【続報その2】富士通エフサスの再編に見るITインフラサービスの今後
富士通エフサスの10月1日付の人事異動・機構改革の考察を試みます。
※人事異動については個人名を見ても評価しづらいため機構改革にフォーカスします。
※一連の記事で言えることですが、漏れ聞こえてくる情報と、WEBサイトの情報からの推察ですので、ご理解ください。
■機構改革の内容(項目に▼印でコメントしていきます。)
〔サポート部門〕
(1)業務推進統括部を事業推進統括部に改組
▼何をやる部門か判然としません。
業務を推進する部門から事業を推進する部門に変革する・・・。
これ以上はやめておきます・・・。力不足ですみません。
(2)デジタルサポート基盤開発統括部、サポート人財開発統括部を統合し、アドバンスドCE技術統括部とする
▼エンジニアの技術開発、教育を行う部門でしょうか。
「アドバンスドCE」ということで従来のハードウェア保守に何らかの価値を付加したエンジニアの養成が目的の部署と思われます。
具体的にどんな価値が付加されるのか。エンジニアの現場での業務がどう変わるのかという点に興味がわきます。
(3)マルチベンダーサービス統括部を新設
▼これは単純に富士通プロダクト以外も対応するということですね。
(4)プラットフォームソフトウェアサポート統括部、PCサーバサポート統括部、エンタープライズシステムサポート統括部、エッジコンピューティングサポート統括部を再編し、第一システムサポート統括部~第三システムサポート統括部とする
▼現場のCEを後方支援する部門のようですが、機種・システム規模ごと目的化された組織分けが番号表記の組織名にした背景には、現場に存在するハードウェアの様態が大きく変化した事があったためではないでしょうか。
旧組織名を並べると、
1.プラットフォームソフトウェアサポート統括部
2.PCサーバサポート統括部
3.エンタープライズシステムサポート統括部
4.エッジコンピューティングサポート統括部
少なくとも1.2.3.はデータセンター担当部門以外ほぼ不要になる部分かと思いますし、4.についてはデバイスが多様化しすぎて、現場のCEをバックアップするだけのナレッジの蓄積が難しくなってきていると感じます。
(5)金融サポート統括部をOSC統括部に統合
▼直近のニュースからの推察なのですが、最近、富士通の金融顧客が減少しているようですね。みずほ銀行のシステムはIBMに一本化されるようですし、地銀向け共同利用のシステムも離脱が相次ぎ、利用行はゼロになる見通しです。以前書いたFintechによる現金を扱う機会(機械)の減少の事もあり、金融に特化した統括部クラスの部門としては不要となったのでしょう。
金融端末や、POSの保守業務を切り出したCE子会社6社の統廃合も同じ背景からの対応と感じます。
サポート統括本部にサポートサービス推進統括部を新設し、サポート改革推進室を廃止
▼「推進」のつく部門はよくわかりません・・・。
考察はやめておきます。
〔ビジネス部門〕
▼営業はFJJ(富士通ジャパン)に移ったと思っていましたが、一部営業部門が残っているのでしょうか。同社の営業は様々な顧客に提案するタイプの営業と、顧客に密着して顧客先での作業イベントに従事するタイプの営業がいるようです。おそらく後者が残っているのでしょう。
(1)ビジネス支援統括部にサービスデザイン室を統合
▼営業の後方支援部門でしょうか。
新しいサービスのデザインがひと段落し、統合になったのでしょう。
最大手の富士通エフサスでどんなサービスが生み出されたのか非常に興味があります。
(2)東日本ビジネス本部の東北支社、北海道支社を統合し、東北・北海道支社とする
(3)同本部の関越支社、長野支社、神奈川支社、千葉支社を統合し、関信越支社とする
(4)西日本ビジネス本部の静岡支社、東海支社、北陸支社を統合し、中部支社とする
(5)同本部の関西支社に京都支社、神戸支社を統合
(6)同本部の九州支社、中四国支社を統合し、九州・中四国支社とする
▼営業の大半がFJJ(富士通ジャパン)に移り、組織としての規模が2分の1から4分の1程度への縮小になったのですね。
顧客密着型、かつ端末系のビジネスに特化する方針でしょうか。
サービス対象の端末は以下のものが考えられます。
・パソコン、タブレット
スマートデバイス
・金融端末、POS
・その他IoTデバイス
金融端末、POSは減少傾向になり、この部門が今後なにを提供していくのか気になります。
■感想
これまで書いてきた記事で、サーバーのクラウド化によって現場にハードウェアがなくなり、クラウドと端末しか存在しなくなる。そのため、付帯サービスであるITインフラサービス事業者とエンジニアが変革を迫られるという趣旨を述べてきました。
そこで最大手の事業者である富士通エフサスに改めて注目してみたわけですが、一連の考察を通して、同社は激震レベルで揺れているのではと感じました。
特に金融サポートの縮小については、直近のニュースとも連動していて思うところがあります。この件は別途触れますが、何かしら変わっていかないといけないという「もがき」が機構改革の行間から感じ取れます。
今後発信されるであろう「新しい付加価値(サービス)」に注目していきたいと思います。