フリーランスのフロントエンドエンジニアになって初めて案件を獲得するまでにやったこと
自分の経歴について
自分は 28 歳から未経験の状態で it 系の中小ベンチャー企業に入社して、3 年間フロントエンドエンジニアとしてはたらいた。
3 年間の間に、8 個の案件にフロントエンドエンジニアとしてアサインされてた。
2 年目からフロントエンドのリーダをやったりしていたけど、会社全体の社員数が 20 - 30 人くらいなので、ひとつの案件のチームも 10 人未満で、フロントエンドエンジニアはひとチームに 1 - 3 人みたいなかんじだった。フロントエンドのリーダをやっていたのも、技術力が優れていたからとかではなくて、ただでさえ人数が少ないのにベテランが次々と辞めていくので、繰り上がり的になったたけ。
仕事では主に react, next.js, electron, express, なんかの技術を使っていた。
web アプリケーション、デスクトップアプリケーションのフロントエンドが担当領域。
ベテランがどんどんやめていって、技術的な相談をできるのが CTO くらいしかいなくて、でも CTO もいそがしそうで声をかけづらいという環境にいたので、意味がわからないことも自分ひとりで調べて実装しないといけなかった。electron での実装のときはとくにそれが顕著だった。ひとりでもなんとか実装できたのは頭の良さとかではなくて、ただブラウザで根気強くググったり、ライブラリのソースコードを追ったり、そういう根性的な、泥臭くささだった。得られたものは正当な技術力の成長ではなくて、特定の具体的な事象だけを理解しているだけのある種いびつな成長だったとおもう。
この環境じゃもう限界だなと思って、会社をやめた。
詳しいことはこの記事で書いてるので、興味があればぜひ。
まとめるとこんなかんじ
エンジニア歴: 4 年目
使用言語: javascript, typescript
習得技術: react, next.js, node.js, express
経験: フロントエンドリーダ
会社をやめてからやったこと
会社をやめてから、とにかくエージェントや案件を掲載しているサイト登録しまくった。
どのエージェントも経歴の入力やスキルシートの入力がとにかくストレスだった。ただの textarea だったりスプレッドシートだったり、なんかこのへんもっといいかんじの入力フォームができそうな気がするけどな、自分でなにかしらスキルシート入力サービスつくろうかな、って考えてしまうくらいとにかく不便だったという記憶がある。間違って入力した文書を消したりもしてしまって、4 回くらい発狂したし、めんどうになりすぎて入力もだいぶ適当になってしまっていたと思う。
findy, レバテック、フリーランススタート、ほかにもいくつか登録した。
自分は自分で営業して仕事を獲ってくるなんてできない性質なので、エージェントを利用するのはマストだった。ただ退職するというツイートをしたときに、数人のフォロワーさんから「うちどうですかー?」って言ってもらえたりもした。これはほんとうにうれしい誤算というか、twitter やってるとこういうこともあるんだなあっていう体験ができてよかった。ただ仕事の引き継ぎなどで精神的に参っている時期でまだ次の仕事について考えられるような余裕がなかったからぜんぶお断りしてしまった。
お声がけくださった方、ありがとうございました☕
エージェントに登録したあとは、エージェントから電話がかかってくる。知らん番号からの電話にはでないという決まり事を 3 歳の頃から守って生きてきているので、はじめははすべて無視していた。というかエージェントから電話がかかってくるというのを知らなかった。
ただタイミング的にもエージェントだろうなってのは気づいていたので、電話に出ると、めちゃめちゃ丁寧な物腰のエージェントの方が対応してくれて、ビデオ通話で面談することが決まっていく。
ひとまずレバテックと findy の人とビデオ通話することになった。どちらも google meet を指定された。google meet を使うのは初めてだった。
レバテックの人も findy のひともめちゃめちゃいいひとだった。自分の話を丁寧に聞いてくれて、その上でキャリアの相談とか、どういう案件があるとか、今の react エンジニアの市場価値はこのくらいとか、今後もよろしくおねがいしますとか、有料級では? みたいな内容のことをぼろぼろおしえてくれて、提案してくれて、すげーってなった。
