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ゆめうつつ

寒いとマジで何もできないし何もしたくなくなる。フィルマークス、Apple Music、Spotify、確定申告の領収書、どれを取っても1〜3月の動きが少ない。そして暖かくなり始めてきた頃からそんな冬を取り返すかのように全方位で活発になる。季節によって暮らしっぷりを分かりやすく左右されるようになったのはここ数年からだけど、何となくこれからの人生ずっとこんな感じなんだろうなというやんわりとした確信があって昨年の秋、自宅の窓から見た空に冬を感じた時に一気にこの2年ほどの冬と春の事を思い出した。まずい、という気持ちとよっしゃ、という気持ち。寒さに耐えられる自信はミリ単位でないけど、もし超えられれば確実に春が来る。毎年一番音楽を聴く季節は春、昼夜問わず暇さえあれば歩けるところまで歩く。カフェラテや一口サイズの何かを買って曲やこの先何がしたいかを考えながらひたすらに歩く。知らないものに出会う事、知らないものを知りにいく事も、いずれもそこそこな体力がないと少なくとも俺にはできない。春はその体力が無尽蔵にある。だから冬の間は気になってもまあいいやで素通りしていたプレイリストやアルバムを思い切って聴ける。そして案の定めちゃくちゃ良い曲を知る。何でもっと早く知らなかったんだろうとベタな事を感じながらライブラリが分厚くなっていく事に嬉しさを感じたりする。
あれがまた来るのか。皆も同じだったりするのだろうか。だとしたら俺の曲だって聴いてもらいたいかもしれない。そして俺だってそれを聴きながら過ごしたい。そんな一幕を出発点にほんの少し肌寒い部屋の中で、日差しを足に当てながらいくつか春に聴ける曲を作った。
そのうちの一曲が今日リリースになった「ゆめうつつ」。
春の夜に聴く事を目掛けて作った。眠る際にでも眠れない夜にでもフィットしてくれるんじゃないだろうか。
外は今のところ生憎の雨、それもなかなかの土砂降りではあるけれど是非とも聴いてもらいたい。晴れた夜が来たら自分でも聴きながら少し歩きたい。聴いてくれる人にも、ひと晩くらい同じような夜があってくれる事を祈る。



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