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妊婦スポーツの安全管理基準(2019) どこがかわったの?

今回は妊婦スポーツの安全管理基準についてお伝えしていきます。

このnoteは妊婦スポーツに関わる

・インストラクター
・スポーツ指導者
・理学療法士
・個人的に積極的に運動されるような方

こんな方に見てもらえたらうれしいです。

今回、妊婦スポーツの安全基準が2019年度版として発表されています。


前回は2005年なので14年ぶりですね。

これは日本臨床スポーツ医学会の産婦人科部が出しているものです。

日本臨床スポーツ医学会は

スポーツ医学の学術研究、情報交換等を目的に平成元年に発足しています。

準会員としてであれば

(1) 理学療法士
(2) 看護師
(3) 日本体育協会アスレチックトレーナー
(4) 健康運動指導士
(5) 研究・教育機関のスタッフ
(6) 大学院生・大学院修了者
(7) その他、スポーツ医学に関連する者で資格審査委員会が認めた者

これらの方が参加できるようです。

新しく出された2019年度版の前回との違いについてチェックしたのでまとめていきたいと思います。

妊婦スポーツの安全基準とは?

2005年度版では

『母体と胎児に対する十分な安全管理による妊婦スポーツの実施が必要』

とこのことから健康志向により運動する機会が増えてきた妊婦に対しての

安全管理の必要性が求められてきたのではないかと考えられます。

今回の2019年度版は近年の高齢出産の増加やハイリスク妊娠が

増加していることもあり新しく提言されているようです。

このnoteは新しく提言された妊婦スポーツの安全管理基準(2019)を確認していただきながら見ていただきたいと思います。



1.母児の条件

1)後期流産・早産の既往がないこと

2)偶発合併症・産科合併症がないこと

が追加されています

これをみると流産、早産は初期の既往よりも

後期の既往時があるときはさらに気をつけなくてはならない

ということがわかりますね。

偶発的合併症と産科合併症についてはまとめました。

合併症

早産・胎児発育不全・子宮内胎児死亡などのリスクが高いためスポーツは

勧めることができない

解説でも反復するリスクが高い常位胎盤早期剥離・妊娠高血圧腎症などの

既往歴がある妊婦も原則スポーツを行うべきではないと断言しています。

この辺りは2005年版では許可しがたいというフレーズだったのでより

強い言い回しとなっています。

2.環境

1)の高温多湿の体育館のようになど具体的でわかりやすい表記になっています。

③高地で低酸素の環境での運動は順化していない場合は避ける

④減圧環境は避ける

この2つが追加されていました。

③については一般の妊婦が高地での運動をすることはないと思いますが

1500~2000mと記載があるので本格的な山登りなどを

趣味にしている方は注意が必要かと思います。

④減圧環境とはスキューバーダイビングのことを言うようです。

胎児に減圧症後の先天異常やガス塞栓症のリスクがあります。

減圧症とはスキューバダイビングのときに

体内に窒素がたまり気泡化し

体内で血管を塞ぎ、様々な症状が起きることをいいます。


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3.スポーツ種目

2)腹部に直接的な外傷を与えるものや落下のリスクがあるもの、

接触による外傷性リスクの高いもの、過度な腹圧がかかるものは避ける

この下記の表は産婦人科診療ガイドラインの妊娠中のスポーツの分類です。

妊娠中のスポーツ

今回の妊婦スポーツの安全基準(2019)の参考文献としても記載されています。

こちらのように接触する確率が高かったり、腹圧がかかるようなスポーツは危険とされています。

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4.メディカルチェック

今回は個人でスポーツを行う際のより明確に

スポーツの中止基準が記載されています。

近年妊婦のスポーツがスタンダードになりつつあるからでしょうか。

今回はより症状の具体的な記載がされていました。

妊娠中のスポーツ 中止基準

1人でウォーキングを行う妊婦さんにも

この具体的な症候を伝えておくと運動を

中止しなければならないということがわかり

アドバイスしやすいのではないでしょうか。

5.運動強度

2005年版と基準は同じではありますが根拠がより具体的に記されています。

自覚的運動強度を使用しています。

自覚的運動強度

海外のガイドラインを指標に母体の心拍数の基準を出しているようです。

海外のガイドラインを見比べても

母体の心拍数の範囲は140-150bpmとしているものがやはり多いです。

人種などは関係ないことがわかります。

6.実施時間

こちらも前回の提言と同様の内容ですが解説では

参考にした文献についてが記載されています。

運動時間については運動習慣の少ない妊産婦は週2~3回で、

1回の運動時間の目安を60分以内と記載しています。

<参考文献>

米国産婦人科学会(ACOG)

https://www.acog.org/-/media/project/acog/acogorg/clinical/files/committee-opinion/articles/2020/04/physical-activity-and-exercise-during-pregnancy-and-the-postpartum-period.pdf

米国スポーツ医学会(ACSM)
https://www.acsm.org/all-blog-posts/certification-blog/acsm-certified-blog/2019/08/06/fit-pregnancy-guidelines-simple-guide

運動する時間帯について

米国の方針では記載されておらず日本独自のものようです。

参考文献が前回同様のものであることと、

1984年、1982年と40年近く前のものなので新しいデータを

とっていないのかなとちょっと不思議に思いました。

個人的には10時から14時の時間帯だと病院も

比較的人員が安定している時間帯なので

万が一を考えてもこの時間に妊婦さんはスポーツをするのが

よいのかなと思います。

<参考文献>

荒木良二.妊婦日常生活の子宮収縮におよぼす影響に関する研究.日産婦誌.1984; 36: 589-598.

室岡 一.実施条件と禁止事項.妊産婦のためのスポーツ医学,室岡 一編著,朝倉書店,東京,57-70, 1982.

7.その他

こちらの記載も大きな変化はありませんが解説ではプロアスリートなどの

競技者のトレーニングについてが追加になっていました。

このような場合はきちんとしたメディカルチェックを

受けながらプロとしての競技力の維持を目指すことが必要ですね。


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まとめ

全体的に具体的になっていたり、言い回しがはっきり記載されているため

理解しやすいものになっているように思いました。

ヨガやピラティスも含め妊婦のスポーツに関わる方であれば

一読されることをお勧めします。

ガイドライン比較

今年の5月に日本産婦人科診療ガイドラインの改定もありましたね。

またの機会に他のガイドラインも紹介する予定ですのでお楽しみに!

G’hands SACHIでした!

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