見出し画像

【BAL】TDL-Missions Accomplished??

※ヘッダー画像は https://www.masnsports.com/blog/elias-tackles-variety-of-topics-after-trade-deadlineより。
※全ての商用的あるいは著作権侵害の意図を放棄して投稿します。


深謀遠慮、行軍用兵の道は、曩時の士に及ぶに非ざるなり。然れども成敗は変を異にし、功業は相反せり。
(賈誼『過秦論』より引用)

こんにちは。ジャンさんです。
現地時間7/30午後6:00にトレードデッドライン(以下TDL)が締め切られました。各球団思惑通りのTDLとなったでしょうか?
本noteではBALのTDLを振り返ります。
TDL予想&願望noteを参考にしている部分もあるので合わせてご覧ください。


◾️トレード内容

手短に紹介します。

MLB公式BAL担当Jake Hill記者のポストを参考に筆者作成
トレード後最初の所属、*:ロスター内

① ヘイズ⇆ドミンゲス(+パチェ)

ペンさんのnoteで成績等も詳しく述べられていますので、そちらも併せてご覧ください。

ヘイズは今季対左での打撃はwRC+150↑と好調でしたが、Topプロスペクトであるカウザーやカースタッドの台頭で出場機会が減り、また足の怪我での離脱もあって、COF守備もOAA-1となっていました。来季についてもBALでは出場機会は限定的になることが見えており、年俸も鑑みるとノンテンダー不可避な状態でした。

対してPHIはマーシュ(対左wRC+7)のプラトーン相手を探していて、加えてカステヤノス(24年: OAA-6)のコーナー守備も少しはカバーできるので、BALではほぼ放出間近となっていたヘイズはまさに誂え向きといったところでしょう。
(CF守らせるのはやめておいた方がいいです。レンジ狭いので。)

対価の一人であるドミンゲスはxFV=97.6と、BALのブルペンにはいないタイプのRPなので、すぐにでも活躍ができるのではないでしょうか。25年CO行使なら来年も保有できるのもいいですね。
またパチェについてはおそらく第4OF&守備走塁に特化した起用になると思われます。(オプションもないので、ロスターの状況においては枠空けDFAされるかもしれません)
現地時間8/1にDFAされました

スポットを埋め合う、NPBでよく行われているようなトレードだと最初は感じました。
BAL側としては守備も走塁もほぼ下がり切った中堅COFで、ブルペン補強が成ったという結果でしょう。

ヘイズさんへ
あなたがいなければBALはあの再建の底を脱することはできなかったでしょう。

NL勝率トップのPHIに求められたという名誉を今は噛み締めてください。あなたの新天地での活躍を祈ります。
※noteを書いている途中、NYY相手に3ランを放ちました。あんたすげえよ。


② ザック•エフリン, トレバー•ロジャース獲得

これからは同地区相手でもトレード相手として予想に組み込みます(教訓)。

バーンズ、ロドリゲスに次ぐようなSP補強。実績的にはロドリゲスを抜いて二番手とも言えるザック•エフリンの加入によってBALにもたらされるものは大きいでしょう。対価となったプロスペクト三人も妥当性があります(Baumeisterは少し痛いかもしれない)。
また25年シーズンも保有できるとのことなので、ブラディッシュらの復帰状況やチーム状況に応じて来TDLで再転売することも可能。そしてQOも出すことも可能という、BALの今の状況にドンピシャな選手だと思います。

一見売り手有利市場に呑まれた印象はありますが、対価のノービィ/ストワーズは現在、そして将来的にポジションがほぼ存在しなかった二人です。
両者ともポテンシャルはあり、保有権はほぼ6シーズン分ありますが年齢も25/26歳と高めなので、BAL側としては利確のような意味合いもあるのではないかと思いました。(これが適切な表現かはわからない)
両者とも傘下Top10にランクインしたことがある選手なので惜しい気持ちもありますが、内部で腐らせるよりはね…

