくなり、マーベリックスに勝機が生まれる。
 とはいえ、テイタムのドライブからワイドオープンの3Pをしっかりと打てているうちは大丈夫だろう。

マーベリックス

 ワイドオープン3は決めよう。
 ワイドオープンの3Pが30.8%だと、流石に点差が縮まらないし、DFでこの差を縮めるのも難しい状態にある。なので、打つことができているワイドオープン3をしっかりと決め切ることで、セルティックスのトランジション3も阻止できて、点差は縮み、勝利への道が開ける。

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