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半フィクション⑥

同じ言語を使っていても驚くほど意思疎通が取れないと感じる時あるよね。

言葉はツールであって、
共有しているのは経験・体験の答え合わせ。

名詞は事実だけど形容詞は主観。
文脈の裏にある経験も主観。

そう考えるのと、現代文のテストがますます嫌いだわ。
作者の主観を第三者の私たちが多数決的に決めた暫定主観をテストにするなんて。







「まなかー。帰り新作フルーリー食べに行こー。」

「おっ。マンゴー今日からか。行こ行こ〜。」

文化祭準備もそろそろ折り返し地点。
毎月変わるマックの季節フルーリーを今月も逃さずチェックする。
真夏のマンゴーなんて最高に決まってる。




「そういえば最近何か進展あった?」
やはり最高のアタリだったマンゴーフルーリーを食べながら、ニヤニヤとまなかに例の件を聞く。

「実はさー。ちょうどちなに報告したい事があったんだよね。」

はい来ました。報告なんて一つしかねえ。
「まじか。何々?」

「昨日、帰りに告白された。」

「まじかーーーー!きゃーーーー!!!良かったね〜〜〜!!!」
予想してた話でもやっぱり興奮してしまう。
ほんと良かった。

「え、そんでそんで?何て答えたの?」
まなかの気持ちは既に知ってるけど、やっぱり聞いてしまう。

「はい。…って。…」

うわ〜。何かリアル〜〜〜。むずむずしてくる。
「そっかあ〜。良かったね。本当におめでとう!!!」

「ありがとう。ちなに色々と相談に乗ってもらったおかげだよ。本当ありがとう。」

「全然!こっちもいつも愚痴聞いてもらってるし。ああ〜なんか今日は私まで幸せな気分だわ。むしろありがとう(笑)」

照れてるまなか可愛すぎ。こんなん田中も堪らんだろうな〜。はあ〜お似合い。萌える。推せる。尊い!!!!!








その他大勢の中から自分を選んで貰うなんて
そんなことこの先あるんだろうか。

自分の事を好きだと言って貰えるなんて
どんな気持ちなんだろう。

私は今自分で自分の芯が分からないので
そもそも他の人と深く知り合えてる感じもしない。

まなかは別だけど。
まなかは多分思考や感覚が似てるから凄く話しやすくて何でも思ったことを話せる。
適度に適当でゆるくてテンポが心地良い。
自分が自然体でいられる有難い存在。

でも男子って同じテンポで話せないし、
多分普段の私の会話なんて退屈って感じそうだし。
意識高い感じが本気で話そうと思うと少し怖い。

だからいつもわざと少し冷めたような興味ないみたいな態度で当たり障りない会話しかできないんだよね。

何話して良いか分からん。

恋愛はするし、彼氏も欲しいのに、
自分が他の誰かの特別な存在になるなんてとても考えられない。

告白されるって凄いことだよなー。
さらに自分が好きな相手からなんて…本当に奇跡みたいなもんだよ。




本当に嬉しいはずの出来事なのに
一瞬自分の中で陰った気持ちがチラついて
一旦思考を停止した。


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