ロジャースについてはわからない部分も多いので、カムデンヤーズという右打者不利な球場で、元ROY2位でもあるロジャースがどのように活躍するかを見守りたいですね。保有年数も長いので。

ノービィ、ストワーズへ。
短い間だったけどありがとう。マイアミでの活躍を祈ってます。


③ グレゴリー・ソト獲得

終了間際のトレード。
現CLのキンブレルの状態があまり良くないため、DET時代にCL経験があるソトの獲得は良い獲得だと思います。xFV=98.4、ヨシッ!
対価はまあ、こんなものでしょうという感じ。セス•ジョンソンはTJ明けのリハビリシーズンでしたが、R5流出回避のため40人枠に入っているだけの状態だったため、モーゼス•チェイスにくっ付いての移籍という形だと思います。


④ デプス確保など

・DH Eloy JIménez* + 金銭 ⇆ RHP Trey McGough ​
・INF/OF Billy Cook ⇆RHP  Patrick Reilly
・OF Austin Slater +INF  Livam Soto  ⇆ 金銭​ + PTBNL

▼ヒメネスの獲得
右打ちかつレンタルの選手(COは99.9%破棄)が欲しかった以外はわからん。ヘイズがドミンゲス引き換え券となっていなかったら多分獲得してないレベル。
まあ対価のマクガフもすでにR5対象だし、CWSの枠空けに付き合いつつ(必要ある?)、去年のA.ヒックスのような感じになれば御の字なんじゃないですかね。
もしかしたら右手骨折のWestburg復帰 or Kjerstadのrecallと入れ替わりで放出かもしれませんが。

▼PITとのプロスペクトオンリートレード
更新前のMLB公式プロスペクトランキングで共に球団別Top30に入っている選手同士のトレード。
クックは24年オフにR5対象、レイリーは23年ドラフト組。両流団の選手層を鑑みると、将来的にMLBのポジションがないプロスペクト同士のトレードだと認識しました。
個人的にクックは今後伸びてくる選手だと思っていたのですが、レイリーのような投手とトレードできるならOK!って感じです。

Jared JonesとJackson Hollidayのプレシーズントレード?
九分九厘与太話でしょう。白昼夢でも見てたんじゃないですかね?
そんなトレード提案が本当にあったのなら、BALはJoey OrtizをMILに送っている場合ではないし、PITは断っている場合ではない。

▼CINとのデプス確保トレード
読んで字の如くデプス確保のトレードですね。
INF/CFのホルヘ・マテオが左肘の亜脱臼でシーズンエンド(PSならワンチャン復帰?)とのことなので、リバン•ソトは今季三度目のBAL入団になりました。
スレーターは、うん…本当に穴埋め要因だね…。こちらもWestburg or Kjerstad次第でサヨナラの可能性ありです。


◾️トレード前の予想と答え合わせ

上記記事でTDLでのBALの動向は以下のようになるのではと予想しました。
答え合わせをしていきます。

  1. 来年以降のチーム力に響かない程度で「消極的な買い手」となる。

  2. トッププロスペクト=自チームのコアになりうる選手を放出しないこと。

  3. 中堅/プラトーン起用の野手を一部放出し、自前プロスペクトとロスターを入れ替える。

  4. 先発三番手クラスのSP&ハイレバ展開を任せられるRP(vFA=100に近ければなおよし)を一人ずつ獲得。

  5. ビハインドでのロングはアービンorスアレスの内部対応、もしくはDFAされた選手を最低年俸で獲得。


1. 来年以降のチーム力に響かない程度で「消極的な買い手」となる。
2. トッププロスペクトを放出しない

むしろ積極的な買い手でした。
とはいえS.バサイヨなど、来年以降のチーム力に大きく響くようなプレミアムなプロスペクトたちの放出はしていません。ノービィやバウマイスターなど他プロスペクトたちは確かに惜しい存在ばかりでしたが、その放出に値する選手たちを獲得できたので良いのではないでしょうか。

