【これからどうする!?】CEとしてITインフラサービス業界で頑張っている人へ
「CE」とは
「CEとしてITインフラサービス業界で頑張っている人へ」とタイトルにしながら、CEでない方のために少し解説します。「CE」とは、カストマーエンジニア(カスタマーエンジニアとも。長音がない表記もあり。)の頭文字をとってCEです。ITインフラ(サーバ、ネットワーク、プリンタなど)の新規導入時の、現地での設置作業、初期設定作業、故障時の修理対応、定期点検、リプレース時の解体撤去までITインフラのハードウェア面での「ゆりかごから墓場まで」を面倒見る人たちです。
「CE」という言葉をIT業界以外で耳にすることはあまりないでしょう。
CE職の人が他業種の方に自己紹介する際、CEについての説明をするか、「ハードウェアエンジニアです。」とか「**のメンテナンスをしています。」といった表現になります。
CEは保守的だが信頼される
CEは、その業務から保守的な性質を持ちます。導入されたITインフラを保守するわけですので、その構成や、運用ルールを把握し、保守契約内容に沿って粛々と対応するわけですので、型破りな行動は厳に戒められます。
一方で、ユーザー(顧客)からは絶大な信頼がある職種です。保守業務の中に故障時の修理対応がありますが、この対応を続けていると、CEは「困ったときに助けてくれる存在」となっていきます。「契約したら途端に出番が少なくなる営業」、「導入時に侃々諤々の議論をして対応したSE」と比較して、稼働してからのCEの対応が目に見える形で続く為、信頼される職種です。
特に責任感が強く、常に顧客優先で対応できるCE(多くの場合、その会社で出世できていない※別の機会に書きます。)は絶大な信頼があり、ユーザーによってはそのCEを通さないと提案を受け付けないなどの極端な例もあります。
CEはなんでもやらされる
そのため、CEはユーザーの動向を逐一営業に報告することや、例えば機器の追加、ネットワークやサーバの増強、サーバルームのファシリティ改善など多岐にわたる対応が求められ、徐々にビジネスが拡大し、ITインフラサービスという一大市場が生まれます。これまでも取り上げた富士通やNECのITインフラサービス子会社が台頭してきます。
ところが
以前の記事でも述べましたが、近年のクラウド化により、CEの飯の種である「現場のハードウェア」が激減しています。それに伴い、ユーザーに密着し、顧客課題を詳細に把握できる立場であるCEが人減らし(もしくは先行きが見えず、転職)により現場のCEの労働環境が悪化しています。
コロナ禍の前から36協定の遵守のため残業削減が推進され、ますます稼働リソースが減ってしまうという悪循環に陥り、さらに人が辞めていく状況になります。
前述の「責任感が強く、常に顧客優先で対応できるCE」(本稿は、そういったCEに向けて書いています)は、特にそんな中でも必死に「うまく回そう」ともがきます。しかし、そういった特定の人が頑張ったところで、縮小する市場の中でまじめに働いても収入増は見込めないわけで、大多数のCEが
・報酬に見合ったパフォーマンスをする(そこそこに働く)
・制限の範囲内で少しでも残業収入を増やす努力(わざと作業時間がかかるようにする)
・思いきれる人(特に若手)は転職して去っていく
といった働き方を選択しますので、この流れはもう止めようがありません。
だからこその・・・
「責任感が強く、常に顧客優先で対応できるCE」は特に顧客業務や課題を理解し、顧客とってに最適な対応をすることができます。「保守契約の範疇」という足かせを外し、自由な立場で対応できれば無限の可能性を秘めた存在です。
そんな根っからのCEが、周りが崩れていく中、会社からも評価されずとも踏ん張っている姿、年齢も上がってくると現場からコールセンターや品質管理などの後方支援業務に移されていく姿は見ていて痛々しさを感じます。
そういう方にこそ新しい領域での活躍をしてほしいと強く感じています。
ではどうすればよいのか?
極端な私見を申せば、ずばり転職です。
ITにまつわる様々なシステムはクラウド化され、機能的に極めて特徴的かつ優位性を持ったサービスが提供されています。そういった先鋭的なサービスを提供すするのはスタートアップ企業が多く、営業体制、現地サポート体制が弱いという特徴があります。
現在担当する機器が稼働する業界をリサーチして、そういったサービス提供会社の営業や現地対応スタッフとして大変重宝され、確実に責任ある立場として迎えられることと思います。
自社のサービスの反響が良いが、引き合い後の顧客課題整理ができる人材が不足している、導入後のサポート体制が取れないなどの悩みは実際によく聞くお話です。
そういった企業のトップに「責任感が強く、常に顧客優先で対応できるCE」・・・。欲しいですよね。と問うと「欲しい。」との回答をいただきます。
また、自分で起業する道もあります。中小企業のDX需要に乗って自分のビジネスを創出している元CEがいます。この方、40台半ばでの転職直前に福利厚生制度が改悪され、退職金も予定より大幅減額となってしまいましたが、「踏み出せる最後のチャンスだった。」「十分に取り返せる」とのコメントをされていました。
「責任感が強く、常に顧客優先で対応できるCE」の皆さん。自分の会社の先行きと自分に対する評価を一度考えてみてください。
新しい道もなかなか良いものですよ。