お玉でコーヒーを淹れる
ロック解除ボタンを押し、給湯ボタンを押した。
いつも通り、お風呂上りに白湯を飲もうとしたのだ。
だが、予想外の結果に私は一瞬カタマッタ。
え、お湯出やん。
お湯が入っていないのかと思い、ふたを開けて確認した。
満タンである。
おもむろに、お湯でやんー!と叫ぶと
母が、「あ、さっき中洗ったときに壊してもたんか?」
どんな洗い方したんや、、、
母はよく物を壊す。
ポットを傾けてみたり、コンセントを挿しなおしたり、お湯を入れ替えて沸かしなおしたり、、、
思いつく事はすべてやってみた。
だがお湯は出ない。
一晩寝かせたら直るかも!
そう言ってその日の白湯はあきらめた。
翌朝、ロック解除ボタンを押し、給湯ボタンを押した。
出ない。
壊れたな。
改めて確信し、給湯はあきらめた。
さあどうやって今朝のコーヒーを淹れよう。
いつもは、ポットから直にドリップしているのだ。
保温機能はある。
お玉ですくおう!
この日だ。
初めてお玉でコーヒーを淹れたのは。
淹れ心地はというもの。
良いではないか。
それも、今までポットから直にお湯を入れていたので、入れすぎて超アメリカンになったり、少ないかもともう一押しすると、やっぱり入れすぎ超アメリカンになったりしていたのだ。
それがお玉を使えばどうだ、一すくい、二すくい、三すくい、、、
お好みの回数すくい入れれば、入れすぎなんてことは起きないのだ!
思いがけずコーヒーを淹れるのが上手くなった。
いや失敗が無くなった。というのが正しいのだが。
これが怪我の功名というやつなのか。
こうして我が家のポットは、お湯保温専用ポットとなり、お玉をふたの上に常備する姿に収まった。
ポットにお玉を突っ込みすくい入れる、という光景はその度に笑えてくる。
少し不便だが、保温機能があるだけでありがたいという気持ちになれる。
お玉があればコーヒーは淹れられるのだ。
今後ポットを買い替える可能性は高い。
だが、給湯できるようになっても、コーヒーはお玉で、淹れ続けるだろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?