どっちも面談の時間は 1 時間だった。
「どんな条件で案件探されてますか?」って訊かれて、自分の出した案件の条件はこんなかんじ。
単価 60万円程度 (なんか以前計算したらこれくらいあれば生きていけそうだった記憶がある)
フルリモート
プロダクトにこだわりはない。可能なら書籍関連のプロダクトがいい (本が好きなため)
react, next.js を使っている案件
商談が始まるまでの流れ
面談が終わった次の日から、line やらメールでエージェントから連絡が来る。メッセージには「ギアさんの経歴を見て、お話したいという企業さんから連絡をもらってます。企業さんの情報を添付させていただきますので、ご興味があればご連絡ください」みたいなかんじ。
散歩中の公園で line を開いて、メッセージから企業のサイトに飛ぶ。おしゃれなコーポレートサイトだ。プロダクトもオシャレだ。コワーキングスペース予約サイト? かっこいい。でもなぜかそこではたらこうとは思えなかった。正直、自分は興味のあるプロダクトなんてなかった。前職の会社でも物件管理アプリとか、写真のデータ管理アプリとか、ローカルアプリのランチャーアプリとか、いろいろつくってたけど、どのプロダクトにもそんなに興味があったわけではなかった。でもゲームサイトを作ったときは面白かったな。それでもどの案件でもアプリを実装するのはたのしかった。UI を考えたり、ロジックを考えたりするのは楽しかった。だからプロダクトの中身はなんでもよかった。でもなんでもいいというのは、逆説的に何にも興味がないということでもある。だからどんな案件を紹介されても、「すみません、プロダクトに興味が持てませんので、辞退させてください」と返信してしまいそうになっていた。
不安もあったとおもう。おしゃれなコーポレートサイトにおしゃれなアプリ、なんか明るい人達が笑顔で笑ってる集合写真、技術もすごく高レベルなものを使っていそうな気がしてしまう。そのなかに自分が入っていける気がしない。同じ熱量で働けるかどうかわからない。そもそもできれば仕事なんてしたくない。そんな感情があって、せっかくのスカウトの申し出を辞退してしまいそうになっていた。
だから有限性を設定した。
自由すぎると自分はなにもしないし、なにもできなくなる人間なので、有限性を設定することで、締切をつくってしまうことで、強制的に行動しなければいけない状態を作ることにした。大学のレポートだって、いつもぎりぎりだった。締切だけがいつも自分を突き動かしてきた。パニックモンスターを目覚めさせないといけないことを思い出した。
パニックモンスターって言葉がどれくらいのひとに伝わるかわからんけど、知らない人はこの動画を見たほうが良い。自分は行動できないときはいつもこの動画を見返して、有限性を意識するようにしている。
自分は一ヶ月後の 2023/3/1 からはぜったいに仕事すると決めた。グーグルカレンダに予定をぶっ刺した。これはもう決定してしまったことだ。納期が決まればあとは逆算して、工数を出したりして、間に合うように作業すればいい。仕事と同じ。ここまでしないと自分は、行動すらできなかった。
それからはエージェントから提案されるすべての案件に対して、「商談の設定を願いします」と返信した。自分でも極端な性格だとおもう。
エージェントが商談をセッティングしてくれて、gmail にどんどん商談の予定詳細メールが溜まっていく。商談の予定日を確認して、google カレンダに刻み込む。あとはもうはたらきたくないとか、商談めんどうくさいとか言ってられない。もう商談の日時になれば商談するしかない。
で、初めての商談がはじまる。
商談 1
はじめての商談。
条件はこんなかんじ。
月単価 65万
フルリモート
react, next.js
はじめての商談ということもあって、心臓ばくばくで挑んだ。でも実際に商談が始まってみれば、人事の人も、開発の人も、たいへんいい人で、和やかな雰囲気で商談することができた。
商談の詳細はまた別の記事で書こうと思うので、簡単に流れだけ書いておく。
開発の人がどんな技術を使って開発されているのかという話をしてくれる
自分の経歴を簡単に説明する
自分の経歴についていくつか質疑応答がある
express を使った案件もやっているようだが、バックエンドも書けるのか
普段の開発で docker は使っているか