個人的には、放出プロスペクトのうちの半分以上が訳あり物件(R5関連や上位プロスペにブロック、ローシーリングなど)な印象を受けます。Sour Grapesじゃないです。

3.中堅/プラトーン起用の野手を一部放出

オースティン•ヘイズの放出と同時に弱点だったブルペンを補強。
ここに関しては良くやった!と思う反面、オフの年俸調停やオプション破棄でお別れする選手がまだ出てくるのではないかと思います。そういう意味ではまだ放出するべき選手がいて、それで対価を取れたのではないかと思いました。

4.先発三番手クラスのSP&RP(xFV=100に近ければなおよし)

SP:Z.エフリン, T.ロジャース
RP:S.ドミンゲス, G.ソト
の獲得は本当に完璧な補強だと思います。
COのドミンゲスを含めると、4人全員が25年シーズンもBALに保有権があるのでTJ手術等で3人SPがいないBALにとって、これほどありがたい事実はないのではないのでしょうか。・・・投手陣のPHI成分が増しましたね。

5. ビハインドでのロング

エフリン、ロジャースの獲得によりA.スアレスがブルペンに回るでしょう。
アービンはDEAされました。仕方ないね。

その他

デプス確保やプロスペクト同士のトレードも同時に行われました。
個人的にはPITから獲得したPatrick Reilly、期待しています。


◾️総評

100点満点中80点ってとこですかね。個人的に評価は高いです。やるべき補強はおおよそ行われたと感じています。
25年以降もコントローラブルな選手を集めたあたり、2015,2016のHOUのようなチーム状態にしていきたかったのではないでしょうか。

EliasGM曰く、市場に値するメンツが出てこなかっただけとのことでしたが、Top100の5人(内卒業済み2人)と若いハイシーリングな投手有望株を放出せずに守ったことだけで60点分はあるとは思います。大学の期末試験ならこれだけで合格です。
加えて投手補強をしっかりとしているのでプラス40点ですね。この辺は三番手SP+剛腕RPの獲得予想が当たったこともあり、嬉しさも上乗せされています。

マイナス要素は、開幕前にキンブレル以外のブルペン補強をしなかったことがTDLまで響いてPHIにプロスペクトを渡してまで獲得したところと、ヒメネス獲得、中堅どころの放出をもう少しちゃんとやって欲しかったところですね。

あと個人的にいえばもう少しTDLは後ろ倒ししてもいいんじゃないかと思いました。例えばRS終了46日前(8月中下旬)とかね。ドラフトから一ヶ月も経っていないうちのTDLは編成部門倒れちゃうよ。


◾️〆

"プロスペクトは所詮プロスペクトでしかない"という言葉がありますが、少なくとも今夏のBALには当てはまらないと思っていました。
ロスターの穴が多く、長期契約でロックされた選手がいないため、”プロスペクトが戦力そのもの”という状態だったのは否定できません。

また、”10年間のレギュラーシーズン100勝よりも1回のWSチャンピオン”なんて言葉もありますが、そもそも10年間のRS100勝できるようなチームを作らないとWS進出すら叶わないとも思っています。

そういった意味ではプレミアムなプロスペクトを守り、かつElias GMの"長期的なコンテンドを目指したい"という23年TDL付近での言葉に矛盾しない動きだったと思います。
TDLではクリアしましたが、ここからさらに数ある分岐から最適解を選ばなければなりません。

かつてのHOUのようにDynastyとなれるのか、それとも2013~2015の短命に終わってしまったKCの後を追ってしまうのか。
大事な局面は続きます。しっかり見ていきましょう。

以上です。

(追記)
オーナー権限の移管が完了したとのことです。


◾️おまけ

TDL後に二人とも昇格とのこと。何よりの野手補強なのかもしれない。
剛体とサラブレッドなので、喩えるならジャイアンとスネ夫が一番しっくりきてる。監督はあたまテカテカだし。