ギリアのAI開発を担う専門家たち
こんにちは。VPoTの西村です。VPoTとは Vice President of Technology の略で、ギリアでは主に技術戦略や技術広報を担当しています。
技術ブログ第一弾ということで、この記事ではギリアでのAI開発の流れと、それを担う社内の専門家たちをご紹介します。
ギリアは単にAIを開発するだけでなく、ビジネス上の価値を生むAIソリューションを提供する会社です。そのため本ブログでも、AIエンジニアだけでなく、クライアントに価値を届けるための様々な役割のメンバーが執筆を担当します。この記事によって、「ギリアのAI開発にはどういった役割の仕事があるの?」「AI開発における〇〇って何をやってるの?」といった疑問が解決できれば幸いです。
なお、役割の名称は定義によって様々ですので、あくまで社内の定義によることをご了承ください。
ギリアのAI開発の流れ
AI開発ではない通常の業務システムの開発では、要件をクリアにして一直線に開発を進めていく形が一般的です。
しかし、AI開発においては多くのアルゴリズムの中からビジネス成果を最大化するものを抽出し、組み合わせていくことが必要で、そのプロセスはトライアンドエラーを伴う探索的なものになっています。
そのため「PoC (Proof of Concept)」と呼ばれる実証フェーズを設け、たくさんの可能性の中からベストなソリューションを創り出すのが一般的です。
ギリアでは、PoCを含む以下3つのフェーズでAI開発を進めています。これにより不確実性を減らしながら、終始クライアントと伴走する体制が構築されています。
①アセスメント
クライアントとの対話を通じて課題感を理解し、テクニカルな面も確認しながら、ビジネスゴールの定義と、実現のためのステップの明確化を行います。
特に、ゴールイメージが曖昧な場合や課題が複雑な場合に重要になります。
②PoC
いくつかのアルゴリズムを試し、精度やパフォーマンスなどをみながら、ベストなソリューションを創り上げていきます。このフェーズは複数回のサイクルに分けて実施することも多くあります。
③本開発
PoCで作り上げたAIソリューションを、本番の業務システムで活用するために、更なるチューニングや、AIを活用するためのAPIや周辺ソフトウェア、それらを動かすインフラなどの開発を行います。
各フェーズを担当する専門家たち
上記のように、AIソリューションの適切な構築には、ビジネス面、技術面含めて多くの専門性が必要になります。
会社によっては1人が複数の役割を担うこともありますが、ギリアではそれぞれの専門家が各役割を担当することで、高い専門性をもって各業務を遂行できるようにしています。
各役割の担当者が担うフェーズを図に示します。
以下では、各役割についてご紹介します。
営業
展示会やウェビナーの開催などによる新規顧客の獲得や、クライアント企業における中長期的なAI活用戦略を立案し、AI活用のパートナーとして伴走します。
個別の案件提案時には企画メンバーと共にプロジェクトの企画を立案し、契約のクロージングまでの活動をリードします。
企画
クライアントからの明示的な依頼や要件の理解に留まらず、クライアントとの対話を通じて、ビジネスにおける真の課題の定義とAI活用による将来ビジョンを設定します。
その実現に向け、導入インパクトを最大化するAIソリューションの企画をリードします。
この役割は後述のPMと兼任することがあります。
PM(プロジェクトマネージャー)
AIの開発は探索型の不確実性が高いプロジェクトです。
その中でPMは単にプロジェクトを完遂するのではなく、サービス化・事業化を通じてAIの成果を最大化できるよう、クライアント、自社のエンジニアと密なコミュニケーションをとりながらプロジェクトをリードします。
AI開発エンジニア
AI開発エンジニアは、営業や企画・PMと共に、時にはクライアントと直接コミュニケーションを取りながら解くべき課題を明確化し、最も効果的な技術の選定と実装を担当します。
各エンジニアはコンピュータビジョン、自然言語処理、データ分析、強化学習、数理最適化などの専門領域を持ち、扱う課題に応じて担当者が決まります。モデル開発だけでなく、必要なハードウェアの選定から開発したモデルのモジュール化、エッジ端末への組込みも受け持ちます。
データ開発エンジニア
データ開発エンジニアは、AIソリューションの開発・運用に必要となるデータの開発を行います。
プロジェクトにおいてはPMやAIエンジニアと連携し、必要な教師データの作成、データ収集・分析などを担当します。
サービス開発エンジニア
サービス開発エンジニアは、AIをエンドユーザーが使える形でデリバリーするために、フロントエンドやバックエンドシステムの開発を行います。これには、AIモデルのパフォーマンスを考えた推論、モデルの更新やデプロイメントなどのMLOpsを考慮した設計と実装が含まれます。PMやAIエンジニアと連携し、アーキテクチャの設計からシステムの実装までを担当します。
QAエンジニア
QAエンジニアは当社における広い意味での品質保証を担当しています。
決まった手法が確立されていないAIプロダクトの品質保証において、当社における品質保証の枠組みの確立と啓蒙、品質保証の実施を担当しています。
インフラエンジニア
インフラエンジニアは主にクラウドインフラ基盤の設計、構築、運用を行っています。
AIの価値を社会にデリバリーすることを目的として仕事を行っています。
リサーチエンジニア
上の図には出てきませんが、ギリアでは将来を見据えた技術開発も行っています。
AI分野のみならず、AIとシステムの融合領域に関する技術開発もターゲットです。
また、研究開発の成果を実プロジェクトへと展開するための支援も役割の一つです。
各担当者間の連携
実際の案件では、ビジネスと技術両面での企画検討や、AIモデルとサービス間のインタフェース設計など、複数の専門性が求められる場面も多くあります。ギリアでは各担当者が専門性を持ち寄り、プロジェクトチームとして密に連携することでそれらの課題を解決しています。
おわりに
ギリアは2017年の創業以来、AI専業で多くのプロジェクトを成功させてきました。
上記はその中で育まれた現時点での体制ですが、これが唯一の正解というわけではなく、常によりよい形を模索しています。
各組織の詳細については別途記事にしようと思いますので、またお読み頂けましたら幸いです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?