卯月〜試される大地との邂逅〜
時の流れは早いものでGWと中盤に差し掛かろうとしているが、ここ北海道ではようやく桜の蕾が顔を覗かせていた。
結局今年は未だに桜を見ていないので、何やら季節感覚がバグを起こしそうである。
試されざる大地に来てはや1ヶ月が経とうとしている。
しかしながら、着いた頃にはすっかり寒気は緩み、北海道にも穏やかな春の気配が充満していたので、本当の意味で試されるのは次の冬からなんだろうなと感じている。
各方面から「北海道は太るよ」との警告を賜っていたが、確かにこれは太るなと実感している。
ジンギスカン、味噌ラーメン、スープカレー、サッポロクラシック。
北海道の美味いものは枚挙の暇がない。
そりゃこんなもんばっか食ってたら太るわ。
おまけに「夜パフェ」なる文化も存在するらしい。
どうやら札幌の呑兵衛たちは
飲み会→〆のラーメン→〆の夜パフェ
というコースを満喫しているとのこと。
食べ盛りの大学生じゃないんだから、、と思いながらも、たまにならこのドカ飲みドカ食い気絶コースを堪能しても良いのではないかと心の中の悪魔が囁く。
そういえば人生で初めて電車で通う生活が始まった。
学生時代から長野勤務時代に至るまでずっと徒歩で通う生活だったので、電車通勤はとても新鮮だった。
などと思えたのは初めの数日だけ。
札幌だからと舐めてかかっていたが、朝の通勤ラッシュは想像以上のものだった。
たった数分の乗車時間とはいえ、満員電車のストレスフル加減といったら本当に酷いものがある。
これが東京だと1時間も2時間も続くと思うと、益々東京に行く気が失せる。あくまで東京は遊びに行く場所であるべきだろう。
こうして毎日満員電車に振られて職場と家の往復を続けていると、なるほど、こうして社会の歯車は回り回っているのかと改めて実感する(何様?)
ところで皆さんは北海道の方言と言えば何を思い浮かべるだろうか。
個人的には「したっけ」を最推ししていきたい。
方言特有の柔らかさというか、全体に漂うふんわり感も勿論のこと、言葉だけでは表せない心地良さとも言える魅力が「したっけ」にはあるというのが持論だ。
調べてみると、「したっけ」は挨拶というよりかは接続詞として使われる事が多いらしい。
なおのこと素晴らしい。
こんなんが接続詞として使われているなんて、なんて魅力的なんだろうか。
そんなこんなでリアル「したっけ」を聞けるとウキウキで転勤してきた私だったが、ところがどっこい待てど暮らせど「したっけ」は1mmも周りから聞こえてこない。
はて、おかしい。
職種的に北海道出身の方がほとんどのはずなのだが。
不思議に思い飲み会の場で聞いてみると、あっさりと答えが返ってきた。
「そりゃ、仕事で敬語で話してたら出ないですよ。使うとしても友達か家族の間だけかな。」
なるほどもっともである。
関西出身の自分が仕事ではあまり方言が出ないのと同じ理由だった。良く考えれば分かることである。阿呆まるだし。
がっくしと肩を落としていると、さらに追撃を食らう。
「あと『なまら〜』とか使う人ももう年配の人しかいないかな。」
現実とは残酷なものである。
しかしこれも納得と言えば納得で、関西人でも「〜でんがな」「〜まんねん」なんて使う人は見たことないし、使っている人がいたらそいつは十中八九エセ関西弁野郎である。
とはいえ諦めるのはまだ早い。
北海道生活は始まったばかりである。
次に異動するまでに、いかに方言を引き出せるかが試されている気がする。
これも試される大地たる所以ということか、と勝手に納得した。