同人誌はメルカリで頒布する時代
昨年末にコミックマーケット新99(99A)という同人誌即売会イベントがあり、そこに合わせて新刊コピー誌を作った。
しかし「いつもの」感覚(※)で出展日3日前深夜に書き始めて前日の11時半予告、19時40分完成、20時印刷開始、20時半印刷完了・確定告知、21時製本完了みたいなことをしていると、試し刷り1+見本誌1+提出用1+25部で28部作って持ち込んでなんと21部を持ち帰るという歴史的大敗北。6部しか売れなかった。今回のネタなら「いつも」であれば18部は固いし25部完売も十分狙えた。しかし今回は皮算用にカスリもせず。そう、サークルチケットか前売りチケットかを持っていない人間(か、もしくは準備会スタッフ)以外は完全にシャットアウトされて入場できないクローズドイベントと化していたC99Aでは、「当日フラっと」の人は来なかったのだ。「面白そうだから足を止めて見てみました」なんて人はいない。企業ブースや壁サークルはだいたい事前事後通販やショップ委託をやっているので「そのついで」で来た人が寄ってくなんてこともないし、「入場規制解除あたりを目安に入ってサークル出展者の知り合い方に挨拶するついでに適当に会場流してなんかあったら買うか」くらいの緩いノリで参加していた人はそもそも今回来場していない。
弊サークルはネタの特殊性や想定顧客の絶対数の関係で「コピー誌で作ってコミケで売る+Twitterで相互フォローとかの人にはイベントなんかで一緒になったときに渡す」くらいの規模がベストであり、「印刷屋さんに印刷製本頼んでメロン・とら・ZINに委託して~」みたいなのは労力的にも費用的にも動機的にも一切割に合わない。かといって手元に過剰な在庫を置いておくのも厭だし、今更「新刊希望の方は520円分の定額小為替と160円切手、送付先住所氏名(郵便が届くもの)を記載した紙を同封の上、〒639-1061 奈良県生駒郡安堵町大字東安堵999-9ブルーシャトー102中島方 大銀河帝国宛に郵送ください」みたいなのをやるのはもっと厭。このご時世、できるだけ個人情報を握りたくないし、また握らせたくもないというのが一般的感覚ではなかろうか。
じゃあどうすれば?ということで試しにメルカリを使ってみたらめちゃくちゃ楽だったのでレポートする。似たような境遇のサークルの方がいらっしゃれば、是非試してみてもらいたい。
☆必須の準備物…スマートフォン・頒布する同人誌・その同人誌が入り、かつ、ある程度大きい封筒等の梱包材(※※)
①メルカリにアカウントを作る
スマホがあれば簡単に作れるため省略。公式サイトへのリンクは貼っておく。
②出品する
今回は商品画像として表紙+冒頭3ページを貼付。カテゴリーは「本・音楽・ゲーム>本>その他」、状態は「新品・未使用」とした。タイトルを40文字以内、商品説明を1000文字以内で記入し、発送方法の値段を決め出品。
ここで重要なのは発送方法と値段。「らくらくメルカリ便/ゆうゆうメルカリ便以外の選択肢は事実上、無い」というのと、「値段は会場価格+3~400円くらいがいい」とだけ覚えてもらえればいい。
少し詳しく。発送方法について。「らくらくメルカリ便(ヤマト運輸/ファミマ/セブンイレブン系)」と「ゆうゆうメルカリ便(郵便局/ローソン系)」はどちらを選んでもいいが、どちらかでないと匿名配送ができない。
匿名配送ができないと「stratheden様初めまして。pittyvaichこと山田一兵と申します。今回は取引終了までの短い間ではございますが何卒宜しくお願い致します。早速ではございますが取引についてご連絡致します。まずはstratheden様の発送先住所氏名と~希望される入金先と~」みたいなダルいやり取り……は流石に今時しなくていいが、真名と現住所を開示してもらってそれを発送伝票に書くという面倒な作業は発生するし、そうした面倒なやりとりを経て定形外郵便やらの最安送付方法で送ったところで安くなるのは高々数十円。しつこいようだが、このご時世、できるだけ個人情報を握りたくないし、また握らせたくもないというのが一般的感覚だし、真名と現住所の開示プロセスのみならず(後述するが)宛名書きまでスキップできるとなると、買う側にとっても送る側にとっても、らくらくメルカリ便/ゆうゆうメルカリ便以外の選択肢は事実上ありえない。
次に値段について。上掲の送料表の通り、同人誌=本を送るなら余程の特殊装丁でもない限り「らくらくメルカリ便―ネコポス175円」か、「ゆうゆうメルカリ便―ゆうパケット200円」だ。それに梱包資材代(≒封筒代)を30円程乗せて、出品金額の1割が自動的に引かれるメルカリ手数料を加味すれば、500円の本なら800円、1000円の本なら1400円の値付けをして送料出品者負担で送ればだいたいちょうどいいはず。ま、このあたりは完全に各サークルの好みだが、「サークル出展料がかかってない分安くする」とか「イベントで買った人の労力を考えたら値上げする」みたいな振り方をしてもいいだろう。
③発送する
梱包して
取引画面で送る場所(今回はセブンイレブン)を選んで赴いて
配送用バーコードを生成してレジに見せたら
シール付きの袋とレシートを渡されるので、封筒にシールを貼ってレシートを袋に入れて
あとはそのまま封筒をレジに渡し、取引画面で「発送しました」ボタンを押せば完了!だいたい入店して1~2分程度で全てが終わる。
相手の名前と住所を知る必要もなければ書き写す必要もなく、さらにレジでお金を払う必要もない(送料はメルカリサイドが売上金から勝手に引く)のは便利すぎて感動してしまった。メルカリ、ええとこもあるやん。
④売上金を受けとる
モノが相手に届くと取引画面がこんな感じになる。「発送&発送連絡→受取&受取評価→出品者側評価」という流れで、相手が受取評価をするまで売上金はメルカリに預かられたままになる。なので「受取っとんねやったらはよー受取評価せんかいワリャ~!」というメッセージを送ってもいいが、送らなくても「配達完了」ステイタスであれば何日か後に売上金は入金される。(このタイミングで売上金から配送手数料が引かれる。)
受け取った売上金を現金化するには本人確認・銀行口座登録・振込申請等のプロセスが追加で必要で、かつ売上発生から180日以内に振込申請完了が必須というところはあまり便利でないが、「バーコード決済のメルペイ残高として使う」とか「メルカリで使えるポイントに替える」という操作は即座に可能。むしろこのあたりまでをろくな本人確認もなしで行えるところを評価すべきなのかもしれない。
なお、ほっとくと売上金は180日後に蒸発するので、このあたりを参考に正しく手続きをされたい。
以上、メルカリで同人誌を頒布する方法だ。アカウント名以外は匿名で入出金も配送も完結するのはマジで強い。やれ泥棒市だ転売屋の巣窟だとバカにしているだけでは分からないことがあった。なお、これは「二次創作ではない完全オリジナルの同人誌を・サークル構成員が直々に出品している」から問題なく行えるものであり、「二次創作同人誌の出品」「サークル構成員以外の出品(いわゆる転売)」はメルカリの規約的にアウトかもしれないとは補記しておく。(二次創作同人誌の転売は完全にアウト。)
ほんとこれ。
後日談
⇒ https://note.com/ggkiev/n/n993a4ead8a17