富士通エフサス・NECフィールディングの「トピックス」に見るITインフラサービスの現状
これまで、ITインフラサービスの今後について考察してきました。
・クラウド化に伴い、現場のハードウェアが減り、ITインフラサービスの市場が縮小する。
・この分野の最大手である富士通エフサスを題材に今後の展望を占う。
まとめるとこんな感じになりますが、10月の組織改定からなにか新たなITインフラサービスが発表されるものと期待しておりましたが、10月24日の時点で新たなメッセージはありませんでした。
そこで、今回は富士通エフサスと、NECフィールディングの新製品を発表する両社の「トピックス」ページを見てみました。
直近の記事は以下の通りです。
■富士通エフサス
https://www.fujitsu.com/jp/group/fsas/about/resources/news/topics/
2021年9月24日
プロジェクト情報共有ツールへの不正アクセスについて
2021年7月8日
「セキュリティ構築運用サービス」を更新(旧:セキュリティ運用サービス)
2021年5月26日
プロジェクト情報共有ツールへの不正アクセスについて
7月8日のセキュリティ構築運用サービスの内容は、CSIRTが有効に機能するための各種支援を顧客に提供するものです。
CSIRTとは
JPNIC(一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)のWEBサイト上の解説によると、Computer Security Incident Response Teamの略で、「シーサート」または「シーエスアイアールティ」と読みます。「コンピュータセキュリティインシデント」に関する報告を受け取り、調査し、対応活動を行う組織体の名称です。インシデント対応を定常的に専業で行っているチームの場合もありますが、何かが起った際に特別に結成されるチームの場合もあります。
その前後の記事が、政府系機関の情報流出が大きな問題となっている「プロジェクト情報共有ツールへの不正アクセスについて」というのは何とも皮肉な話です。対応が後手に回り、顧客団体から相当な不満の声が上がっているそうですが、CSIRTが有効に機能するための各種支援を顧客に提供するサービスについては疑問符が付きます。
■NECフィールディング
※こちらは記事数が多いので抜粋します。
https://www.fielding.co.jp/topics/index.html
2021年10月04日
システムメンテナンスに伴う法人向けオフィス用品通販サイト「いーるでぃんぐ」の停止の件
2021年09月10日
【復旧のお知らせ】法人向けオフィス用品通販サイト「い~るでぃんぐ」通信不具合について
2021年09月10日
法人向けオフィス用品通販サイト「い~るでぃんぐ」通信不具合のお知らせ
2021年07月05日
システムメンテナンスに伴う法人向けオフィス用品通販サイト「いーるでぃんぐ」の停止の件
2021年06月22日
システムメンテナンスに伴う一部Webサイト停止のお知らせ【6月26日】
2021年05月12日
法人のお客様向け弊社システムの不具合について
2021年05月06日
法人のお客様向け機器トラブルや故障のコール受付窓口がつながりにくい状況について
事例紹介や、取り組み情報、ワンポイントテクニックなどもありますが、抜粋したシステム不具合に関する記事が目立ちます。10月4日の「い~るでぃんぐ」に関する告知記事はメンテナンスと書いてありますが、直近の記事を見ると不具合に絡んだメンテナンスのようです。さらに、この記事タイトルには記事内容へのリンクが張られていません。
■感想
大手ITインフラサービス提供企業2社の「トピックス」に注目したわけですが、残念ながら今後の展望を占うような記事は見当たりませんでした。
その代わりにITインフラサービス提供企業としてはあまり掲載したくないであろう記事が並びます。
ITシステムにおいては、RAS(信頼性・可用性・保守性)をいかに高めるかが重要ですが、一連の掲載を見た印象はそのどれもが低いと感じます。批判記事が書きたいわけではないのですが、いろいろ心配になってしまいます。重要なITインフラのトラブルが相次ぐ状況の遠因をこういった点からも推察することができます。
現場を支えるエンジニアのためにも、基本的な部分をしっかりと固め、早期に新たな事業展開をすることを望みます。