半フィクション
ポトン……………。
あ、入った。
今度はギュッと全身で受け止める。
もう、大丈夫。
朝。
どんよりした暗い雰囲気の外。
昨日のことがまだ頭から離れない。
何で私ってこんな何も出来ないんだろう…。
人間誰しも一つは何かしら得意な事があるもんじゃないの?
こんなに何やっても駄目な人、私の周りに私しかいない。
あー学校行きたくない。
クラスの皆に会いたくない。
取り敢えずあと10分寝よう。
直ぐに10分後のスヌーズが鳴る。
早過ぎ。無理。後10分。
また直ぐに次の10分後のスヌーズ。
あー怠い。
でもそろそろ起きなきゃ…
またスヌーズ。
え、うそ。また10分経ってるじゃん。
まじでやばい!
漸く起きる。
何も考えずルーティーンで身体を動かす。
歯磨き。
顔を洗って。
食パンを焼く。
焼けるまでお母さんが作ってくれたサラダを食べる。
毎日同じレタスときゅうりとハムのサラダ。
ドレッシングはイタリアン。
一生イタリアン。
もう飽きて食べたくないサラダを無感情に食べる。
そこで昨日の失敗がまたチラつく。
はあ〜〜〜〜〜〜〜。
行きたくない。逃げ出したい。
何で文化祭の装飾リーダーなんか立候補しちゃったんだろう。
うちの高校は県内トップクラスの進学校。
夏休み明けに開かれる文化祭が名物で、当日2日間は、校舎内がそれぞれのクラスの出し物に合わせた世界観の装飾でいっばいになる。
その、うちのクラスの装飾リーダーを、私がやる事になった。
クラスの主要人物は、出し物の「劇」に関わる、監督・脚本・役者などについていて、残った人で装飾や衣装、広報のリーダーを決める。
私が装飾へのモチベーションが高かったのは確か。
中学の時、初めてここの文化祭に来た時、いつもはただの校舎だなんて信じられないくらい、全く異世界の空間が連なる廊下に興奮した。
あんな空間を作りたい。クオリティの高い装飾をしたい。
ここに残っているメンバーだったら私が一番やる気がある気がする。
そう思って立候補してしまった。
ああ。バカ。身の程知らず。
気がつくと、もうバスの時間が迫っていた。
やば。
トイレに行ってから、制服を来て、鏡の前に経つ。
やば。めっちゃ寝癖たってるじゃん。
少し濡らしてドライヤーとブラシをあてる。
直ったのか直ってないのかよう分からん。
いや、直ってないな…気に入らない…ああでももう時間がない。
駄目だ。諦めるしかない。
セカンドバッグの中身を確認する。
定期ある。ケータイある。鍵ある。
よし。
時計を見る。
バスの時間まであと2分。
やばいやばいやばいやばい!!!
今日も遅刻ギリギリか。アウトか。
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