人事のひとからどんなプロダクトを作っているかの説明
最後にまたいくつか質疑応答があった
この商談で、自分が商品になっているという感覚をはじめて体感した。自分を売り込んで、買ってもらえるかどうかみたいなのは初めてだったから、ちょっと楽しかったりもした。オファーをもらうためにあんまり相手に合わせて、あれもできるこれもできると言ってしまうと、あとで自分がつらくなるだろうなってことは予測できるので、苦手なことは苦手だとちゃんと言って、できないことはできないとちゃんと言った。あたりまえのことだけれど。
で、自分の経歴はいま市場でめちゃめちゃ需要あるよってことを教えてもらった。typescript, react の経験が 3 年あって、めちゃめちゃ浅いけど express の経験があってバックエンドとの連携もなんとかなりそうで、小さいチームながらもフロントエンドのリーダをやっていたというのも評価してもらえた。
自分としては小さいチームでのフロントエンドのリーダの経験なんて評価の対象にならないだろうと思っていたし、express の案件だって小さな案件で、まさかそこを「フロントエンドエンジニアで、いちおうバックエンドの経験があるという経歴が貴重」って言ってもらえるとは思わなかった。
思いも寄らない角度から評価ってしてもらえるんだなあと、市場の中で自分自身が商品になってみて気づくことができた。
商談が終わると、15 分後くらいにエージェントから連絡があって、「先程の商談の結果、オファーをいただいていますが、どうしますか?」と言われた。そんな即決で決まるんだなって意外に思った。15 分って自分がコンビニで何を買うか迷ってる時間の方が長いかもしれない。
ただ、馬鹿みたいに商談を設定してもらっていたので、次の日にも 2 つ商談をすることが決まっていた。そしてそのひとつの案件にちょっと興味があったので、自分としてはその商談が終わるまではまだオファーを保留にしておきたい。エージェントにその旨を伝えると、「今日中に返答がほしいと言っておられますが、わかりました、交渉してみます」とのことだった。ありがたい。
で、また数時間後にエージェントから連絡が来て、「オファーの保留、明日まで待ってもらえることになりました。また、他のところ迷っているなら、単価を 75 万円まで上げてもいいともおっしゃっておられます」と言われた。このとき本当に売りて市場なんだなあっておもった。未経験から 3 年間しか経っていない自分のスキル感でそんなかんじなのかあ、プログラマの需要ってすごいなあって素直に感心した。
フリーランスになったら収入が会社員時代の 2 倍になったとか、ネットの記事で目に入ってきてたけど、あながち嘘じゃなかったらしい。まったく信じてなかった。というか、それはゴリゴリの一部のエンジニアだけだろうと思っていた。そんなことはなかった。
商談の雰囲気はたいへん良くて、ぜひ働きたいと思ったけれども、とにかく次の日の商談が本命だと思っていた。だから「単価 75 万円はたいへん魅力的なオファーなのですが、明日の商談が本命ですので、やはりそちらが終わってからのお返事とさせてください」と伝えた。ちなみに翌日の商談の単価は 60 万円だった。でもプロダクト的に興味が持てそうだったので、その案件に参加したいという感情がつよかった。
あと、単価が高くなるとそのぶん期待と責任も上乗せされてるような気がして、さすがに 75 万円は今の自分の身の丈には合わないんじゃないかと思った。これはとくに基準があるとかではなくて、なんか肌感覚で 60 万円くらいが丁度いいような気がしていた。
この時点で、オファーはいただくことができたので、フリーランスになって初めて案件を獲得したともいえるのかもしれない。まあ受注してないんだから獲得していないんだけれども。
そんなかんじのはじめての商談だった。
商談 2
商談 2 つ目。自分にとって本命の商談。
条件はこんなかんじ。
月単価 60万
フルリモート
react, next.js
2 回目の商談ではあったけれども、本命というだけあって緊張はしていた。
簡単な商談の流れはこんなかんじ。
プロダクトの説明
自分の経歴の説明
自分の経歴についての質問と技術的な質問
react のいいと思うところ
react のわるいと思うところ
express の案件もやってるみたいだけど、express ってシンプルなフレームワークだけど、設計どうした?
既存のプロダクトにアサインされた時、まずどうやって全体を把握するか
仕様書とデザインを貰ったらどうやって実装するか
メンバだったときとリーダになったときの仕事やり方の違い
結構な数の技術的な質問や仕事の進め方の質問がきたので、考えることの多い商談だった。どの質問に対しても答えられないということはなかったけれども、言語化したことがなかったので、ほんとうにこの回答でいいのか? って思いながら回答してた。普段からなにかしらアウトプットしておけばこんなときにもすらすら自身を持って答えられるんだろうなって思った。
商談が終わったあとに、もっとこういう返答をしておけばよかったと額を机に打ち付けながら後悔していたら、エージェントから連絡があって、「前向きに検討してくださっているみたいで、たぶんオファーいただけますよ」といってもらえた。
現実感がなかったけど、ガッツポーズでもしてやろうかって思ったし、自分のいまのスキルで本当にやっていけるんだろうかって不安にもなった。まあやるしかないんだけど。で、エージェントから「先日オファーを頂いていた企業様からのオファーはどうしますか? 今日中に返事をしないといけないんですが、先程商談いただいた企業様からの返事は明日になってしまうかもしれません」。
このときいちばん最悪なのは、今日中に商談 2 の企業からオファーが来なくて、商談 1 のオファーを断って、次の日に商談 2 の企業からもオファーをもらえなかった場合だ。オファーをもらえている案件がゼロになってしまう。でもそれでも良いと思った。売り手市場というのは肌で感じたし、また商談すればいいと思えた。「だめだったら、また別の商談をさせてください。せっかくオファーもらえたのにすみません、お手数おかけしますがよろしくおねがいします」とだけ伝えた。エージェントのひとは「ぜんぜんいいですよー。行きたいところに行きましょう」と言ってくれた。
結果だけ先に言えば、翌日無事、商談 2 の企業からオファーをいただくことができた。で、自分は商談 2 の企業から案件をもらうことが決まった。
これがフリーランスになっての本当の案件獲得になった🎉
商談 3
商談 2 が終わった直後に入れていた商談。
まだ商談 2 からのオファーが出ていない状態で、自分がこんなにオファーを貰えるとも思っていなかったのでとりあえず商談の数をこなしておこうと思っていれていた商談。
この商談はこれまでと違って、自分と同じように仕事を探しているフリーランスエンジニアが自分の他に 2 人いて、グループ商談みたいになっていた。
そのせいかまったく緊張せずに挑むことができた。
条件はこんなかんじ
月単価 70 万
フルリモート
next.js
簡単な商談の流れはこんなかんじ
プロダクトの説明
フリーランスエンジニアが順番に経歴を説明
それぞれの経歴についての質疑応答
設計はどのようにしているか
バックエンドとの API の仕様の連携はどうしているか
なんかグループ商談だったということもあって、わりとぐだぐだというか、要点を得ないような商談だったように思う。企業側の商談に出てきた人が代理の人だったというのもあるかもしれない。また自分以外のふたりのエンジニアはバックエンドのエンジニアだった。
全体的にものすごく雑というかあんまり内容のない商談になっていた気がする。
この商談のオファーがどうなったかは教えてもらっていない。商談 2 のオファーを受けたので、もう結果は聞けないのかもしれない。まあそれならそれでってかんじだ。
フリーランスとしてはじめての案件探しを終えての感想
最終的に、希望の案件を獲得することができたので良かった。
フルリモート、月単価 60 万という自分の条件もクリアできた。
そういえば学歴とか資格とかはまったく話にでなかった。自分は大学中退しているので高卒だし、情報系の資格もなにも持っていないのだけど、それよりもプラグラマとしての経験の一点突破でいけるんだなっていうのは発見だったな。
今回フリーランスになって初めて商談というものをしてみて、フロントエンドエンジニア、特に react のエンジニアは売り手市場だなっていうのを実感した。react 自体がまだ若いので、経験 3 年とかでもわりと需要があるのかなと思った。laravel とかだと経験年数十年とかざらにいるっぽいから経験年数 3 年で需要がどれくらいあるのかは謎。react をやってて運が良かったっていうのは間違いなくあると思う。
ただ案件は獲得できたけど、実際に案件にが始まって開発についていけるのかっていう不安はめちゃめちゃある。でもこれに関しては始まってみないとわからないことだし、いまはキャッチアップしておいたほうが良さそうな技術の勉強をしておこうと思う。で、もし全力でやった結果、案件のレベルについていけなかったのであれば、また次の案件探しをすればいいだけのことだ。いずれ自分にあった案件に出会うときが来ると思う。
とはいえ、3/1 からは実際に案件にはいるので、もう腹をくくってやっていくしかない。
一個おもったのは、今回はフリーランスになったからといって時間が自由になるっていうのはとくにないなってこと。フルリモートとはいえど、平日の 10:00 - 19:00 で仕事しないといけないし。セキュリティ的にカフェとかで作業するのもだめっぽいし。
とはいえ前の会社員時代の終電での帰宅とか、会社での泊まりとか、毎日の気だるい通勤とか、半強制的な飲み会とかを考えると、それでも自由な時間と精神的なゆとりは増えてるので、自分的には満足。
もしもっと時間を自由にしたいって思うようになったら、またその条件で案件を探すしかなさそう。
とりあえず無事、フリーランスとしての初めての案件探しが終わってよかっeた。
今回お世話になったエージェントの方も大変気さくで、頻繁に line で案件の提案をしてくれて、とても助かったし。登録して 3 日後には商談 3 つこなして、案件獲得までできてたのでスピード感もよかった。
以上フリーランスとしての初めての案件探しでした。
おしまい🍵